Dyson supersonic(スーパーソニック)は構造も重心も考えなおした新発想のドライヤー

掃除のしかたを変える。部屋の空気を根本から変える。

追随を許さないモーターの技術を適用して既存の製品を再発明してしまうDyson(ダイソン)から、これまでとまったく異なる分野の製品が登場するとのことで、発表会に招待をいただきましたので参加してきました。

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飛び出てきたのは、Dyson supersonic、なんとドライヤーです。

そうか、そりゃそうだ。モーターと、強い気流を作り出すエアマルチプライアー技術と、暖房はすでに作っていたのですから、次の一手はそうなるか、と思ったものの、予想を越えるこだわりの数々にうならされました。

既存の、決まりきった構造の製品を根本から作り直す発想。プレゼンテーションをしているジェームズ・ダイソン氏もたいへん楽しそうでした。

Dyson Supersonicのこだわり

ドライヤーを作りなおすという目的に対して、Dyson はドライヤーが果たすべき目的と、使ったときの使いやすさという性能と構造の両面からドライヤーを考え直します。

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まず最初に、素早く髪を乾かし、髪を傷めないという「ドライヤーの目的」について、科学者集団らしく分析から入ります。

まず、熱すぎる熱風をあててしまうと髪から水分が飛び、空孔が発生することで髪のツヤが悪くなるという点に着目して、これを Dyson の気流コントロールの技術で解決できるのではないかと考えます。

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コントロールされた熱風を生み出すために、ただ強い風をおこして髪にぶつけるのではなく、熱と風圧を一秒に20回という熱センサーからの入力に対して細かく調整する「インテリジェント・ヒートコントロール」というセンサー・気流・ヒーターの組み合わせを構成します。

通常ヘッド部分にあるモーターは持ち手部分に組み込まれ、吸気はなんと下から行います。

エアマルチプライアーによって加速された風に、吹き出し部分から巻き込まれる二次循環が乱流を抑制することで、まるで棒のようなしっかりとした空気を送り出します。

ここ、ジェームズ・ダイソン氏本人に質問したら実に嬉しそうに「ここの角度によって乱流拡散がね…」と答えてくださいました。

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この強力な風を作り出しているのは持ち手部分に隠されているダイソンデジタルモーター V9です。直径27mm、重さ49gのモーターは毎分110000回転と、通常のドライヤーの8倍も回転します。

まあ、通常のドライヤーは巨大な羽根を回すのですから遅くて当然なのですが、ドライヤーのモーターを小さくして回転数を速めることで、エアマルチプライアーで自在に風量を変えられるようにしたというのは逆転の発想ですね。

羽根はアルミニウムの塊からの削りだしで、ブレード数を13枚と多めにすることで発生する音の音域が1トーン上がって可聴域を越えてしまうために、相対的に静かに聞こえます。

また、持ち手部分がサイレンサーのようになっているために、これだけの回転体があるのに、音は普通のドライヤーよりも小さいくらいです。

ドライヤーの構造を再発明

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Dyson の製品をみていていつも面白いと思うのは、ある考え方に従って大きくなにかを変えたときに、それがもつ負の影響をデザインでプラスに変えてしまう力技です。

たとえばモーターが持ち手部分に格納されたので、ヘッドの大きさを調整して重心がちょうど握っている場所に来るようにしています。

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重心が握っている場所にあるということは、あのドライヤーにありがちな頭が重くていつも苦労して支えている感触が軽減されます。

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アタッチメントは磁石でとりつけており、二重構造になっているために表面は熱くなりません。

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それにしても、ドライヤーの真ん中に穴が空いているというのは、なんとも不思議な風景です。そこにあるべきものがなくて、風だけが流れる。ジェームズ・ダイソンによれば、これこそが本来ドライヤーが目指すべき形だったのです。

実にうれしそうなジェームズ・ダイソン氏

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発表会ではヘアスタイリストの加茂克也氏とモデルによる実演が行われました。実際に使ってみないとわからないのですが、熱がコントロールされているので、髪を傷めにくく、すばやく乾くという印象だそうです。

気になる音はこのくらい。ステージから3mほどの距離ですが、通常のドライヤーがグワーッという音なのに対して、かなり高い音になりますね。

ジェームズ・ダイソン氏によると、これくらいならばドライヤーをしながら家族と話せる、そこも大切な点としてデザインしたのだとのことです。

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発表会では大勢のスタイリストとモデルによる実演も行われていました。どんだけお金がかかっているんだ…。このDyson supersonicの開発には95億円ほどが投資されており、日本のヘアケア産業の実に20%ほどの予算をこの1台に投じているのだそうです。

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製品のこだわりも、開発とマーケティングの本気ぶりもさることながら、今日この発表会で見ていて一番心に残ったのは、ジェームズ・ダイソン氏が実に嬉しそうに福福とした笑顔で製品を説明している様子です。

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質問時間で、ぶしつけながらどうしてそんなに嬉しそうなのですか?と質問したところ**「新しいマーケットでやるべきことを見つけたときに、私たちはそれに夢中になるのです」**という答えが返ってきて、私はそれだけで満足でした。

きっと持ち手にモーターを入れればいい。重心をここにすればいいと気づいた時、楽しくて仕方がなくて、それを今日世界中に見せることができるのが誇らしくてならないのだろうと思うと、こちらまで嬉しくなってきます。

製品は人によって好き嫌いはあるでしょう。でも、世界にジェームズ・ダイソンがいてくれて、本当に良かった。

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Dyson supersonic 実機については、モニターさせていただいているところです。じつは我が家では小学校になったばかりの娘の髪の毛を乾かすのは私の役で、毎日何分かかるのか、どのようにしたら効率的に乾かせるのかと考えていたところでしたので、実測に基づいたリポートができそうです。

価格は45000円と高めなのですが、毎日使うものですのでお祝いやプレゼントとしてよさそうです。4月28日からDyson表参道店で先行発売し、5/10までの予約注文分については満足できなかったら全額返金キャンペーンも行われているそうです。

おまけ

みたいもん!のいしたにまさきさんがセット中。気持ちよさそうですね。

堀 E. 正岳(Masatake E. Hori)
2011年アルファブロガー・アワード受賞。ScanSnapアンバサダー。ブログLifehacking.jp管理人。著書に「ライフハック大全」「知的生活の設計」「リストの魔法」(KADOKAWA)など多数。理学博士。