人生をデータ化する、Evernoteの新アプリScannable

Evernoteから紙のスキャンをより手軽に高速化するアプリ、Scannable(スキャナブル)が登場しています。

ベータ版の頃から利用していたのですが、これがなかなかに小気味よい小さくて便利なツールです。

でも、紙や名刺のスキャンなら、これまでのEvernoteアプリでもできたではないか?という疑問があると思います。Scannableの最も得意分野を試してみると、どうしてこれを個別のアプリとして開発したのかが見えてきます。### アプリを開いて、即スキャン

Scannableで特徴的なのは、アプリを立ち上げると待ち時間なしでいきなりスキャンを開始することができる点です。

例えばコントラストの強い背景に名刺をおいておけば、自動的にその周縁を判別して撮影と最適化が行われます。ここまで、時間にして2-3秒。

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試しに手元の名刺の山を次々にScannableの前に置いてみましたが、一枚あたり数秒でどんどんとスキャンが完了してゆく様子はなかなか爽快です。専用のスキャナーには遠く及びませんが、出先で資料を取り込みたいという場合には十分すぎます。

スキャンしたら、ここからもすばやく次のアクションをおこすことができます。

たとえば名刺ならすでに名前や住所、メールアドレスが認識されていますので、直接住所録に加える、Linkedinで追加するといったアクションを起こすことができます。

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あるいはメール、メッセージ、Evernoteへの保存、iCloudなどへのエクスポート、その他アプリへのデータ送信もすぐに行なうことができます。

もちろんこれはこれまでのEvernoteアプリにもあった機能なのですが、アプリを開き…カメラノートを作成し、という流れよりもずっとスムーズですし、スキャンしたデータから多彩なアクションを起こせるという点が新しくなっています。

出先でちょっとした書類を誰かと共有したい。Scannableを立ち上げて撮影、1タップでメールやSNSへ、あるいはAirDropでPCに送信、といったことができるわけです。

ScanSnap Evernote Editionとの連携

また、ScannableはScanSnap Evernote Editionとの連携も行います。同一の WiFi 圏内に ScanSnap Evernote Edition があると、アプリから操作可能になるのです。

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原稿台に書類をのせて、Scannable から ScanSnap にむけて「スキャンを開始」するとすぐに読み込みが始まります。

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するとスキャン結果はScannable側に表示されますので、やはりここからアクションを起こすことが可能なのです。

ところで通常、ScanSnap は一つの PC にひも付けされていますので複数人で使うことができなかったのですが、ScanSnap iX500 のアップデートでこれが可能になりましたし、Scannable も複数人で一台の ScanSnap Evernote Edition を利用することができます。これがオフィス環境では実に便利。

もっと、もっとスキャン

以前 PFU の SnapLite について書いた時にも触れたのですが、身近にあるものをもっともっと撮影して、スキャンして、データとして利用可能にすることが、よりEvernoteを使いこなすヒントとなっています。

たとえば子供が絵をもってくると、「ほう、かわいい」と笑顔になってから次の瞬間にはiPhoneで撮影してスキャンをしていますが、こうしたことが習慣になると、いつの間にかEvernoteのなかに子供の美術館ができているのですね。

同じことはレシートにも、ちょっとToDoを書いた紙切れにもいえます。日常にスキャンが増えると、人生がデータ化されてゆくのです。

ただ、現時点での Scannable には欠点もあります。撮影時の画像補正がきつすぎて、描いた絵のようなものは色が白飛びしてしまい、それを修正する手段がないのです。現時点では名刺に非常に特化したアプリであるといっていいでしょう。

しかしScannableの方向性は、Evernoteの未来を指し示しているともいえます。すべてのことが検索可能になったようでいて、私たちの人生はまだまだデータ化されておらず、私たちとデジタルの利便性との間には、壁があります。

それを可能なかぎり取り払ってやろうというのが、こうした高速でスキャンできる専用アプリを生み出す動機なのです。

もっと、スキャンを!

堀 E. 正岳(Masatake E. Hori)
2011年アルファブロガー・アワード受賞。ScanSnapアンバサダー。ブログLifehacking.jp管理人。著書に「ライフハック大全」「知的生活の設計」「リストの魔法」(KADOKAWA)など多数。理学博士。