生きたい人生を生きよう「常識からはみ出す生き方」の3つの教え
ついに、ついに登場です!
これまでも何度か紹介してきた、「世界征服のためのやさしい手引き」で有名なクリス・ギレボーの著作、“The Art of Non-Conformity” の邦訳が「常識からはみ出す生き方 」というタイトルで発刊されます。
これまでこのブログでは、「ノマド」が話題になる前からティモシー・フェリスの “The 4-Hour Work Week” を紹介するなど、個人がネットを「てこ」に使って生きてゆくという話題について紹介してきました。ティムの本が桁違いに「すごい人」としての手本なら、クリスの本はもっと身近な、親近感のわく、普通の人のための「プロブロガー」「ノマドワーカー」への手引き書になります。
しかしこれまでは英語でしか読めませんでしたので、紹介してもなかなか広まらなかったのですが、今回の翻訳でこのビジョンが日本でもようやく広まるのではないかと期待しています。### クリス・ギレボーって誰?
クリス・ギレボーは見た目にもそれとわかる内向的な、物腰のやわらかい人物です。
彼が世界中のどこからでもネットと電話さえあれば維持できるビジネスを複数展開するミクロ起業家で、アメリカの著名ブロガーを何人も巻き込んで世界中から1000人もの参加者を集める World Domination Summitを主催するカリスマ的なブロガーだなんて、あまり想像がつきません。
彼を突き動かしている衝動は、「いかにして自分が思い描く人生を生きるか」という問いと、「いかにして世界をよりよい場所にするか」という理想です。「自分を変え、世界を変える」というこの交点を、彼は「世界征服:World Domination」と呼んでいます。
本書は、彼がいかにこうしたライフスタイルを選ぶに至ったか、そして同じ道を歩もうとしているひとにむけての知恵を余すところなく提供しています。
どんな常識から「はみだす」のか?
「定職をもつことがすべてだ。たとえどんな劣悪な仕事環境でも」「スキルをもっていることを証明するには学位や、資格試験の合格証書があれば十分」こんな考えが「常識」であった時代はそろそろ終わりを迎えようとしています。
もちろん定職は大切ですし、学位や資格に意味がないというわけではありません。しかしもし世界がそれだけなら、フリーランスの人やプロブロガーは説明がつきません。また、有能なプログラマを探すなら、学位や資格ではなく、その人が手がけたプロジェクトをみればよいという考え方も、その分野では新しい常識として受け入れられています。
クリスが「はみだす」ように読者を誘惑する常識とは、自分が生きたいと思っている人生を我慢させるすべての足かせのことを指しています。
クリス自身は、世界中の国を訪問するという目標のために普通の定職をやめ、ネットでビジネスを展開し、学位や資格がなくても実績を口実に道を切り開いていきます。
すべての人がクリスと同じようなプロブロガーになる必要はないとしながらも、自分の生きたい人生のために打てる手は、案外多いよと彼は誘いかけます。
しかしそのためには、3つのハードルを越えて行く必要があります。
一つ目のハードル: 不安に打ち勝つ
不安はすべての行動にブレーキをかけます。「もし失敗したらどうしよう」という不安は「現状のままでいいか」という結論しか生み出しません。たとえどんなに行き止まりの現状でも、です。
そこでクリスは最初は明確に不安を意識することをすすめます。**人は「変わりたい」という気持ちが「現状のままでよい」という気持ちを上回らなければ行動をとりません。**だからこそ、まず人生の何を変えたいと思っているのか、何が不満で、それを変える場合にどのように不安かを明確にします。
次に「最悪シナリオ」を考えて、その不安が100%的中したとして、最悪なにが起きるのかを想定します。たとえば職がなくなることが不安なら、たった今それを失ったとして何ヶ月生き延びられるかを計算してみるといったワークです。
不安のままに放り出すのではなく、こうして向き合ってみると案外、不安はダメージコントロールができたり、制御可能だったりします。
二つ目のハードル: 「行き先」を意識する
「現状を変えたい」のはいいとして「どう変えたい」のでしょうか? 「仕事を変えたい」という場合もそれはそれとして「どんな仕事」へと変化したいのでしょうか?
これをクリスは “Don’t just escape from something, escape to something” と表現しています。
現状と行き先、この二つの端点を3年・5年先といったスパンで意識できたなら、あとはこの間を少しずつ試験的にうめてゆくことができます。
三つ目のハードル: 仲間をふやそう
クリスは自分の「小さな友軍」small armyと表現している、自分の理想をわかってくれる仲間を集めることを勧めます。
たとえばブロガーなら読者でしょうし、似たようなビジネスを営む仲間と Facebook でつながるのでもよいでしょう。
いずれにしても、この「小さな友軍」が数人でもいれば、ビジネスの転換点に助言を求めることも、新しい商品の発売の際に広げてもらうことも可能です。逆にあなたは自分の提供する価値で、その仲間たちに応えてゆくという関係です。
自分を、世界を変えよう
クリスはビジネスで生活をし、ブログを通して読者とつながるとともに、アフリカなどへの支援活動も行っています。
この「自分のやりたいこと」と「世界を変えるビジョン」の交点こそが、単にネットで稼ぎたいと思っている人と、「小さな友軍」の支援を集める人との違いだとクリスは指摘します。
本書では以上で紹介した以外にも、こうした「自分の生きた証を残す」方法についてや、パーソナルファイナンス的な側面といった話題も触れています。
その語り口はあくまで真摯で、耳を傾けたくなります。
思えば昨今、「ノマドワーク」へのちょっと不公平なバッシングが目立っていて、すっかりノマドという言葉の使用自体が萎縮している面があります。
しかしここで解説されている「ノマド」は社会ムーブメントではなく、あくまで一人の人間がどんな価値を世界に届けて生きてゆくのか? 一人でもできるのか? という内容になっています(あとはクリス自身の世界中の放浪ぶりからリアルなノマドについても言及があります(笑))。
クリスからあなたへ、これは人生を変えたいと思う人すべてへのきわめて個人的な私信なのです。
追伸:
クリスの本は、まさにいまの日本の待望する内容だと思うのですが、一方でちょっとわかりにくい部分もあるのも事実です。正直者なんですよね、彼。正直すぎて嘘や誇張は書かないので、そうするとどうしても、万人向けの文章にする過程でぼかした部分がでてきてしまうのです(笑)。
そこで私以外の言葉でこの本を伝えるためにも、今回の発刊にあわせて何人か私が信頼しているブロガーのみなさんに忌憚のない書評をお願いしています。
これから発刊に至るまで何人か続くと思いますので、こちらもぜひご期待ください!
■ 常識からはみ出す生き方 ノマドワーカーが贈る「仕事と人生のルール」