選択肢が膨大だからこそ、誰もが自分に最適な方法を探せるようになり、ライフハックは一周回って楽しくなった

ライフハックメディアの中心で有り続ける「ライフハッカー日本版」で、勝間和代さんとライフハックにまつわる話題についてじっくりとお話させていただいた記事が掲載されました。

勝間和代×堀正岳対談。今ほど「ライフハック」が楽しい時代はない

勝間和代は「コスパ」のためにヘッドフォンを5個買う。ライフハック的ガジェット論

この企画は勝間さんの「勝間式 超コントロール思考」の出版を記念してのもので、本書の背景に流れている「生活をコントロールする」というテーマの本質について私が迫るという目標で臨んでいました。

記事を読んでいただければわかるように、勝間さんにはどうしてもコントロールしたい生活上のストレス源や、快適さに対する飽くなき好奇心がたくさんあります。そうした譲れないポイントがあるからこそ、ちょっと過剰にもみえるヘッドホンの五個買いや、自炊のハックが本人には合理的になるのです。

すべての人に合理的なのではありません。勝間さん個人が快適さを追求した結果のハックの数々で、他の人には他の解が人それぞれあって、それを追求することこそがライフハックなのだというところまで触れられたのが、今回の対談の成果だったと思います。

一番いい方法はないけれども、一番合っている方法が探しやすくなった

そして一番印象的だったと思うのは、勝間さんの「いまほどライフハックが楽しい時代もない」というコメントだと思います。

これは初期のライフハックが追い求めていた、仕事の生産性や生活の便利さにおいて知らなければ圧倒的な損をする「秘技」のようなものがあるという話ではなくて、選択肢が膨大だからこそ、誰もが自分に最適な方法を探せるようになったということだと思います。

考えてもみてください。10年前にはまだiPhoneやEvernoteのようなサービスが存在しないか一般的ではありませんでしたから、それを知っていて利用している人と、そうでない人には大きな違いがありました。

ライフハックが「IT時代の仕事術」などといわれた理由がそこにあります。知っていると得ができる、情報格差としてのライフハックです。

しかしいまはそうではありません。便利なものは溢れていますし、アプリやガジェットやウェブサービスや仕事と生活の整え方にも選択肢がいくらでもあります。だからこそ、一番合っている方法が最善になったのです。

これはガジェットやサービスが普遍的になったからこそ、ライフハックという言葉が指している意味が止揚され、「特別な道具を使う」から「自分に合った道具を探す」という具合に変わったとも言えます。

そういう意味では、たしかに勝間さんの言う通り、いまほど「ライフハックが楽しい」時代もないわけです。

仕事はこうあるべきだという思い込みでストレスをおさえこむのも、最強のツールを探しまわるのも、もう時代に合ってはいません。私たちは本当の意味で人生をハックしなければいけない。そう感じた対談でした。

最後になりましたが、勝間さんの勢いに必死でついていくわたしの様子をふくめて見事にまとめてくださったライターの長谷川賢人さん(@hasex)、記事を編集してくださったライフハッカー編集部のみなさん、ありがとうございました。

ライフハッカーには、またお邪魔しますね!

堀 E. 正岳(Masatake E. Hori)
2011年アルファブロガー・アワード受賞。ScanSnapアンバサダー。ブログLifehacking.jp管理人。著書に「ライフハック大全」「知的生活の設計」「リストの魔法」(KADOKAWA)など多数。理学博士。