ビジネス洋書 "先取り" ガイド、9月号の本は「幸せのひけつ」を追求したあの本

Happier

日経ビジネスアソシエでの連載、ビジネス洋書 “先取り” ガイド、9月号では WDS にも登壇した人気ブロガー Gretchen Rubin さんの新刊、“Happier at Home” を紹介しています。

Gretchen Rubin さんのブログは Happiness Projectといって、「幸せに感じること」を追求するのがテーマです。

しかし彼女をとりまく一つの批判に、「あなたは恵まれた女性で、幸せは他の人に比べて簡単に手に入るじゃないか」というものがあります。でもそれははたして正当な批判なのでしょうか?### 逃れやすい幸せをつかむ

たしかに彼女は一見、多くの人がうらやむものをもっています。

彼女自身は人気ブログで生計をたてることができるプロブロガーで、家庭から仕事ができる自由をもっています。夫は投資家、義理の父は元米国財務長官という有名人、かつお金持ちです。

そうした彼女を批判するコメントが Amazon の本のレビューには数多くあります。「普通の過程は金銭的なやりくりで不幸になることが多いのに、この本にはそうした問題はなにも書かれてない」とか「これだけのものを得ていてもなお幸せになれていないみたいで可愛そう」といった皮肉もみられます。

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しかし本書を開いて読んでみると、彼女の思い描く「幸福」が金銭を背景にしたものとはかぎらないことがよくわかります。

家族との時間をただ忙しいだけでなく、より感謝を感じながら過ごしたい。自分の身の回りに、気分が沈んでしまうものではなくて見ていて気持ちが上向くものを置きたい。夫や子供たちとのやりとりをなるべく自動化せず、心のこもったやりとりをしたい。

そういった、感情的な幸せの深さを追求する態度が本書には随所にあらわれています。そしてそれには、金銭や社会的立場はそれほど関係ないのです。お金をたくさんもっているが故に、むしろ家庭内にトラブルをかかえる人が多いことも彼女ならよくしっていることでしょう。

幸せとはとこかたどり着く場所ではなく、努力によって常に新しくされてゆく毎日のことだと、Gretchen さんの本は教えてくれます。

そしてそれをあの手この手で貪欲に追求しようとする態度は、日本の常識から考えるとちょっとやりすぎじゃないのかと思うほどですが、一方で日本ではなかなかみられない能動性にあふれています。

外から与えられる幸せにもはや期待ができない世界にあって、このアメリカの Self Help 本の明るい視点に学ぶべき点は数多くあります。

ここでは本の内容そのものの紹介は最低限にしていますので、ぜひ続きはアソシエ本誌でどうぞ!

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堀 E. 正岳(Masatake E. Hori)
2011年アルファブロガー・アワード受賞。ScanSnapアンバサダー。ブログLifehacking.jp管理人。著書に「ライフハック大全」「知的生活の設計」「リストの魔法」(KADOKAWA)など多数。理学博士。