Google+のCanCam新世代モデルオーディションが未来志向ですばらしい
TwitterやFacebookに比べればゴーストタウンだなんだと揶揄されがちな Google+ ですが、ふだんから使っている人にとっては本当に居心地のいい場所で、私も毎日楽しんでいます。
そのGoogle+で先月から注目を浴びているのが、女性向けファッション誌CanCamがしかけた「新世代モデルオーディション」です。参加するにはGoogle+で写真を投稿するだけでよいという手軽さながら、契約金はなんと総額1000万円(複数の場合は均等に分割)という気合のはいりかたです。
そしてこの一ヶ月、さまざまに議論を巻き起こしたり、混乱もあったりしながらも、比較的順調にオーディンションは進行中なのですが、そもそもなんで SNS でオーディションを行うのか? なぜ Google+ なのか? 異例づくしの選考方法の意図は? と、考えてみると楽しいことになっています。### 異例づくしの選考方法
モデルなんて「かわいい子」を選べばそれでいいのでしょう? なんてことはもちろんありません。いまやモデルはブランドの代表者、アンバサダーのような役割も担うのですから、モデルには強い情報発信力が不可欠なのです。
CanCamが求める「新世代モデル」は:
モデルのようなオーラがあり
スタイリストのようなセンスをもち
エディターのようなプロデュース力があり
ブロガーのような発信力を備える
そんなマルチな才能をもつ「かわいいの伝道師」=「新世代モデル」
となっています。3行目と4行目に注目ですね。
こうした人材発掘のために、今回のキャンペーンでは一次選考で「毎日一人を選出」「その日に最も +1 を得た人が選ばれる」という手法をとっています。そう、選ぶのはあくまで彼女らをフォローしている他のユーザーなのです。
CanCam側にしてみれば、この段階の絞り込みで選考の手綱を手放してしまうというのはとても勇気がいることだと思います。
「毎日一人」で一次選考が100日間というのもすごい話です。最初は、こう申し上げてはなんですが「わかりやすいかわいさや美しさ」「写真の上手さ」などで選ばれる人が多いのですが、時間がたつにつれて「投稿に工夫をしているか」「フォロワーを増やし、つながりを上手に育てているか」が鍵になります。
私等は個人的にずっと投稿を続けてきて成長してきた10月あたりの応募者に興味がわいてきます。
さらにハードルを上げてきた2次審査
一次審査をぬけた子たちにも、Google+ での投稿をやめてのんびりしているひまはありません。先日発表された2次選考の内容がさらに高いハードルを用意しています。
「他の通過者(ライバル)の魅力をプレゼンする」「Google+上の投稿で宣伝をする」というのは、もう写真やみかけの世界とは関係ありません。
1次審査が見た目の可愛さだけでなく、「自分というコンテンツ」のプレゼン能力を SNS 上で表現することを目的としたものなら、2次審査はモデルとしての発信能力を試すものです。
もちろんこれは一発芸では済みません。2次選考までに、そしてそれからも SNS でフォロワーに発信し続けるために必要な、コンテンツに対する目利きや、表現力を求めているのですから、1次選考通過者はなおのこと Google+ での活動で周囲に認められる必要があるのです。
オーディションをめぐって
CanCamの新世代モデルオーディションは非常に綿密に作られている印象がありますが、オーディション開始前に Google が突然おこなった「+1した投稿はフォロワーのストリームにも流れる」という、いわゆるリツイートのような機能追加によって議論がまきおこりました。
つまり、たとえば私がだれか新世代モデル応募者に +1 をした場合、それが私のフォロワー(いつの間にか 68000人弱…!)に転送されてしまうわけで、それがスパム的ではないかという批判です。
これについては運営の方がさまざまな批判や、議論や、粘着や、嫌がらせに対して真摯な対応をしていることもあってユーザーの受け止め方は落ち着いてきている印象です。
そして結果的にはスパム的に +1 をおこなっている人はサークルからはずされてしまいますので、それほど問題にはなっていないようです。私だって、こうした投稿が流れてくるのは目に楽しいですしね。
しかしこうなると残る疑問は、なぜGoogle+で行うのか? という点です。
それは考えてみるとわかるのですが Google+ がいま最もオープンで、写真、長文などのコンテンツを配信する上でバランスがとれているからです。
たとえば Facebook の場合は家族や友人で閉じる傾向があって、不特定多数の人をフォローする Twitter のような利用方法は二次的です。しかし一方で Twitter は写真が投稿そのものに付いていない、字数制限などの問題があります。
このオーディションについては、写真で自分の服やコーディネーションをアピールするだけでなく、フォロワーの支持を集める、自分から情報を積極的に出してゆくといった活動が必要ですので、写真、長文、投稿にぶら下がったコメント欄などといった Google+ の特徴はもってこいだったのですね。
そしてこの、選考過程が主催者の手を離れ、ソーシャル上におけるプレゼンスでモデルが選ばれてゆく過程は AKB48 の手法を彷彿とさせつつも、それをさらに仮想空間にもちこんでいて素敵です。
Google+で行ったために参加ユーザーが少なかったり偏ったり、話題性が低くならないように祈っていますので、みなさんもぜひチェックしてみてください。
しばらく船なので選考を追うことができず残念なのですが、1次選考終了には間に合いそうですので、この流れの行き着く先を見届けたいと思います。