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リストにリストを作り続ける、アダム・サヴェッジの仕事術


アダム・サヴェッジ氏は、日本ではあまり知られていないかもしれませんが、アメリカだとかなりの有名人です。

インダストリアル・デザイナーとして IML でスター・ウォーズ Ep1 「ファントム・メナス」やEp2「クローンの攻撃」に参加し、映画「マトリックス・レボリューションズ」では特殊撮影も担当しています。近年だと、都市伝説を科学的にチェックする番組 MythBusters のホストの一人としても知られており、デザイナー、テレビパーソナリティなどとして活躍しています。

そんな彼の著書「Every Tool’s a Hammer」が登場しており、Wired で彼の仕事ぶりについて書かれた抜粋が記事になっていました。これが、リストづくりをするひと、タスク管理をするひとにとって必読の内容になっています。

チェックボックスからやる気を生み出す

クリエイティブな仕事をしている人がたまに口にするのが「創造的な仕事を箇条書きで管理することはできない」といういいわけです。しかしそれはまったく間違っているとアダムは指摘します。

たとえばILMにおける仕事でも、リストは日常の重要なツールだったと彼は述懐します。クリエイティブなデザイン、それもスター・ウォーズほどの緻密で一貫性が求められる仕事においては、たった一つの映像のモデリングにも膨大な検討事項が発生します。それをリストで管理することを、アダムは上司から学んだのだといいます。

それはまったく単純な方法で、一つ一つのやるべきことを四角つきのチェックリストで管理するやりかたです。作業を開始しているものについては半分だけ色を入れて、終わったものについては色を塗りつぶすことによって、仕事のどの部分が動いていて、どの部分が停止しているかを見た目でわかるようにします。

誰もがやっている方法にみえますが、ここでアダムがちょっとおもしろい表現をしています。このチェックボックスの色付けはもちろん仕事を管理するためのものでもあるのですが、いま自分の仕事にどのような「勢い = モーメンタム」がついているのかを直感的に把握するためなのだそうです。

仕事は、進捗している実感がある方がさらにうまくいきますが、チェックボックスの色付けにそうした心理的な意味を積極的に見出すことでこれを単なるツールの使い方のルールではなく、自分を鼓舞するモチベーションの源泉にしているのです。

リストの上にもリストをつくる

Wiredの記事はさらに具体的にアダムのリストの作り方を紹介していますが、これがまた自己流の Getting Things Done の方法になっており、単純な ToDo リストしか作ったことがないひとには自然に実践できるテクニックになっています。

アダムの場合、彼ははじめに漠然と頭の中の注意を奪っていることがらを、曖昧なまま書き出していきます。

買い物、仕事、修理といったように、やらなければいけないことを紙一枚に書き出していきます。この段階では、具体的なことはほとんどなにも書いていませんので、このリストに対してアクションを取ることはできませんが、少なくとも書きだしたことによって大きくストレスが軽減されます。

次に、曖昧なキーワードに対して、多少具体的な目的をぶら下げていきます。「買い物」だったら「子どもの誕生日祝を買う」といったようにです。先程の階層はなにが目的かわかりにくかったですが、この階層では多少具体化してきます。何が達成されればチェックボックスを塗っていいかが見えてくるのです。

このあとで、三階層目のリストが作られます。ここでようやく、かなり具体的なアクションが見えてきます。たとえば誕生日祝いを買うという目的なら「何を買うのか決定する」「いつまでに予約するか決める」といったように、アクションがとれるものが多くなってきます。

こうしてようやく、頭の中にあいまいに浮かんでいた欲求や衝動といったものが、具体性のあるアクションにつながってゆくのです。そしてそれを具体化させてアクションを実行するたびに、全体が進行している「勢い」が感じられるようになってくるのです。

リストづくりは終わらない

もちろんこのリストは一度作って終わりではありません。作業を進めるうちに増えてくるものもありますし、いつまでも実行できない項目も生まれます。

そこで、勢いが衰えてきたように思えたら再度作成して、停滞している部分に新風を吹き込みます。いわゆるレビューの作業を適当なタイミングでいれるわけです。

面白いことに、アダムはここまで詳細にリストを作ってもそれを放置することもあるそうです。それもまた、「勢い」に関係しています。

作ったリストを全部実行することが目的なのではありません。やるべきでなくなったタスクもあれば、勝手になんとかなってしまったタスクもあるわけで、リストは本当にやるべき「勢い」を生み出す箇所をわかりやすくするためにも仕えるわけです。

世の中にはToDoリストを好まないひともいて、頭の中ですべてを管理したり、「フィーリングを大事にする」と言い出すひともいます。しかしそうした人だって、2つのやるべきことの間で常に順序はつけているわけで、それは書き出されていないだけでリストといえるのです。

ToDoリストが非生産的な理由

たとえばこんな記事がライフハッカーにかかれてしまうこともあるのですが、それはToDoリストに対する本質的な誤解からうまれているようにみえます。

つまりToDoリストというツールの手法そのものが仕事を可能にしているのではなく、それによって自分はどの部分に着手できるのか? どの部分にいま興味があるのか? どの部分がいま困難と感じているのか? という勢いの可視化が、仕事のアクションをとりやすくしてくれているわけです。

アダムのリストづくりの方法と同じである必要はありません。しかしリストから「勢い」を感じているかという向き合い方は、リストを使った仕事術の根本として大いに参考になると思います。

Every Tool’s a Hammer: Life Is What You Make It

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著者について

堀 正岳

「人生を変える小さな習慣」をテーマとしたブログ、Lifehacking.jp 管理人として、仕事術、ライフハック、テクノロジー、文具、ソーシャルメディアなどについて執筆中。2011年アルファブロガー・アワード受賞。Evernote ライフスタイルアンバサダー。ScanSnapアンバサダー。この他のブログに、ライフ×メモ 、Climate+を運営しています。