大きな仕事のペース配分のこつ:「頭でっかち」

Make Your Time Top-Heavy | Scott H Young

「早めにやっておけば…」大きな仕事の締め切りを目前にしてそう考えたことは数えきれないほどあります。その度に、小手先でなんとかしてしまうという悪癖のせいで、じっくりと腰を据えたいい仕事ができないのではないかというのは、以前からの悩みで、今年の大きな改善目標の一つです。

こうした、大プロジェクトのタスク配分について Scott H Young のブログで上手にまとめられた記事があって目を引きました。いつもいわれることですが、それは「プロジェクトのタスク配分は Top Heavy に」、つまり「頭でっかち」にした方がよいというものです。

時間と作業量のインバランス

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私たちは油断していると、「10の仕事を10日でやりなさい」といわれたばあいに、タスクの数をなんとなく与えられた日数で割ってしまいます。右の図で言うと、最も上の図の「想定」がこれにあたります。電車のように等速度で目的地に向かっているような配分です。

ですが実際には「10の仕事」だと思っていたもののうち、一部が非常に手間取ったり、困難だったりしますので、10 だと思っていたものはインフレーションを起こして 15 くらいにはなってしまい、私たちの想定を突き崩してしまいます。図でいうと真ん中の「現実」がこれです。○の数が増えていますし、締め切り前に積み上がっています。

こうした作業のインフレーションを想定にいれた場合、どうしても図の一番下のように、「頭でっかち」あるいは「先行逃げ切り」型の重み付けが必要になります。つまり、のっけから後戻りできないところまで作業を進めてしまう、というペース配分です。

Scott はもう一歩考察を深めて、「頭でっかち」というのを、1. 手間の量、2. 重要性の高さ、3. 難易度の三つのすべてについてあてはめるべきだということを書いています。手間がかかる、重要性の高い、難易度の高いところのいずれかから始める事で、全体の重心が後半へ傾く事を避けられるわけです。

問題点

しかしこれを読んでいて問題だと思ったのは、多くのナレッジ・ワーカーの仕事の場合、仕事を始めたときに 10 の手間がかかるのか、15 の手間なのか、はたまた 100 なのかがあらかじめ分からない、という点です。いくらプロジェクト管理を頭でっかちにしようと思っても、初めてやる仕事ではどのくらいの手間がかかるのかが未知数ですので、どうしても働き過ぎか、働かなさすぎの極端に陥る傾向があるように思います。

これに対する解決法のヒントも記事の中にはあり、それは日・週・月という生活のペースの中で仕事量を配分し、現実的なペース配分を心がけるというものです。たとえば、

  • 「一日の仕事量」は午前でできる分を基準にして、午後は急な用件と、タスクのインフレーションに割り当てる

  • 「週の仕事量」は月曜から水曜でできる分を基準にして、木金はあふれた分を補うためにとっておく

  • 「月の仕事量」は最初から最初の3週間でできる分を基準にして、残り一週間はあふれた分にとっておく

といった感じです。「1日の仕事」は「朝から晩までやってできること」と考えずに、午前中だけでできることを単位とする事で、結果的に作業量がインフレーションを起こしたとしても、日・週・月の枠内で吸収できるようにしておこうというものです。

私もよく自分の「火事場の馬鹿力」に頼るところが多く、当初のプランが破綻している事が多いので、こうした配分を作るのは常に意識していないといけないと常々反省しています。

ブログを書くとき、原稿を書くときにもよく「あと30分で一気に書くぞー」と自分に言い聞かせているくせに、結局時間で平均すると執筆スピードは滅多に 2000 字 / 時間は越えません。

そんなわけで今日も深夜の投稿…。

堀 E. 正岳(Masatake E. Hori)
2011年アルファブロガー・アワード受賞。ScanSnapアンバサダー。ブログLifehacking.jp管理人。著書に「ライフハック大全」「知的生活の設計」「リストの魔法」(KADOKAWA)など多数。理学博士。