若い人から学ぶリバース・メンタリングのメリット

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自分の親の世代の人に Facebook や Twitter の使い方を教えた経験はありますか? あるいは自分の子供に「◯◯ (←最近流行っている何かを挿入)の使い方」を教えてもらったことは?

それはこれからお話する、リバース・メンタリングの現場といってもいいのです。

私ももう四十の歳を迎えて、いくら頭のなかでは若いつもりでいても、次第に自分よりも若い世代が慣れている技術、見ている世界、そして感じていることとのギャップを感じるようになっています。

長い経験があるおかげで、新しいものが登場しても「これはあれの再来だな」「これはきっとこう動くものなのだろう」といった見当をつけることはできますが、根本からしてわからないことはどのようにして理解すればいいのでしょう?

年長者や経験者が、若い人を教え導く「メンター」、あるいはメンターシップといった制度はもう周知のものとなりましたが、逆に技術的なことに遅れた中堅に追いついてもらうために広がっている一つの動きが「リバース・メンタリング」なのだそうです。### 子供ならだれでも知っている

最もわかりやすいリバース・メンタリングは、たとえば昨今のソーシャルネットワークなどについて、それに馴染みのない世代に教える勉強会を制度として会社のなかで行ったりする場合です。

40, 50 歳代の経営判断をする層の人々はもうそうしたトレンドについていくことが難しい一方で、そうした知識がなければ難しい判断もあるわけで、そうしたギャップを橋渡しするためのものだそうです。

「メンター」とそれを受ける側との関係は、非常に幸運な場合を除けばなかなか自然には生まれません。それが教える側と教わる側の世代が逆ならなおさらです。そこに、これを制度化してとりいれるメリットがあります。

またそれ以上に、世代間の情報の流れや信頼を醸成する、あるいは上手に教えることができる若年層のリーダーを探すという役割ももっています。

どこでもできる、リバース・メンタリング

このとりくみ、もちろん企業内でおこなうには一定の成果があるでしょうし、自分の研究所でもこれがメリットをもつ場面はありそうな気がします(もっとも、研究所ではまだ私も若手なので教える側ですが…)。

しかし一方で、これほどまでに多数のブログという形でどんな世代のどんな技術であれ、情報が流通している時代も過去にはありませんでした。

私は実際、自分よりも若い人が中心のブログの RSS / ツイッターアカウントのリストを管理していて、そこから流れこんでくる(実のところ2割か3割はよくわからない)情報の流れを横目でチェックしています。

書いている本人がそれと知らず、私が学ぶことできるトピックは膨大です。そもそも、そういった話題があるという事実からして驚く場合もよくあります。

現代の情報のスピードでは、たとえ40代ではなくても、30代なら30代なりに、そして20代であってももはやちょっとしたの子どもたちの世界はアクセス不能なまでに隔絶していきます。

それはそれでよいことでもあるのですが、そこから学びたいと思った時、この世代間を越えた情報の流れを意識しておくことは、常に自分を新しく保つために(あるいはそういう幻想を保つためかもしれませんが…)重要かもしれません。

堀 E. 正岳(Masatake E. Hori)
2011年アルファブロガー・アワード受賞。ScanSnapアンバサダー。ブログLifehacking.jp管理人。著書に「ライフハック大全」「知的生活の設計」「リストの魔法」(KADOKAWA)など多数。理学博士。