いつもの水性ペンを高級に早変わりさせる「ITOYA110 ペンジャケット」シリーズ
創業70周年をむかえるぺんてる株式会社と、銀座伊東屋の初のコラボレーション製品として、ちょっと奇妙な製品が発表されています。
文具といえば文具なのですが、文具をつつみこむ文具です。その名も**「ペンジャケット」**。ふだん使っているサインペン、ボールペン、プラスチック万年筆「プラマン」を、高級感あふれる筆記具に変えてしまう、筆記具のための上着です。
実際は上着というよりも、強化外骨格といっていいほどの緻密な設計がされているのですが、それにはぺんてると伊東屋ならではのこわだりがあります。
三つの水性ペンを包み込む、一つの哲学
今回は、この「ITOYA110 ペンジャケット」シリーズの製品発表ブロガーイベントにご招待いただきまして、開発者の視点でのお話を聞くことができました。
コラボレーションするにあたって、課題となったのはまず製品のそもそもの形です。ぺんてるには、水性ペンの元祖としてこだわりをもっている「サインペン」「ボールペン」「プラマン」の3つの製品がありました。これを、伊東屋ブランドの一つのデザインのペンジャケットに納めるというのが最初のコンセプトです。
しかしこれにはさまざまな困難が伴います。この3種の製品は長さも、形状も、水性ペンに必須の空気穴と密封用のエアタイトの場所も異なるからです。単純に、3つの公倍数的なケースを作るのでは無理がありました。
https://twitter.com/mehori/status/775300878240665600
そこで、微妙な長さは真鍮製のリングを挿入することで調整し、ペンとしての機能も、書き味も犠牲にすることなく、統一されたデザインの製品を開発していきました。
ここでも何回も色とデザインを修正し、直前まで両社の開発思想を戦わせて仕上げたのが本製品となります。
そうして完成したのがこちら。それぞれサインペン、ボールペン、プラマンの通常の文房具店で売られている製品のとなりに、それを納めたペンジャケットがあります。
よくみてみると、黒い帯になっている調整リング部分の大きさが違いますよね? ここで、それぞれの製品の長さに対して調整をしているのです。
分解してみるとこのようになります。中に入っているのは、普通のサインペンであったり、ボールペンです。それに前軸・後軸を入れ、真ん中に真鍮製の調整リングをいれて、完全にカバーしてしまいます。
ペンジャケットの使用感
普通に使うペンに、外側の殻を加えるわけですから、むやみに太くなったり、使いにくくなってはいないでしょうか?
タッチ&トライで手にしてみたところ、少し太めの万年筆をもっているような、不思議と手に吸い付く心地よい重さの仕上がりとなっています。
重心は、およそ全長の半分くらいの場所にあり、親指と人差し指の間、ペンをもたせかけた部分により掛かるような印象を持ちます。ペン先の方にむかってはむしろ軽いので、筆圧をそれなりに使って字を書く人に向いているといえるでしょう。
中にはいっているのは、普通の、文具店に売られているペンなのですが、こうしてペンジャケットにいれることで急に高級文具のような佇まいをもつから不思議です。
ぺんてるの水性ペンがそもそも高いクオリティをもっているからこそ違和感がないともいえます。
調整リングを使うことで、3種のペンをどれでも利用できるようになるのですが、なんといってもプラマンとの組み合わせが気に入ってしまいました。原稿用紙に筆先を走らせたときの、軽すぎない疾走感は、ペンに新しい命が吹き込まれたようです。
おなじプラマンなのに、ケースが違うだけで単純な!と思われるかもしれませんが、これは実際にそう感じてもらうための製品なのです。
https://twitter.com/mehori/status/775320360698863618
というわけで、発売は9月13日から、銀座伊東屋にてペンジャケット本体のみなら5000円、調整リングは3種類それぞれ300円で販売されます。オンラインショップでの販売はまだ予定がたっていないということで、銀座にまた行かないといけないのか!助けて!
伊東屋を探検するたのしみも
というわけで、もう一度近日中に行こうかとは思うのですが、去年ビルが新しくなった銀座伊東屋には今回みることができた隠れたスポットもあります。
こちら11階の栽培スペースでは、12階のカフェで使用されるレタスが無農薬で育成されています。この覗き窓の枠、これは改築前の旧本店の窓枠をそのまま使っているのです。
そのとなりには明治37年創業時の伊東屋の再現模型もあります。残っていた写真からの精巧なつくりをした模型で、文具屋や学習用品が並んでいるところも写真にあわせてちゃんと作りこまれています。
こちらは球面上に描かれた伊東屋の看板。躍動感があって、大胆なデザインは下から見上げた時にちょうど伊東屋の「伊」の字を浮かび上がらせます。
ここは入れるとは限らないのですが、カフェを訪問時はお店の方に聞いてみてください。
9月13日から先行販売。オンラインは未定
文房具そのものではなく、ペンを長く使うための、ペンのための高級の衣装という位置付けのペンジャケット。色は黒、紺、白、赤の4種で登場ですので、銀座に立ち寄る機会のあるみなさんは、手にしてみてください。