脱メールの仕事環境「EC studio チャットワーク」を使ってみた (前編)
計画停電の影響もあって、出勤時間をずらしたり、そもそも在宅で仕事をしたりといった人も多いかと思います。オフィスに仕事のメンバーが全員いて、定期的にやりとりができるなら問題にならないことでも、こうした異常時や会える時間が限られた場合にはメールにはいくつか不都合な点があります。
たとえば、メールは「会話」の形をとっていませんので、用件をつたえるのに回りくどい形式になってしまいます。そしてそれはコミュニケーションの速度の低下に直結します。メールは面倒だけど、ツイッターは楽だと感じたことはないでしょうか? それと同じで、仕事のやりとりも「メールより小さな情報の単位」にすることでターンオーバーが速くなることが期待できます。
二つ目に、メールは単に手紙ですので、そこから「タスク」や「スケジュール」の抽出を行ったりといった作業は送受信者の側で別個にやらなくてはいけません。仕事を進める上で不可欠の存在でありながら、今となっては仰々しいところが大いにあるわけですね。
こうした流れから「メールは3行で書こう」といったルールを決めて行動するという動きもありましたが、職場でみんなが意識を共有しなければなかなか浸透しないのが実情です。
チャットによる仕事環境「チャットワーク」
そこで、ログよりもリアルタイムの会話が重要視される場合は電話、ログを残した形式が重要な外部とのやりとりはメール、その中間の社内での短いやりとりはチャットで、というコミュニケーションのスタックが重要になってきます。
ここでチャットとしては GMail や Skype のものを使うのも手ですが、やはりタスクの割り当てなどで作業量が増えてしまう傾向にありますので、チームの大きさなどを考慮した場合、最初から仕事上のコミュニケーションとタスクの共有を目的に開発された環境を利用した方が便利であることが多くあります。
今回紹介するEC studio の「チャットワーク」はそうした「脱メール」をうたったビジネスチャットツールです。チャットワークの利点はメールよりも機動力のあるチャットに、タスク管理機能、ファイル管理機能がついているので、ブラウザのタブ1つのなかで仕事上必要なコミュニケーションとタスクの機能が揃っている点です。
チャットワークの基本機能
一般によくみられるグループウェアとちがって、チャットワークはチャット部分が中心となっていますので、それがメイン画面でも見て取れます。
左側にはチャットルームの一覧が表示されます。案件ごとにルームを作っておいて会話を流すという使い方をするのがよいでしょう。
メールのかわりとなるチャット部分は Skype のようにただ時系列順に並ぶのではなく、Google Wave などと同様に、「誰に返信したか」がわかるような形式をとっています。普段意識することは少ないですが、席を外していた間にチャットルーム内で話が進んでしまった時などに便利な機能です。
私がチャットーワークの最も重要な機能だと思っているのがこの「タスク管理機能」です。「できるポケット+Evernote活用編」や「できる100ワザ ツイッター」の執筆はほぼ Skype のチャット内で進行したのですが、ときおり会話のなかでどんなアクションをとればいいのかを見失ってしまうことがあり、「いま何をすればいいんでしたっけ?」と聞くことがありました。
チャットワークを利用する場合、「会話の中からアクションを引き出す」ことに注意して、生まれたアクションはどんどんタスクとして右側のペインにためてゆくのが良いでしょう。
逆にいえば、右ペインに何も入っていないチャットルームはまだ仕事が進行していない状態とみなすという使い方がわかりやすくなります。
ファイル転送機能、Skype 連携機能とスマートフォン対応
チャットで仕事をすすめていると、逆にチャットでは済まない部分をどうするかという問題に必ず直面します。
たとえばファイルを共有して全員でチェックするといった場合、けっきょく Skype と Dropbox を併用したりといったことになりがちなのです。慣れた人同士ならよいのですが、職場の全員に Dropbox アカウントをとってもらって慣れてもらうのはけっこうたいへんです。
チャットワークの場合、基本的なファイルアップロード機能がありますので、こうしたウェブサービスに明るくない人でもメールに添付ファイルを加える要領でファイルを共有することができます。
また、チャットのなかで真意が伝わらない場合には電話をするなどの別のコミュニケーションのスタックに移行することも時には必要ですが、チャットワークのなかから Skype 通話で呼びかけることも可能になっています。
現状では、まだiPhone/Androidに対応したチャットワークのアプリは開発中だそうですが、今後それらが加わることで、「仕事の会話の流れ」が滞らない状況を作り出すことができそうです。
シンプルで十分な機能
Skype と Dropbox とその他のウェブサービスをすべて使いこなせる人ばかりでチームが構成されているならば話は楽ですが、一人でもこうしたサービスに明るくない人がいると善意で導入しようと試みたコミュニケーションのスタックが機能しなくなることがよくあります。
今回レビューさせていただいたチャットワークは、一般に存在するグループウェアのようにカレンダーも、タスク管理も、出勤管理も、といったように機能を増やすのではなく、気持ちがいいくらいに「チャット・タスク・ファイル共有」の機能だけに絞っているのが大きな特徴です。
また、これらの機能を一箇所に集約することで、Skype の弱点である、「相手がオフラインの場合の挙動が予想できない」というデメリットも消滅しますし、ファイル共有のアクセス管理などといった実務上必要となる機能もわかりやすく提供されています。
チャットワークの利用はなんとコンタクト数40名、グループチャット14個、ファイルアップロード100MBまでは無料となっています。これはちょっとした小さなオフィスだったら無料で使えそうな太っ腹ぶり!です。
チャットルームの数が多くなってきて無制限のアカウントに移行する場合でも、1アカウントあたり月額400円と、非常にリーズナブルな価格になっています。
こうしたシンプルで、伸びシロのある、しかも安価なツールが日本から登場するのが嬉しいですね。後半では実際にチャットルームを利用して会話をしている様子と、開発者にきいてみたQ&Aについて紹介したいと思います。
(Disclosure)
本記事は EC studio、AMN とのタイアップによる記事広告です。記事の執筆にあたり謝礼をいただいていますが、私の一存でその全額を東北地方太平洋沖地震の被害にあわれた方への義援金として日本赤十字社に寄付いたします。