「noteではじめる新しいアウトプットの教室」でクリエイティブの自己肯定感を高めよう
noteについての初の解説本「noteではじめる新しいアウトプットの教室」が刊行されました。
著者は情報発信についてはトップランナーであり続けているブログ「ネタフル」のコグレマサト(@kogure)さんと、クリエイティブ・プランナー でブロガーの まつゆう* (@matsuyou)さんです。
刊行にあわせて一冊、ご恵贈にあずかりましたので、私からみた本書の魅力を紹介したいと思います。
クリエイティブの極意をさりげなく伝える
表紙もタイトルも唐木さんのベストセラーである「新しい文章力の教室」を踏襲している本書は、ウェブサービスの使い方だけを列挙したよくあるタイプの操作解説書とは一線を画しています。
なるほど最初から読めば、どのようにしてnoteのアカウントを作成し、プロフィール欄の見た目を良くして、初めての投稿ができるのか操作方法を理解することができますが、読者はそれと並行して大切なノウハウを身につけることができます。
たとえば、そもそもなんでウェブにむけてアウトプットするのだろうか? なにをアウトプットすればいいのか? という単純で迷うことが多い疑問が入り口にありますが、本書では操作方法の解説と交互にちょうどいいタイミングでこのような心構えの解説が入ります。
日記のような単純なものでもいいとしながらも、あえて300字の日記にしてみてはどうか? テーマを決めた日記にしてはどうか? と、初学者のアウトプットに向けての考え方をさりげなく揺さぶってきます。
300字固定の日記というのは、やってみるとわかりますが、かなりの難物です。このように、書く内容と、それを入れるための器をそれぞれさりげなく提示することでアウトプットへのヒント与えてくれる内容になっているのです。
これは、ずっと継続して書くことができているひとには通じ合うようにして理解できることなのですが、初めて書き始めるひとにはなかなか難しい、いわば「極意」なのです。それをさりげなく教えてくれているのが本書です。
noteの使い方から、定期購読マガジンまで
機能面の解説も、現時点のnoteのすべてが網羅されています。単純な記事の執筆方法、画像を著作権に抵触せずにどのように入手するか、いくつかあるnoteの投稿形式のそれぞれの特徴が、コグレさん、まつゆう*さんそれぞれの得意分野から語られます。
ところどころ、コグレさんがこんなアイコンになっているのがかわいい。本人の声で再生されてしまいます(笑)。
ちなみにまつゆう*さんはこちら。
コグレさんが継続してアウトプットすることへの心構えについて熱く語っている一方で、まつゆう*さんは配られたカードでどのように戦略的にコンテンツをつくるのかという具体的なヒントを矢継ぎ早に繰り出してきます。
そうして進んでゆくうちに、しだいに読者は情報アウトプットにおける難易度の高い境地についても理解できるようになります。
これはやはりある程度継続してみないとわからないのですが、書くことによってまるで彫刻のように「自分」が掘り出されてきて、ウェブにおいて自分が存在する意味のようなものが明らかになってきます。
それにあわせて上級者向けの発信の仕方をnoteはもっていて、たとえばマガジンで情報をキュレーションしたり、定期購読マガジンで有料のコンテンツを売ったりといったチャレンジが可能になります。
そこでやはり問題になるのが、どこまで自分に対して忠実であることができるか? という初心の問題です。
モチベーションを保ち、揺れ動きそうになる動機や邪念と戦いつつ、読者のためによりよいものを作るにはどんなこつがあるのか。ウェブで発信することの楽しさや苦労を知り尽くした二人だからこそ出てくる言葉がここにはあります。
noteについてはだいたいなんでも知っているとおもっていた私ですが、あらためて二人の視点から解説されるそれは、これまで思っていたのと違う魅力をもっていることがわかりました。
そしてダメ押しというわけではないのですが、最後の章では異なるタイプのnoteクリエイターが自分なりの利用方法についてアドバイスをぎゅっと凝縮しており、なかなかお買い得です。
私も、実はこの章を含め、本書の二箇所でスッと私なりの視点で切り込んでいます。ぜひ探してみてください(笑)
ブログや文章を書くのはSNSやインスタグラム、YouTubeに対して相対的に退潮気味の分野と言われていますが、だからといって誰も彼もがインスタグラマーになり、ユーチューバーになればいいというわけではありません。
むしろ自分の表現したいものを表現したい形で自在にストックできる場所として、文章やSNSや画像や動画や音声の交点にnoteというサービスがあり、それを束ねて使うことで新しい可能性が生まれるのです。
そんな未来のクリエイティブのための入門書として、ぜひ本書をお手にとってみてください。