ホームテクノロジーウェブそのものをソーシャル化する AuthorRank の足音
テクノロジー

ウェブそのものをソーシャル化する AuthorRank の足音



Relation

以下はただの妄想です。

でも近い将来、気づいたらそうなっているのではないかというもっともらしい妄想でもあります。

Googleによって世界中の情報が検索可能になって久しいですが、その根幹にあるのはページランクという、そのウェブページがどれだけ他のサイトからリンクされているかという指標です。

ここに近年、その存在が囁かれているもうひとつのランク基準、AuthorRank が加わるのではないかという予測が最近高まっています。

しかしこの AuthorRank はどんなものなのでしょう? それはウェブをどのように変えるものなのでしょうか?

ページランクのみではGoogle検索は次第に薄まる

AuthorRankが必要になった背景を理解するには数年をさかのぼる必要がります。Demand Media華やかなりし頃のことです。

Demand Media自体は自社のサイトをコンテンツファームと呼ばれることを嫌っていましたが、Googleの広告で単価が高いものをアルゴリズムで探し、そのキーワードに最適化するようにして記事の執筆を大量に発注する手法はまさにそれ以外の何者でもないという意見が根強くありました。いわば究極のGoogleハックだったわけです。

この手法に対しては多くの批判がうまれ、同社以外にもいわゆるスパムとまでは言い切れないまでも、検索したキーワードに対してクオリティの低い大量の記事が検索結果を埋め尽くしていた時期があります。

記事のまるごとコピーも問題でした。そこにはオリジナルとコピーとの差異はなかったからです。増え続ける情報を前にして、PageRankだけでは検索は薄まり、価値も劣化する一方だったのです。

Googleがこうしたサイトのランキングを下げるために Panda / Penguin といった重複コンテンツ、スパム的手法をとるサイトを罰するアルゴリズムを開発したのはよく知られています。そしてそれに並行してささやれるようになったのが AuthorRank の存在です。

Google+とオーサーシップ

2011年頃からGoogleの取り組みとして記事のauthorship(執筆者)を加味することが報じられ、「AgentRank」といった商標が登録されたことからもその存在が議論されるようになった AuthorRank。

それは単純にいえば「誰が書いたのか」という次元を検索に加えることを意味しています。

現時点ではそれはウェブサイトの記事を Google+ プロフィールに rel=author という形で結びつけることで実現しています。

Relauthor2

Google+のプロフィールにはTwitterやFlickrといった他のサイトのプロフィールと接続する項目や、コンテンツの投稿先を登録する欄がありますから、そのシグナルもGoogleは見ることができます。

たとえば私が新しい記事をこのブログではなく、別の媒体に執筆したとします。その著者名が rel=author という形で私の Google+ プロフィールにリンクされていれば、Googleはこのリンク一つで「この記事は Lifehacking.jp の堀が書いたものだ」「このひとは過去にこういった記事を書いている」「そもそもこれは bot ではなくて実在する人である(らしい)」といった判断を下せます。

しかし(ここからが妄想ですが)このリンクはもっとさまざまな情報の源として使えます。

“When Hutton talks, people listen”

’70年代、’80年代にE. F. Hutton & Coという株式仲介業者が出していた有名な広告のキャッチフレーズに “When Hutton talks, people listen” というものがあります。「ハットンが口を開くとき、人々は耳を傾ける」。

これと同じように、AuthorRankは人々が誰に耳を傾けているのかをPageRankとは別個にランク付けすることが可能になります。AuthorRankに寄与すると考えられている要素をみるとそれがわかります。

Relauthor

ウェブサイト・ウェブページは他のウェブサイトからのリンクがランク付けの基本となっていますが、著者は他人からのコメント、書いた記事のページランク、共有されたかどうか、Google+での活動度といった、よりソーシャルでリアルタイムの情報が流れ込みます。

著者が同じならコンテンツが書かれた場所が違っても信頼性は継承されると考えれば、まだページランクがほとんどないサイトであっても信頼性が高い、Google+などでの活動度が高い人物が書いた記事は最初からランクが高くなります。

これはGoogle側にとって2つのメリットをもたらします。一つは、ウェブページの内容に予測を立てることが容易になります。「これは Robert Scobleが書いた記事なの? じゃあきっとITかソーシャルの話じゃなければシリコンバレーのパーティーの話題だな」といった具合にです。

もう一つのメリットはリアルタイム性です。PageRankはゆっくりとしか成長しません。しかしその著者の信頼度をつかってウェブページのランキングを底上げできれば、話題が発せられた瞬間からそれをその他無数のノイズの中からすくいあげることができるのです。

ウェブそのもののソーシャル化

もしいまこの瞬間すべての人間がいなくなってしまい、それでもインターネットがそのまま動作し続けたとして、ページランクは凍りついたままとはいえそのまま動作します。

というのも、ページランクはURLとURLの有向ベクトルの指標にすぎないからです。それはどこか静的で、ウェブサイト同士の冷たい私語という感触がします。

AuthorRankはそれに対して、誰かが何か言葉を発した時、Google+に投稿して、コメントを発した時、人間がウェブにむかって何か行動を起こした時に発動します。ページランクが蜘蛛の巣の網なら、AuthorRankはその上に滴る水滴といってもいいでしょう。

私はよく「ウェブそのものがソーシャル化する」という表現を使うのですが、AuthorRankはまさに情報そのものに人の要素を取り入れるという意味で、ウェブの仕組み自体を人間臭くするものなのではないかと考えています。

追記: AuthorRank に「対応」する…?

ページランク的な発想をすると、AuthorRankもまた SEO 的に対応するものという考え方をしてしまうかもしれません。「たいへんだ! AuthorRankを上げなくては!」というわけです。

しかしどうも今のところ、この仕組は既存のページランクに対する補助線として使われる気がしてなりません。また、これまでのようにあるキーワードを誰かが「所有」できないように働くようになるのではないでしょうか。

Googleの検索がどんどんとパーソナライズされていることはみなさんご承知だと思います。もはや、二人の人が個別におこなった検索結果が同じである保証はありません。

AuthorRankのような仕組みが本格的に検索の一部となってきたなら、これまで以上に小さなクラスタで有益な情報を提供していた人のもとへ光があたるようになるのかもしれません。

そして今まで以上に、実名あるいは少なくとも rel=author 付きで生まれるウェブと、非実名のウェブとの間のコントラストは強まるのでしょう。

いまできることは:

  1. ブログ、ウェブサイト、コンテンツを公開している場所があるなら、それを Google+ プロフィールに登録しておくこと
  2. 記事を書く際に、著者ページへとリンクが向くように設定すること。たとえばこのブログの記事には一つ一つ「堀 正岳」という署名があり、それはすべてGoogle+プロフィールに向いています。

そして最後のひとつは、勇気をだして一歩ウェブに踏み出して何かを発信する人に対して、これまで以上にウェブは応えてくれるはずだという期待感をもつことかもしれません。

まだまだウェブのソーシャル化はこんなものではないはずです。

タグ

著者について

堀 E. 正岳

「人生を変える小さな習慣」をテーマとしたブログ、Lifehacking.jp 管理人として、仕事術、ライフハック、テクノロジー、文具、ソーシャルメディアなどについて執筆中。2011年アルファブロガー・アワード受賞。Evernote ライフスタイルアンバサダー。ScanSnapアンバサダー。この他のブログに、ライフ×メモ 、Climate+を運営しています。

Lifehacking Podcast

Lifehacking Newsletter

人気記事