全部自分で背負うことはない。地水火風の人の力を借りる話:Pam Slim 基調講演 [WDS]

wdsopening-095 World Domination Summit がこれまで参加したこともないすごいイベントだったのは、スピーカーだけでなく、来場していた一人一人によるものでした。

休み時間に屋外で座っていても、となりに座った人に気軽に話しかけるだけですぐに会話が広がっていきますし、お互いのプロジェクトについて議論をすることができる空気がみなぎっていました。

「コンサルタントの仕事は、どのようにしたら awesome (すばらしい)になれるかを教えることだけど、これだけの awesome な人を前に何を話せばいいのかしら」

初日の基調講演で Pam Slim がまずそう切り出すほど、会場は興奮に包まれていました。しかし彼女にはもちろん、伝えるべき大事なメッセージがあったのです。

ルーツを探し求めて、その力を借りること

多くの「ライフハック」「仕事術」はなるべく多くの人を対象としているために人々の多様性を見失いがちです。

たとえばデスクワーク、交渉能力、プレゼン能力、発想力、開発能力など、すべて能力が一人の人に完璧に備わるはずがないのに、どこかですべてに強くなくてはいけない、弱みがあってはいけないという雰囲気にのまれている面がある気がします。

「あなたが起業家であれ、すごい才能をもった芸術家であれ、周囲のひとから力を借りないことには厳しい世界を渡ることはできない」Pam は自分の息子が夢中になっているアニメと映画を引き合いにして、人々を4つにわけで説明してみせました。

  1. 風の人: 雰囲気を操る能力をもっていて、その人が存在するだけでリラックスすることができる人物

  2. 水の人: 多くの組織で過小評価されがちな内省的な人。しかし実はその思考力や類推を追い求める力で、他の人にみえないつながりを見いだしてゆく

  3. 地の人: 非常事態が起こっても動じない、地に足がついて状況を冷静に判断できる人

  4. 火の人: 多くのインディアンの儀式で火が癒しのために使われるように、火は利口に使えば静かな力となる。それと同じように、心配事があるときに、心に癒しをもたらす人を Pam は火の人としています

Pam 自身が夫であるナバホ族のフレームワークで語るので若干わかりにくいですが、自分の周囲に少なくとも4種類の力を与えてくれる人を見いだそう、多様性から力をもらおうという理解でよいのだと思います。

自分を知ることが安心につながる

満場が驚いたのは Pam がどのようにして「安心感」を得るかという話にさしかかったときでした。壇上に上がった数少ない日本からの参加者、松本さん (@mma323) といきなり大乱闘!

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もちろん打合せ済みのスタントだったのですが、Pam も格闘家ですし松本さんもブラジル柔術の使い手ですので手に汗を握りました(笑)

Pam のパフォーマンスの要点は、外からやってくる大きな力に力で対抗するにも限度があるし、いずれはパニックを起こしてしまうという点でした。

「自分の能力と性質を正確に知ること、それが『私はこの状況でも安心なのか、それとも逃げるべきなのか』という直感を与えてくれます」

「想定外」が普通なこの世界で、いかに心の落ち着きを保つかについて、人の力を借りること、そして自分の立ち位置を知ることは確かに大事ですね。

さて、この調子では WDS が終わって数週間経っても全部を記事にすることはできませんので、次からはスピードにのって紹介していこうと思います。

たった二日間でしたが、まだまだすごい講演が続いていましたので!

WDS
堀 E. 正岳(Masatake E. Hori)
2011年アルファブロガー・アワード受賞。ScanSnapアンバサダー。ブログLifehacking.jp管理人。著書に「ライフハック大全」「知的生活の設計」「リストの魔法」(KADOKAWA)など多数。理学博士。