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少年のみた夢は魂をあがなう魔性の一冊となった!「我が名は魔性」(清田いちる・著)



Mashou

redemption というわかりにくい英単語があります。「救済」「あがない」と訳されるのですが、これだけだとその意味がわかりにくい。「ショーシャンクの空に」という映画がありますが、その原題は “Shawshank redemption” といいます。でもなんのことか、これではわからないですよね。

よく知られた、わかりやすい例でいうなら、スターウォーズにおけるダースベーダーとルークの関係がそれにあたります。スターウォーズという作品は子ルークによって暗黒に堕ちた父ダースベーダーがあがなわれる「redemption」の物語なのです。

小鳥ピヨピヨの清田いちるさんのエントリ「僕が中2(14歳)のとき書いた小説『我が名は魔性』を公開します」を読み、実際にこの小説を買って読んでいるところなのですが、脳裏にはこの redemptionという言葉がぐるぐると回っています。

ああ、大人になった少年いちるよ、おまえの魂はあがなわれたのだ。時空を越えた少年いちると、この魔性の一冊によって!

書いたものは時をこえて救いをもたらす

「我が名は魔性」は著者ご本人がおっしゃるとおり、14歳だった著者がその時の感性で書いたむき出しのストーリテリングの世界です。

超能力や天使や悪魔が乱舞し、詩や漫画的な表現がページを切り裂き、クライマックスには世界の命運がかかっています。

きっとこれを書いていた少年いちるの脳裏にはどんな特撮でも表現できないような凄まじい世界が繰り広げられていたのでしょう。

本当にすばらしい。

ストーリーが子供っぽいとか、ネタになるとかそんなことはもうどうでもよくて、私は中2の少年の世界がそのまま Amazon KDP という形で実現したことに感動しています。

私もこの6月で40歳になりますが、内面でいうといつまでも子供のような、どこか13-18歳くらいのときに心のなかに生まれた世界がずっと大切に匿われていて、それを表に出さないだけ賢しくなったという気がします。それをよくあらわしているのがこの画像です。

How Growing Up Feels

大きくなり、老いてゆく外見の自分と、いつまでもその外見とどこかずれた自分の存在。誰しも、どこか思い当たるところがないでしょうか?

歳をとってもどこか成長しきれない、変わることがない世界が内側にはあるのです。ネタフルのコグレさんもこのように書いています。

いちるさんの中には、14歳の頃と代わらず、ずっと「魔性」が住んでいた。長いこと眠っていた「魔性」が、四十を過ぎてから目を覚ました。ただ、それだけのことだったんです。

不惑のおじさんが取り戻した本来の自分。14歳の自分から、時を超えて送られたメッセージ。なんとも素晴らしいじゃないですか。素晴らしいジョナサンじゃないですか。

@kotoripiyopiyo が厨二病を晒す!14歳の時に書いた「我が名は魔性」をKindleで出版 #我が名は魔性 | ネタフル

私自身、大学になってもこうした「闇歴史」を何千枚と書き散らしていたくちで、それを公開する勇気はとてももてませんが、それを捨てることも不可能です。

どうして私はその物語を最後まで書かなかったのでしょう? 成長する中で、それが世界には受け入れがたいものだとあきらめてしまったのでしょうか? 成長という名の常識人化が筆をとめたのでしょうか?

でもその一方で、それを捨て去ることもできません。そういったものも、分かちがたく私の一部分だからです。

小説に限りません。若いころの失敗、ほとんど意味のない恋、肥大化した自己意識とその帰結としての当然の幻滅。いまとなってはそのどれもが愛おしくなるのです。

だからこそ、いちるさんが勇気をだしてこの小説を出版したことには意味があると思うのです。

この本によって、少年いちるのみた夢は朝になって消える幻ではなく、私にも、そして当然買って読まれる皆さんにも伝えられ、現実に残っていきます。

そうすることによって最も救われるのは誰か。それは他ならぬ現在のいちるさん本人なのじゃないでしょうか? 少年いちるの時を越えた夢によって redemption されたのは(よい意味で)大人になりきれない中年清田いちるだったのではないでしょうか?

いちるさんは、中二病じゃなくて、中二だったんです。そう、なう中二、中二なう。

ということでね。

『我が名は魔性』のあとがきを読むと、いちるさんは小説を書く自分を過去のものとして、これっきりで封印したいように見えるんですよ。

でも、違いますよね。だって、現役中二なんだもの。

リンク私が『我が名は魔性』を神速で購入した理由 #我が名は魔性 | みたいもん!

現役中2に乾杯!ということで、今日はこの本を読みながら、僕も自分の未完の夢の跡地を再訪問してみることとしましょう。

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著者について

堀 E. 正岳

「人生を変える小さな習慣」をテーマとしたブログ、Lifehacking.jp 管理人として、仕事術、ライフハック、テクノロジー、文具、ソーシャルメディアなどについて執筆中。2011年アルファブロガー・アワード受賞。Evernote ライフスタイルアンバサダー。ScanSnapアンバサダー。この他のブログに、ライフ×メモ 、Climate+を運営しています。

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