Getting Things Done (a.k.a. GTD) part (1)

Getting Things Done

GTD の極意は「頭をからっぽにする」ことにあります。私たちは一般に、仕事の能率が高い人は、たくさんのことを暗記して、たくさんの仕事の優先順位を脳の中で統括していると考えがちですが、それをまったく逆だと言うことを David Allen は言っています。

アクションリスト

私たちの日常は、それこそ信じられないほどの行動(アクション)で構成されています。「今日中にAさんに電話する」、「Bさんからのメールに返事する」、「その前にCさんと会議の件で意見調整をする」という仕事上のタスクから、「家に帰るときに買い物をする」、「植物に水をやる」といった日常のこと、そして「フランス語を身につける」、「新しい財務ソフトの使用方法に慣れる」などといった将来への投資のための行動などです。

しかし、あるアクションは他のアクションよりも緊急性が高いために、「フランス語」などは日常の忙しさに追いやられて、いつしか忘れ去られてしまうことが多いはずです。そしていつでも仕事に追いかけられているという感覚が日常的になってしまい、目先の事しか出来ないようになってしまいます。

さらに、こうした状態は「本当にしたいことができていない」というストレスや、「いつも仕事が片手落ちで完了していない気がする」というもやもやとした状態を生み出します。これでは効率的に仕事を片付けているといはいえません。

GTD ではこうした全てのアクションを一度頭の中から取り出して、信頼できるシステムの中に預けてしまいます。これをアクションリストといいます。「なんだ、ToDo リストか」といえばその通りですが、頭のなかにある、「あ、あれやっておかなきゃ」という心配事が全てなくなってしまうまで、リストに何もかもを書き込んでゆくところに神髄があります。

こうしてからっぽになった頭には心配事も、ストレスもありません。この明鏡止水の状態で、頭の外のリストに取り出した仕事を片っ端から「やっつけて」いきます。

このやっつける部分にも工夫があるのが GTD ですが、それは次回

堀 E. 正岳(Masatake E. Hori)
2011年アルファブロガー・アワード受賞。ScanSnapアンバサダー。ブログLifehacking.jp管理人。著書に「ライフハック大全」「知的生活の設計」「リストの魔法」(KADOKAWA)など多数。理学博士。