「ゾーン」に入るための5つ(+ 1つ)の準備

focus.jpg The Zone | Productivity 501

「ゾーン」それは陸上選手などが経験する極度に集中力が高まり、無理せずいつまでも加速ができるような感覚が訪れる場所のことをさしています。

この手の集中力の話題はこれまでにも何度か紹介したかもしれませんが、いつだって心引かれる話題ですので、何度でも紹介したくなります。

Productivity 501 で、ゾーンに入るための5つの準備事項という記事が載っていて、集中力を作り出すにも、意識的な舞台設定が必要なのだとあらためて思いました。

以下意訳 + 自分の解釈で補完しつつご紹介。

自分と争ってはいけない

何か先にやらなくてはいけない本当に大事なことがあるなら、それを片付けてからでなければなかなか集中できません。

これはいうは易し、行うは難しな項目です。というのも、集中力が本当に欲しいときに限って、締め切り前のパニックに襲われたり、経済的な困窮が迫っていて気が気でなかったり、家族に心配事が勃発したりするからです。

この項目は、「無理して集中状態を作ることは不可能」という理解を心に刻んで、そうした心配事と精神状態を切り離すための戦略を別に設けるのが得策かもしれません。

集中力の高まる時間帯を利用する

時間帯と集中力は大きな関係があります。例えば同じ1時間でも、朝だったらブログのような創造的な作業、昼の後だったら読書のような受動的作業、夜はプランニングなどの思考作業というように、その人に向いた時間の使い方を自分にとって有利に使うことが、集中力を発揮しやすい状態に導いてくれます。

気を散らせてしまう要素を排除する

当たり前のようですが、これにもコツがありそう。元記事にはあまり詳しくは書いていないのですが、単に音のせいで気が散ったりするというよりも「自分にとって意味がある情報」が最も注意力を削ぐということを意識するとよさそうです。

NHK の「試してガッテン」で紹介されていたのですが、非常に高い集中力を誇る人が周囲をサンバの大騒音で囲まれていても集中力が切れなかったのに、肉親のしゃべる声がスピーカーから聞こえていると集中できなかったという結果があります。

入ってくる情報が「自分と関係する」「自分にとって興味がある」場合、集中力は容易にとけてしまいますのでそうした要素を意識的に排除することが必要でしょう。

重要なことは一度に一つ

ハンドルしなければいけないことが一つ以上になってしまうと、両方に同じだけの精神的なエネルギーが分散して集中力が落ちてしまいます。特に片方が、片方に依存している場合は私が以前書いたダブルバインドになってしまいます。これは精神的二人三脚のようなものですから、集中状態は一気に切れてしまいます。

これを防ぐには、私は Doing リストをよく使っています。

脳の訓練をする

「集中する」という脳内の状態を繰り返すことで、集中しやすい脳を作ることができるという話です。

「集中脳」というのは私にはあまりピンときませんが、集中しているときにありがちな脳の平成状態、体のポジション、リラックスした精神状態というのを覚えておいて、あとでそれを演じるようにして集中力を作り出すことはよくやります。

いうなれば過去の集中状態から「ゾーン」に入るときの舞台のセッティングを覚えておき、先回りしてそれを作ることで脳を迎え入れるという感じでしょうか。

元記事にはありませんでしたが、最後にもう一つオリジナルで加えたい項目があります。それは:

ふだんからツールを使いこなしておく

非常に集中力が高まり、どんなに原稿を書いても自分は止められないぞ!と思っていた矢先に、ちょっとしたくだらないミスからそれが破れてしまうことが私にはよくあります。

たとえば一つの変換の仕方がわからない漢字に阻まれたり、綴りを知らない英単語が登場したり、ブラインドタッチの派手なミスでずいぶんとキー入力を無駄にしたり、アプリケーションの使い方がわからずに足踏みしてしまったりといったブレーキです。

これらは陸上トラックのうえに撒かれた小石ののようなもので、せっかくの加速状態を止めてしまいます。

ツールをいつも最速で使えるように練習しておくのは、その場その場の速度を上げるだけではなく、高度に創造的な作業をしているときにつまらないことを考えなくてもすむようにするためにも重要なピースなのです。

集中力の持続方法については他にも書きたいことがありますけれども、今日はここまで。

堀 E. 正岳(Masatake E. Hori)
2011年アルファブロガー・アワード受賞。ScanSnapアンバサダー。ブログLifehacking.jp管理人。著書に「ライフハック大全」「知的生活の設計」「リストの魔法」(KADOKAWA)など多数。理学博士。