60秒だけ、立ち止まってみる

きっと、スティーブ・ジョブズの再度の病気との戦いについてのニュースが、何かを呼び起こしたのでしょう。43Folders の Merlin がジョブスのスピーチの引用に引き続いて心に残る言葉を書いています。

None of us should ever have to face death to accept the inflexible and, too-often, novel sense of scarcity that it introduces.

この容赦なく過ぎ去ってゆく希少な人生というものを感じ取るために死と向き合わなくてはいけないなんて、誰の身にも起こってほしいとは思わない。

In fact, it’d be great if we could each skip needing outside permission to be awesome by not waiting until the universe starts tapping its watch.

実際、僕ら一人一人が「最高の自分」になるために残り時間のカウントが気になり始めるまで許可を待っているなんてことをすっ飛ばすことができれば素晴らしいと思うんだ。

A simple start would involve each of us learning to care just a little more about a handful of things that simply aren’t allowed to leave with us–whether today, tomorrow, or whenever. Because, I really believe a lot of nice things would start to happen if we also stopped waiting to care. A whole lot of nice things.

最初の一歩としては、僕らがいなくなるのが今日であれ、明日であれ、いつであれ、あとに残したいと思っている何かについてちょっとでも気にかけるようにすればいいと思う。ちょっとでも立ち止まってその「何か」を気にかけるようにすれば、きっと素晴らしいことがいくつも生まれると思うんだ。

Merlin の言葉でとても引っかかるのは「awesome になるのを待っている」という部分です。awesome というのは、「すごい奴」とでも訳しておくとわかりやすいでしょうか。「自分にはできない」「まだ準備ができていない」「もっとすごい人がいるし…」といった理由をみつけてはawesome になることから手を控えている人があまりに多すぎて、それがとてももったいないことだという気持ちが伝わってきます。

自己不信に苛まれていたり、もう少し成功の見込みがあったら自分も行動できるのになあ、と考えている人がいるなら、その人は孤独ではありません。多くの人がそうしてスタートラインに立ったままで次の一歩を踏み出せずにいます。でも逆に考えれば、それならば一歩前に出た人が無限に有利ということでもあるのです

この文章を読んでいるみなさんにお願いがあります。たった60秒でいいので、立ち止まってください。ツイッターのタイムラインから目を離して、忙しく次の記事へとショートカットキーを叩く指を休めて、「私は……をあとに残す」とつぶやいてみてください。

そこに埋まるのはどんな言葉でしょう。家族との思い出でしょうか、社会の役に立つ事業でしょうか、なんらかの著作や作品でしょうか。

この空欄に何も見いだせなかった人は、もう60秒を使って、せめて最初のとっかかりだけでも考えてみてください。「まずは……を始める。きっとその先に答えがある」というのでもいいのです。

Awesome に生きるために誰かの許可なんて要りません。許可はいつまで待っていてもやってきません。逆に、Awesome に生きてやる、そう思ったところからすべてがスタートしています。

そうであればこそ。Start being awesome.

堀 E. 正岳(Masatake E. Hori)
2011年アルファブロガー・アワード受賞。ScanSnapアンバサダー。ブログLifehacking.jp管理人。著書に「ライフハック大全」「知的生活の設計」「リストの魔法」(KADOKAWA)など多数。理学博士。