それはアクションなのか、それともプロジェクトなのか

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GTD の力を引き出す考え方かたの一つに「プロジェクト」と「アクション」を分けて考えるというものがあります。

GTD では二つ以上のアクションが存在する作業は「プロジェクト」として扱って、「いま」「ここで」できる次のアクションに集中します。

では、アクションとは短い作業のことなのでしょうか? どんな作業をアクションに、どんな作業をプロジェクトとしてとらえればいいのでしょうか?

そんな疑問にヒントを与える記事が GTD Times に載っていました。

とあるシステムエンジニアの GTD

記事は SE の人が寄せた質問のメールについてのものでした。質問をした方の仕事は広い意味でのシステム開発のようですが、たとえば「このバグを修正する」というタスクにしてもいったいどれだけの時間がかかるのか、あらかじめ知ることができないのが悩みということでした。

また、800 時間ほどかかる一つの案件のすべてを一つのプロジェクトにするべきなのか、あるいはさらに細分化すべきなのかも彼にとって悩みどころなのだということです。

これは自分でもよく遭遇しているのですが、「この問題について調査する」というタスクを作ったとしてもそれが、5 分で解決することもあれば1週間以上かかる大問題に発展することもあって、アクションだったはずのものがプロジェクトになったりということは日常的です。

こうした悩みに対する David Allen さんの答えはどうだったのでしょう?

可動部分に注目する

この質問に対する David の答えは簡単すぎるくらい簡単で、この回答自体に多くの疑問が発生するのですが、おおまかにまとめると「可動部分に注目しよう」ということでした。

たとえば 800 時間かかる案件も、ある時点でとりかかることができるのはその一部分にすぎません。ここで目安になるのが、**「週次レビューで進捗をモニターをしなければいけない大きさ」**だそうです。

この SE さんの場合は、案件全体の進行もモニターしなければいけない一方で、各部分についてもモニター可能な「可動部分」があるので、サブプロジェクトにしてみてはどうだろうかということでした。

もう一つ面白いコメントが、「『次のアクション』というのは、短いアクションではありません。いつ、どこで、次にどんなアクションをとるべきかがわかっているなら、そのアクションは 20 時間かかってもよいのです」というものでした。

アクションというからには、ものすごく粒度が細かい作業でなければいけない気がしますが、そうでもないということですね。

大きな案件を一つの完成したプラモデルのようだと考えると、サブプロジェクトは各可動部分のくみ上げ(たとえば腕とか、足とか)で、アクションはピースを探すこと、ピースを接着剤でとめることに相当するように思えます。

プラモデルを作る上で実際にとることのできる行動は「ピースを探す」「接着剤でとめる」だけなのですが、ある程度の節目ではそれが「可動部分の完成」「全体の完成」をいう意味を持ちます。

アクションとプロジェクトの関係をこのように考えると、いろいろとクリアになってくるのではないでしょうか?

What is or isn’t a project? | GTD Times

堀 E. 正岳(Masatake E. Hori)
2011年アルファブロガー・アワード受賞。ScanSnapアンバサダー。ブログLifehacking.jp管理人。著書に「ライフハック大全」「知的生活の設計」「リストの魔法」(KADOKAWA)など多数。理学博士。