いまでも参考になる OHP 時代のプレゼンの「ダメ」な例
いまから6年前、僕はとある国立大学の準研究員という仕事をしていたのですが、研究員というのは名ばかりで授業の手伝いからトイレの蛍光灯の交換までまかされる、いわば何でも屋でした。
その大きな仕事の一つが卒業論文を書いている学生の支援でしたが、たった6年前だというのにまだ卒論発表には OHP が主流ですべてのスライドは手作業で作っていました。私たちは中間発表や最終発表をひかえた学生たちが時間内に上手に発表を行えるようにスライド作りから発表練習の手伝いをしていました。
最近写真を整理していて、その時代に撮影した「OHP 発表でやってはいけないこと」を実演してみせた例の写真がでてきてまじまじとみていたところ、今でも参考になることが多くて、恥ずかしいのですが公開してみようと思いました。いやー、若いですねー。まだ 20 代の私です。
いくつか例を挙げてみると:
スクリーンではなくて OHP の機械でスライドを指している例。これだと、自分のからだでスクリーンの邪魔をしてしまいますね。しかも原稿読み上げてます…。
慌て始めると、こういう人たまにいました。OHP の機械をポインターで指している「ビリヤード発表」。本人は必死ですが、恥ずかしいですよね。
どこが間違っているかわかりますか? これは、ポインターがスクリーンから遠くなっていて、「影」を利用してスクリーンを指しているという失敗例です。これをやってしまうと、影をみればいいのか、ポインターの先をみればいいのか、聴衆はとまどいます。
これはレーザーポインターの例ですが、脇を締めずに、手を伸ばしきってレーザーポインターを使うと、手先が震えて指している場所がぶるぶると移動してしまいます。これは今でも注意したい点ですね。
正解はこちら。脇を締めて、レーザーポインターが指している場所がぴたりと止まるようにする。あと、レーザーを常に出していなくてもよい、という点も注意したいですね。
緊張してレーザーポインターをもつ手が強ばると、ボタンを押したまま聴衆の方を向いてしまうという危険な失敗も! これは絶対にダメ!
プレゼンを発表させる一番基本的なコツ
でもこうした写真を卒業生に見せながら、最も注意して教えていたのは「発表前にとにかく練習すること」「言葉の一言一句から、指す場所、指先の動き、体の位置、聴衆を向くタイミングまで暗記すること」という点でした。
プレゼンに慣れていないうちは、リアルタイムに次に何を話して、何をすればいいのかわからなくてパニックに陥ってしまいます。こうしたことを防ぐためにも一挙手一投足の動きを全部覚えることで、まず「体」をコントロールしてしまいます。
すると不思議なことに、「体」がコントロールできたことで「心」も支配できるようになって緊張したりあがったりといったことがなくなってきます。手順通りに動いているという自信が心の余裕を生み出すのです。
それにしても若い…。これがたった6年前なのか…。