x.ai:メールをccすると人間のふりをして予定を決めてくれるAIサービス

次に伸びてくるのはこの分野だと思って間違いなさそうです。x.ai は、他のひとから予定を決めるメールが届いた際に、秘書がいるふりをしてccをするだけで自動的にやりとりをしてやり取りをして予定の詳細を決めてくれるAIサービスです。

相手の側に立つと、人間を相手に予定のやりとりをしているのと同様で、予定が成立するとイベントを立てて両者を招待してくれるという仕組みになっています。

まだ英語のみのサービスですが、いずれは日本にもこうしたものはやってくるでしょうから、その未来感を紹介しておきたいと思います。

人間のふりをする、アルゴリズム

x.ai の使い方は、あまり人に公言するのがよさそうなサービスではありません。「予定は空いていますか?」というメールがあると、受けた側は秘書がいるかのように「その件はAmyと詳細を決めてくれ」と x.ai のアドレスを cc して返事をします。

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Amy というのは一例で、名前は設定することが可能です。自分の空き時間や、どのような時間と場所が好みであるかは x.ai 側で指定しておくことができます。

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するとそこからは、x.ai のアルゴリズムが勝手に相手と会話をし始めて、予定を決めにかかります。

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「この時間はダメなので、こちらはどうか」といった多少のやりとりも、x.ai が自動的に判別して、空き時間のスロットを提案してくれます。やりとりも人間臭く演出されているので、すぐにはこれがアルゴリズムだと気づきません。

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最終的に予定が決まると、イベントを立てて、メールを送ってきた人と自分とを招待してカレンダーに予定を自動的に追加してくれます。

x.ai の設定はかなり柔軟で、ランチの提案ならば時間は何時から何時まで、電話会議ならば何分以内にしたい、予定と予定のあいだをどのくらい開けておきたい、といった調整も可能です。また、イベントへの「不参加」のクリックに反応してリスケジュールを行うといった機能もあります。

バーチャル秘書は必要。でもこれではない気も

その昔、I want Sandy というバーチャル秘書サービスが存在して、メールだけで予定の入力、ToDoの設定、リマインダなどといった機能を提供していました。

x.ai はさらにその数段上をいっていて、失礼があってはいけない類のやりとりさえ任せています。本当に大丈夫なのかと気になるところです。あと、向こうも x.ai を使っていたら自動的に機械同士でなんとかしてくれるのでしょうか?(笑)

実際、ここが x.ai の発展途上な点だともいえます。

本当なら、ユーザーのバーチャル秘書同士が空き時間をみて勝手に勝手に予定と場所を決めてくれるくらいのほうが、本来はよいわけです。人間は「会いましょう」という決断だけを行い、詳細は機械にまかせてしまうわけです。

x.ai はそうした AI だらけの世界になる前段階の、人間対機械のサービスを構築しています。しかしいずれは、この程度のことは機械が、アルゴリズムが殺ってくれるのでしょうね。

英語のみというのはありますが、興味があるのでまずは登録だけしてみました。名前はそうですね。とりあえずは「アリス」でいいのかも。

AI
堀 E. 正岳(Masatake E. Hori)
2011年アルファブロガー・アワード受賞。ScanSnapアンバサダー。ブログLifehacking.jp管理人。著書に「ライフハック大全」「知的生活の設計」「リストの魔法」(KADOKAWA)など多数。理学博士。