物書きをする人の楽園:Scrivener [Mac OS X]

(updated : 2008/08/25)
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理系のくせに文章を書くのが至上の喜びである私ですが、それでもある程度以上の長い文章になると苦しさのほうが勝ち始めます。

文章を書く苦しみはページ数の二乗で増えてゆくということをかの伝説の研究者に教わりましたが、私にとっては原稿用紙10枚を越えたあたりから頭が混乱し始めて、二乗などという騒ぎではなくなります。論文を書くときなどはいつも七転八倒です。いえ、それが楽しいのですけれども…。

いくぶん軽快になったとはいえ、Microsoft Word 2008 でいきなり原稿を書き始めるのも作業をするうえではブレーキになります。目次・見出し機能が使いにくかったり、入力スピードに Word がときどき追いつけなくなるためです。

いま現在、非常にたくさんの文字を並べる仕事をしている最中なのですが、こうしたときに去年あたりから愛用しているツールが Mac OS X 上のライター向けのエディター、Scrivener (スクリヴナー)です。

まとまった文章を書く人にとってはとても嬉しい機能がいくつも入っていて、まさに「楽園」です。

シノプシスと資料を一枚の画面に

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Scrivener では、実際に文章を書いている場所とは別に、シノプシス(あらすじ)を入力する画面と、文書の参考資料を置いておける場所があります。資料として貼付けることができるのは、画像、音声、動画、PDF など、およそ資料になりそうなものはなんでもおいておけます。これがなかなか便利で、Scrivener から別のアプリケーションに移動しなくてもいいので集中力が途切れません。

小説家もうれしいアウトライン・情報カード機能

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Scrivener には高機能なアウトライン機能がついていて、小説家や、本を書く人向けにチューニングされています。例えばアウトラインには「初稿・一次改稿・二次改稿」で選べる列や、自由に設定できるラベルの列があります。ラベルの列にはたとえば小説をかいているなら「主人公」「副主人公」などという項目を追加して、場面が誰の視点で書かれているのかなどを可視化できるようにしてあります。

アウトライン機能と同じくらい便利なのが「コルクボード」機能で、複数のセクションをカード上にして並べて、順序を入れ替えたり、シノプシスを編集することが可能です。ある章の3節と4節を書いた後でこの二つの順序は逆の方がよいと気づいたなら、コルクボード上でカードの順序をいれかえるだけで十分なのです。

フルスクリーン編集機能

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文章を書いているときには、文章だけに集中したいものです。デスクトップ上のよけいなアイコンや、メニューバーはめざわりでしかありません。そこで Scrivener のフルスクリーンモードを使うと、画面が編集中の文章のページだけになり、書くことだけに専念できます。このモードでも、左側にアウトライン、右側にシノプシスと資料などを置くことは可能で、文章の向かう先を横目でにらみながら執筆ができます。

目標文字数をゲージで表示

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自分が非常に愛用しているのがこの、目標文字数ゲージです。あらかじめ「この節では 1500 文字が目標」と設定しておくと、目標数値に向けてどのくらいの文字数が書かれているのかゲージで表示されます。このゲージを横目にみながら、「そろそろ起承転結の転に入らないと」といった判断を行うことができますし、単純に「あと2割くらい!」と自分を励ませるのです。

ゲージは「英単語数」あるいは「文字数」で設定でき、日本語の入力でもちゃんと全角1文字を1つとして数えてくれます。

まとめて一つの Word ファイルに

こうして大量の文章をかいたあとは、アウトラインの任意のレベルから「このレベル以下をまとめて Wordに」といった書き出し方が可能です。書き出す場合、一つ一つの節を1ファイルにすることも可能ですし、全てが連結した一つのファイルを書き出すことも可能です。

なんというのか、文章を書く人にとって必要な機能のほとんどが入っているといってもいいのが、このScrivener です。動作は非常に軽快ですし、2秒のアイドル時間で自動バックアップをとる、編集履歴をちゃんと残してくれるなどの、編集トラブル対策もしっかりしています。日本語の入力、検索、書き出しにも問題はありません。

けちのつけどころがほとんどないのですが、書き出される Word が実は RTF の拡張子が違うだけのファイルなので Spotlight検索などにひっかからない(Word で改めてセーブする必要あり)のと、Word 形式での書き出しを行った場合、文書サイズが自動でレターサイズになってしまうので印刷するときに「用紙がありません」などとしかられたりする、といった細かい点だけが課題です。本当に細かい点ですので、このツールを使うことで節約できる脳内ストレスを考えれば、些事といってもいいでしょう。

$39.95 と、ちょっと高めのアプリですが、この機能だったら倍の値段でも買うと断言できます。文章を書くのが好きで、猛烈にキーボードを叩いているときに喜びを感じるという同好の士は、ぜひこの「楽園」に一度足を踏み入れてみてください。

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