チームの全員のToDoをホワイトボードにまとめる習慣の効果

先日会ったEvernoteの初代アンバサダーのJoshは、Evernote社内で行われているもう一つの面白いとりくみについて教えてくれました。

それは、オフィスの中央にある大きなホワイトボードに、社員が一週間の ToDo を手書きで書き込んで、仕事が片付くにしたがってそれを消してゆくという習慣です。

タスクを共有するだけなら、チームで使用することができるタスク管理サービスもありますし、グループウェアを使うこともできます。

しかしこの場合、手で書くことが、参加している人が一箇所に書き込むことに意味があるのです。

一週間のやる気の可視化

Joshによると、週に一度、朝の決められた時間までに参加する人はホワイトボードに自分の一週間のタスクを書き出すところからこのテクニックは始まります。

時間が決まっているのは、それに基づいて会議が始まる時間があらかじめ決まっているからです。こうして週の最初の朝のうちに、やるべきことが自己申告で書き出されます。

書き方は決まっていませんので、人によってはざっくりと書き出す人もいれば、細かくタスクをいくつも書き出す人もいます。

手書きというところもポイントになります。手で書かれているToDoには、その人の筆跡やくせが色濃くみえます。これがデジタルだとどれをとっても同じに見えてしまうのです。

これらの ToDo の書き込みは強制でもありませんし、これをどこまで達成しているかで成績がつけられるわけでもありません。これは単に「私はこれをやるよ」という宣言を公共の場所に書くことで、やる気を刺激するためのものなのです。

あとは一週間が過ぎるに従って、完了していったものにチェックを入れていきます。

そして可視化による「やる気ボタン」の刺激でもある

このホワイトボードのもう一つの効能は、参加している人のタスクがすべて可視化されることによって、協力関係や、健康な競争を刺激することでもあります。

たとえば公開されている他の人の作業について手伝うことができる部分があることに気づいたら、ふらりとその人の席にいってディスカッションを始めることもあります。

また、他の人のToDoの進捗をみて自分も奮起するということもよくあるそうです。ToDo を公開することが強制ではなく、書き方にもルールがないという前提が守られている限り、自分のやる気の分だけ記入してこなしてゆくわけです。

一人でもはじめられる

チームでやることにも意味がありますが、これを一人で始めてみてもいいでしょう。特に声を上げて自分のToDoがここにあるぞと周知せずとも、大きめのホワイトボードに通りかかったひとが見えるように書いておくだけでもよいでしょう。

他の人にみることができるように書き出しておくだけで、強制力が働きます。また、能動的にアクセスしなければいけないオンラインに公開するよりも、偶然目にすることができる場所に掲示しておくことのほうが、うまくいきそうな気がしますね。

アナログのほうがうまくいき、厳密にしないほうがうまくゆくゆるいタスク管理の習慣として、ぜひ検討してみてください。

 

 

 

 

 

 

堀 E. 正岳(Masatake E. Hori)
2011年アルファブロガー・アワード受賞。ScanSnapアンバサダー。ブログLifehacking.jp管理人。著書に「ライフハック大全」「知的生活の設計」「リストの魔法」(KADOKAWA)など多数。理学博士。