「知的生活の設計」はじめに ー あなたの「知的生活」を設計しよう
発売が3日後にせまった「知的生活の設計」ですが、「知的」という言葉が入ってちょっと重々しいタイトルになっているところに「設計」と続いていて、自分のためになる本なのか分かりづらいというひともいるかと思います。いや、大半かな(笑)。
そこで今回はKADOKAWAの編集部にお願いしまして、本書の骨子がまとまっている第一章をまるごと公開できる運びになりました。ここから全6回の記事で、はじめに+5つの項目をご紹介していきますので、本の雰囲気を感じ取っていただければ幸いです。
それでは第一回は「はじめに」です。また、残りの記事については以下のリンクからどうぞ。Enjoy!
はじめに ー あなたの「知的生活」を設計しよう
みなさんは1年後、3年後、5年後……あるいは10年後に、どのような人生を送っているでしょうか?
どのような知識や体験を積み、なにを頼りにして生きているかも気になると思いますし、もっと漠然と、後悔のない充実した生き方ができているかどうかが気になる、という人もいるでしょう。
将来を見通せる人はどこにもいません。ですからビジネス書やハウツー本では、将来への不安や不確実さを、即効性のあるテクニックで打ち消すことを謳うものが数多く存在します。
ある本は仕事はプレゼン力や段取りで決まると断言し、別の本は人生が決断力やクリエイティビティで決まると説き、それぞれにそれなりの説得力があります。しかしそうした瞬発力のテクニックではなく、未来を望む方向に設計するためのヒントはなかなか存在しません。
千里の道も一歩からという格言でいうなら、最初の一歩についての本はありふれているのに、数百里先を目指すためにどうすればいいのかという視点が欠けていることが多いのです。
不確実な世界でいかに未来を、人生を設計すればいいのか。その鍵となるのが「知的生活」を「設計」するという考え方です。
ライフハックから知的生活へ
前著『ライフハック大全』で、私は「人生をラクにする250の習慣」をテーマとして、すぐに実践することが可能で、回数を繰り返すことでやがて大きな変化が生まれるテクニックを紹介しました。
『ライフハック大全』が「5分で人生を変える」ことについてまとめた本であるのに対して、本書はより長期的に「10年後を目指して今できること」を中心にまとめています。
その一つ目の鍵が**「知的生活」**です。
知的生活とは、SECTION01で説明する通り、私たちの情報との向き合い方です。それは本を読むことでも、映画を観ることでも、趣味を追究することでもかまいません。そこに新しい情報の積み上げがあるならば、それは「知的生活」なのです。
1冊の本や情報との出会いを楽しみながら、それが積み上がることで生まれる“方向性”について意識的であることによって、私たちはふだんの生活を単なる「情報の消費の繰り返し」ではない、「成長する旅路」に変えることができます。
もう一つの鍵は**「設計」**という考え方です。
週に1冊新しい本を読む生活と、2冊読む生活は、短期的にみるとそれほど大きな違いはなさそうに見えます。しかしそれが3年、5年と続けば、大きな変化が生まれます。
将来の目標に向かってどれだけのペースで情報を集め、本棚や書斎はどれだけのスペースを確保すればいいのか。そうした日々の知的生活を維持するための日常の設計という視点が重要になるのです。
本書では、長い目でみた人生の豊かさを生み出す知的生活のために、どのような環境づくりをすればいいのかについて、知的生活のテーマ選び、パーソナルスペースとしての書斎づくり、情報収集や発信のテクニック、そして知的な生活を維持するファイナンスの話題にまで立ち入って解説しています。
ライフハックで“初速”を与えた人生に、“中長期的な軌道”を与えるのが、本書で目指す「知的生活」の「設計」なのです。
10年後へのマニフェスト
私たちは日に日により不透明になってゆく、頼りになる地図のない世界を生きています。今日を生きるのに必死で、10年後のことに考えをめぐらせる余裕がないという人も多いでしょう。
しかしそうしたとき、最終的にあてになるのは外から与えられる見せかけの答えではなく、私たちの内側から生まれる好奇心や情熱です。知的生活を設計するのは、そうした好奇心や情熱によって今を楽しみながら、将来に向かって知を貯金するという考え方です。
本書は、「自分自身の興味や発見を積み上げることでやがて未来がひらけるだろう」という確信に向けたマニフェストでもあるのです。
本書のテクニックや考え方を通して、みなさん一人ひとりの興味や情熱が、やがて豊かな知的生活へと結実することを祈っています。