ブログを、仕事を加速する「点数制」システム

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むかしむかし、管理教育華やかなりし頃のこと。とある学校での話。

素行が落ち着かない男子生徒のしつけを効率的に行うために、クラスで「点数制」が敷かれました。最初の持ち点は10点で、廊下を走ったりするとマイナス1点、忘れ物もマイナス1点、けんかはマイナス3点といった感じで持ち点を減らしていきます。で、ゼロになると親を呼び出されて説教されるという仕組み。

点数をつけるのが先生ではなくて同じクラスの女子だというあたりがなんとも時代がかっていますが、My Revolution が売れていた時代でもありましたので、運用1週間にして生徒の静かな拒否運動の末にこの仕組みは崩壊。思い出だけが残りました。

今日紹介するのはこんなネガティブな点数制ではなく、ProBlogger で紹介されていた、「点数制でブログのモメンタムを維持する」というポジティブなものです。

仮想的な点数で仕事の大小に重み付け

ブログの維持は、案外果てのない作業で、「ここまでやればOK」という明確な線引きをできないことが多くあります。こういうときに仮想的に点数をつけることで、作業の進捗をコントロールしてみようという発想です。たとえば、

  • 10点: 長い記事をアップした

  •  5点: 短い記事をアップした

  •  2点: 今までコメントしたことがあるブログにコメント

  •  5点: 今までコメントしたことのないブログに初めてコメント

  •  1点: 自分のブログにコメント

  • 10点: 新しいプラグインのインストール、バックアップ、etc.

という風に目安の点数をつけて、1日50点を目標にします。自分のブログにコメントしているだけでは点数はたまらないので、どこかで記事を書いたり、今までとは違うブログにコメントをすることで点数を稼がないといけない仕組みになっているのに注目。

この方法が見事なのは、「今日は長い記事はかけないな」と思ったときには別の活動を活発に行うことで代わりになる点です。日によっては長い記事を書くことで50点をかせぐ日もあるでしょうし、あるいは他のブログにコメントをすることで稼ぐこともあるでしょう。とにかく、全体として作業が常に進んでいる状態を作り出すのがこの仕組みの目標になります。

上記の点数は一例に過ぎません。人によっては他のブログにコメントするのは心理的に苦手なのでもっと高得点を与えたいと思う人もいるでしょうし、長い記事よりも短い記事をたくさん書くブログをイメージしているなら長い記事に与える点数を低くすることも考えられます。

仕事においても同様のことが考えられます。たとえば、

  • 8点:最重要課題に取り組む

  • 3点:資料収集

  • 3点:整理整頓

  • 2点:メールの返信

  • 5点:上司に進捗報告

というように自分の心理的負担と客観的な重要性で勝手に点数をつけて、毎日目標を定めるのもいいかもしれません。応用方法はたくさんありそうです。

重要なのは「よどみなく何かが進行している」という状態を作り出すことで、到達できないハードルを作ることではありません。一日のノルマを「大きな仕事1 + 小さい雑用2」くらいでクリア出来るようにしておけば、気分がのってきてノルマ以上にできる日もあるでしょうし、調子の悪いときにも気に病むことが少なくなります。

また、これは個人的にやるもので、他人と点数を競えるように複数の人のチームでこの方法を導入してもうまくいかなさそうな気がします。ある人にとってメールの返信は1点くらいの価値しかなくても、別の人には4点分くらいの心理的負担があったりして、点数に対する価値観が違うからです。

そういえば昔の教室で点数制が崩壊した理由は男子が窮屈に感じていたからですが、女子にとっては「じぶんが好きなあの子の点数を引いたりできない」というものでしたっけ。これも価値観の違いか…。

堀 E. 正岳(Masatake E. Hori)
2011年アルファブロガー・アワード受賞。ScanSnapアンバサダー。ブログLifehacking.jp管理人。著書に「ライフハック大全」「知的生活の設計」「リストの魔法」(KADOKAWA)など多数。理学博士。