「無視する技術」はイノベーションのフロンティア

clutter.jpg The Future of Ignoring Things | Internet Evolution 43Folders 経由で Cory Doctorow のエッセイ、「無視するための技術」を読みました。この人はいつも新しい魅力的なことを考えてくれて読んでいて楽しいです。

彼のエッセイの要点は、これまでは技術はより多くの情報を集めようとするために開発されてきたものですが、これからは情報を自動的に取捨選択する技術が成長してゆくだろうという話です。

たとえばメールで仲間うちでの旅行の相談が持ち上がったとして、自分が早い段階で行けないことがわかったとします。その後のメールのやりとりを読み続けてもいいのですが、そうすることで気が散るようなら、興味のある話題が出ない限りスレッドをミュートするような機能があってもいいでしょう。もちろん、この「興味のある話題」というのがキモなのです。どうやったらそれをソフトウェア的に関知できるか。

ベイジアンフィルターを使ってスパムを自動的に検索するように、こうしたことを技術的にできないものかと Cory は指摘しています。「スパムフィルターの向上にたいへんな人月を費やしているのに、同じだけの注意が情報を効果的に減らす技術に投じられてはいない」、というわけです。 FeedHub などはこうした試みの始まりに過ぎないわけですね。今後メールであれ、RSS であれ、検索であれ、情報を効果的にカスタマイズして狭める技術がどんどんと開発されていきそうです。このへんはまだ開拓されていないフロンティアといってもいいでしょう。

ともあれ、そうした技術がひろく普及するまでは、ライフハックを実践する人たちは自分の習慣で情報の氾濫と戦わなければいけないわけです。とりあえず今すぐに出来ることは、情報へのエンゲージのしかたをコントロールすることですね。たとえば以下のようなルール:

  • メール: 1日2度しか受信しない。あとで読んでもいい類のメールを徹底してフィルターであらかじめ除去。

  • テレビ: 全てのテレビ番組は HDD 録画したものしかみない。リアルタイムは希少な資源!

  • ネット: RSS 経由、あるいはソーシャル・ブックマーク経由でしか情報を集めない。

これらは能率を上げるための手段ですが、自分にとって必要な情報をいかに少ない頻度で、どういう手段で手に入れるかという視点とも読み取れます。簡単な習慣だけで相当数の「無視してかまわない情報」「何度にも分けることで無用の時間を使ってしまう情報」を自動的に削減できるわけですね。

技術的にも、ライフハック的にも、まだまだ探求が待たれる分野ですね。これからちょっと意識的に、Unclutter 系のエントリーを増やすようにしてみます。

堀 E. 正岳(Masatake E. Hori)
2011年アルファブロガー・アワード受賞。ScanSnapアンバサダー。ブログLifehacking.jp管理人。著書に「ライフハック大全」「知的生活の設計」「リストの魔法」(KADOKAWA)など多数。理学博士。