地球温暖化対策を人生にあてはめてみると...

ライフハックは獲得と喪失の話でもあります。いえ、純文学の話ではなくて、ライフハックというのは新しい習慣やテクニックの「獲得」が一方、余計なことの削除・最適化による「喪失」が他方にあるのだなあ、といつも感じていることについてです。

たとえば「メールを一日に2度だけしかチェックせず、バッチ処理する」「テレビなどの無駄時間を見つけて消去していく」というのが効率化の上で自分からなにかを消し去ってゆく話とするなら、GTD の習慣などは明らかに時間をかけてテクニックを獲得することでメリットを得ようという話です。

今日、私は都内の某大使館に足を踏み入れて、地球温暖化対策に伴う今後の CO2 削減についてという講演を聴きに行ったのですが、そこで私は上の二つを思い出させる、とても印象に残るグラフを目にしました。詳細は省いて簡略化したものを下に示します。

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このグラフは、目標としている CO2 削減量を x 軸で示したとして、y 軸はそれにかかるコストを著しています。 省エネなどは追加のコストがないため、下向きに表示していますが、新エネルギーの開発などは投資が必要なため、上向きに描かれています。

紹介されたのは一つの試算にすぎませんでしたが、非常に面白かったのは、このグラフのふたつの部分、緑色の部分とオレンジとがほとんど同じ面積だということ。つまり、省エネなどのようにやればやるほどお金を得する活動と、先行投資とがちょうど相殺するところまで、現在の技術で可能だという点です。

本当にここまで楽観的に進むかは別の問題ですが、現在の省エネで作り出したお金を将来への先行投資にすることで、将来の苦労を殺せるというのは、私たちのライフスタイルにもいえることではないでしょうか?

4HWW などのテクニックを使って時間を作ったなら、こんどはそれを一生使える習慣作りやライフスタイルの検討につかえば、習慣のもたらす益は long tail をもっているものですから、コストは相殺するどころか、時間が経つほど得が多くなってゆくことは間違いありません。

今日の講演でも結論となったのは、ここまでわかったのなら、あとは一日でも早く行動に移すことが将来へのメリットを増やすこと(デメリットを減らすこと)につながるという話でした。地球の命運と人生とが相似に見えてきますね。

そうそう、「環境問題」について世界同時発信を行う Blog Action Day は来週です。参加してみようという方は、ぜひサインアップしてください。

堀 E. 正岳(Masatake E. Hori)
2011年アルファブロガー・アワード受賞。ScanSnapアンバサダー。ブログLifehacking.jp管理人。著書に「ライフハック大全」「知的生活の設計」「リストの魔法」(KADOKAWA)など多数。理学博士。