情報ジャンキーとして、アルゴリズムで選ばれる記事とRSS で読む記事のバランスをとる

すばやく、正確な情報を集めることは、私のようなブロガーであり、情報ジャンキーには、偏執的になるほどの重要性をもっています。

あるニュースがやってきたとして、それをすばやくキャッチすることには情報のスピード、つまり速さとしての重要さと、それがどのように受容されて広がってゆくかを最初から観察できるという早さとしての重要性もあります。

たとえば「トランプの移民政策に対してIT企業が危惧を表明」というニュースが入ってきてチェックしたいのは、最初のリストにどの会社がはいっているか、あとから加わったのはどこで、どこが一番積極的で、どこが一番消極的かといった詳細です(ちなみにEvernoteは会社としては声明を出していませんがCEOのクリスは臆せずに批判を繰り広げています)。

でも最近困っているのは、この作業がとある闖入者によってかき乱されているという点です。その闖入者というのは、アルゴリズムです。

アルゴリズム・タイムラインのよしあし

アルゴリズム・タイムラインはいまや、私たちが依存するかなりのサービスに組み込まれています。

ツイッターはしばらく席を外していると、目を離していたあいだに起こったできごとをアルゴリズムでまとめて表示してくれますし、Facebook はそもそも友人の投稿のすべてを時系列順に表示してくれてはいません。

アルゴリズムのシニカルさは、一度でもある人の投稿にコメントすれば、その人の投稿が優先的に表示されるようになる一方で、そのかわりに何が表示されなかったのかを私たちが知ることはないという点です。表示されなかったものは、最初からなかったも同然なのです。

Mediumなどはこれが徹底していて、私のタイムラインにある時点で表示されているものはすべてがアルゴリズムが決めているものです。「これ、もう見たんだけどな」や「この話題ばかりだ」という要望は、自分のこれからのクリックや購読でゆるやかに変えていかないといけないのです。

まとめてみましょう。

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アルゴリズムの世界観の良さと悪さは:

  • 膨大な情報から興味に近いものを自動的に整理して単位時間内に処理可能なページに落とし込んてくれる

  • 何を読んでいないかがわからない。フィルターバブルになりやすい

  • 際限がない。何百記事を読んでも、さらに興味の周縁にむかってさらに何百でも 記事がまっていて、どこでやめてよいのか判然としない

  • 情報の流れを制御できないので、ムードや興味を反映しにくい

この最後の部分が実は大切で、その日にたまたま探している雰囲気の記事がアルゴリズムにはわからないのです。

たとえば最近の私のMediumは政治一色なのですが、もう少し詩や創作の読み物を読みたいなら、私はタグで検索するなどといった、あまりあてにならない手段を踏まなくてはいけません。

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これに対して、最近ではしだいに利用者が少なくなっているかもしれない RSS のようなツールの世界観は、自分で情報の流れを制御する考え方です。

  • 自分で購読したフィードの記事がだいたい全部表示されるので網羅することが可能。

  • 時系列順なので、フィードにおける位置でおおよその新旧を見積もれる。ここから後ろは古いニュースなので無視するといった操作ができる。

  • すべての記事のなかから読みたいものを探すスタイルなので、取りこぼしがないかわりに探す作業は必要になる。

  • 登録しているフィードのなかに読むべきものがなかった場合にはそれがフィルターバブルになる。

挑戦は、この二つのよしあしを、有限の時間とアテンションのなかに落とし込む点です。

アルゴリズムで制御されている Medium のタイムラインにはなるほど面白い話題がたくさん流れてくるのですが、それを全部読んでいる暇はありません。

RSS フィードはなるほど有限かもしれませんが、やはり興味のおもむくままに登録しているとノイズのほうが多くなって1個の面白い記事を読むまでに500個の表題に目を通さないといけないという私のようなことになってしまいます。

Medium の Editor’s Pick フィード

まず今回はこうした問題点があるという指摘にとどめますので、この状況への特効薬は示すことはできないのですが、いま私は自分の情報ストリームと RSS リーダーの整理を行っているところですので、その様子についてこれから何回かにわけて紹介したいと思います。

いまちょっと気に入っているのは、Medium のアルゴリズムと編集部が決定した “Editor’s Pick” のようなカテゴリの RSS フィードを購読するという手法です。

Editor’s Pick だけでなく、“Technology” や、“Politics” といった大きなカテゴリについてはそれぞれ実は RSS がありますので、アルゴリズムが浮上させている記事を、有限の RSS に落とし込んで読むことができるのです。これは本当におすすめ。

ひとまず明日は、自分の Feedly / Feedbin の購読をいったんすべて消去して、ゼロから情報の流れを構築し直すところをしてみようと思います。

もし、この流れに興味があるなら、このブログの RSS も購読していただけたら、見逃すことなく続報をお届けできると思います。

堀 E. 正岳(Masatake E. Hori)
2011年アルファブロガー・アワード受賞。ScanSnapアンバサダー。ブログLifehacking.jp管理人。著書に「ライフハック大全」「知的生活の設計」「リストの魔法」(KADOKAWA)など多数。理学博士。