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ソーシャルな情報爆発を制御する「コンテキスト」の必要性



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ツイッターで「いまこの曲を聞いている」というつぶやきを見た頃はのどかなものでした。まだ今ほどつぶやきも多くなく、ノイズのレベルも低く、「へえ、それってどんな曲だろう」と検索しにいくくらいには、心を動かされたものです。

いまは?

私のタイムラインでは「いまこの曲を聞いている」だけではなく、「いまこれを食べている」「いまこの製品をチェックした」「いまここにいる」といった情報が終わることなく流れています。そしてその多くは本人には現前たるものであっても、私にはただのノイズです。

有用な情報をブログなどで発信する人でも、ツイッターやFacebookのタイムラインが常に有用とは限りませんし、そもそも有用であるかどうかは後付けでしかわからないということもあります。

私にとってそれが人生の貴重な一秒一秒を与えるに足るものであるかを選び出すフィルターの必要性は、情報量と比例して高まる一方なのです。

コンテキストの世界へ

どんなソーシャルネットワークでもまっさきに頭からとびこむ Robert Scoble がこのノイズの問題について記事にしていて興味深い考察をしています。

きっかけは、Facebook のタイムラインで情報がとても効果的なアルゴリズムで間引きされていることについて、スタートレックで有名なジョージ・タケイがそれを本で扱って、すべての投稿がフォロワーに届くべきだとしていることに対する反応です。

Robert はこれを愚かだと断定します。彼がフォローする IT 系のニュースソースでも次のような問題があるといいます:

  1. マーケティングの言葉はそれだけでは得るものが少なく、ノイズでしかない
  2. 情報の聞き手のことを意識している人は少ない。結局は一人称で自分の体験についての情報が先行して、それはタイムラインのこちらがわで読んでいる人の価値に直結しない
  3. すべての人に感情がある。たとえ普段はシグナルの強い情報発信者でも、政治のことになったり、個人的なことになると急にノイズレベルの高い発信者になってしまうことがある
  4. 結局、「江南スタイル」のように共有されているものだけが共有される

同じようなことは私達の周囲にもありますよね。しかし一方で地震が発生した時のいっせいのつぶやきにはもちろん即時性の意味がありますし(5分も経てばノイズですが…)、一見無駄なやり取りにも思わずにやりとするネタを見つけることだってあります。

人間がノイズからシグナルを見つけ出す能力は非常に高いですが、いずれすべての人の Nike Fuelbandが、デバイスがつぶやきだし、すべての人が自分の日常を発信するようになるにつれ、ノイズの量は処理可能な量を超えてしまいます。

単位時間に送信されるノイズ量がパソコンの画面の広さを越えるからこそ、Facebookの投稿間引きは必要だったのですから。

コンテキストのファイヤーウォール

そこで必要なのは「コンテキスト」を自動的に見つけ出すことで、それはノイズに対する戦争を意味します。

I want Facebook to pick the best 20 items to show me every single time I refresh that screen. It does very well at it. Far better than Twitter and Google+ and others, so far.

僕はFacebookのページを再読み込みするたびに、最も読むべき20件を自動で選んでほしい。今のところFacebookはそれをツイッターよりも、Google+よりも上手にやってのける。

これは意識していました。Facebookは私の友人関係、そして過去に誰に「いいね!」を押したかなどといった情報をもとに自分が読みたいと思っている人をなるべく探しだす傾向があります。

まだまだそのアルゴリズムは改変の余地があります。いまは過去の経験から演繹しているだけですが、膨大な情報のなかから、私の興味を引くものを先行して選び出す道筋もあるはずです。

たとえば古い友人のステータスが独身から既婚に変わった時など、数百人のフレンドの中からそれを検索するのではなく、その事実がタイムライン上に浮上して、私が目にする可能性を高めてくれるなら、それは「私」というコンテキストをちゃんと予測していることになります。

Levels3

いま私がほしいのは、自分の興味のレベル、あるいは到達してもよい自我のレベルをいくつか分けた上で、あるレベルにまでしか情報が到達できないフィルターのようなものです。

レベル3、それこそ私の実時間をかけて処理すべきものを可能な限り減らすことをこのフィルターは目指すはずです。そのために、私が無意識に行なっている行動を参考にすることでそのフィルターは自分自身を定義してゆくはず。

実際、すでに Gmail のフィルターでやっているのはそれに似たことです。100個以上のフィルターによって、目にする必要もない情報は自動的に削除され、蓄積しておくほうがよいものの、能動的に見る必要のないものはアーカイブされ、時間があるときに読むべきものにはラベリングが行われ、絶対に見落としてはいけないものは Proority Inbox によってキャッチがされます。

似たようなフィルターを、ツイッターについても、RSS についても必要としています。そしてそれは一時期流行ったソーシャルなキュレーションだけでは無理なのです。

まだまだノイズとの戦争は始まったばかりですが、Facebookのタイムラインの進化とともに今後の情報処理で注目に値するキーワードが「コンテキスト」であることはあきらかです。

なにもかもがつぶやき始める世界で、私たちはこのノイズとの戦いに勝利できるのでしょうか?


著者について

堀 正岳

「人生を変える小さな習慣」をテーマとしたブログ、Lifehacking.jp 管理人として、仕事術、ライフハック、テクノロジー、文具、ソーシャルメディアなどについて執筆中。2011年アルファブロガー・アワード受賞。Evernote ライフスタイルアンバサダー。ScanSnapアンバサダー。この他のブログに、ライフ×メモ 、Climate+を運営しています。