そろそろGoogle+を真剣に検討したほうがよい3つの理由

Googleplus event

Google+エバンジェリストを自認している私ですが、それを抜きにしても最近のGoogle+はじわじわと必要な機能を漸進的に付け加えており、FacebookでもTwitterでもない、独自のソーシャルプラットフォームになるつつあるという印象です。

そして今日、Googleキャンパスで行われたライブイベントにおいてさまざまな新機能が発表され、もう一歩Google+のビジョンが見えてきた感触がします。

まだGoogle+にそれほどコミットしていない人でも、そろそろ真剣に検討すべきかもしれない時期に来ている気がするのです。そしてそれは「+1が検索に効きますよ」といった表層的な話題ではなさそうです。### 写真機能の進化は、そのままYahoo!とFacebookの喉元への短剣

今回のアップデートの目玉の一つは、写真機能の大幅な強化です。iOS からのオートバックアップ機能は、フルサイズの画像を自動的に背後でバックアップしてくれます。

これはいちいち Flickr などにアップロードするなどの手続きがいらないということであり、Adobe RevelやDropboxとの衝突コースでもあります。

また、Googleの画像認識によって「夕焼け」「人物」「雪だるま」など数千種類の写真中のオブジェクトが判別されるため、自分の画像を整理することなく検索することも可能になります。

大人気の Auto Awesome 機能は補正の強度を変えられるようになっただけでなく、すでに他のソフトなどで加工を行っているならアルバム単位で補正をオフにすることも可能になりました。

Autoawesome

また、Auto Awesome に加えられた Action、Eraserの新機能も、手間をかけずに共有しがいのある写真をつくる手段になります。

すでに Thomas Hawk さんや Takahiro Yamamoto さんといった写真家が Google+ で活動していますが、それだけ写真とGoogle+は相性がよい場所になっているのです。

これらの写真機能の増強は、そのままFlickrつまりはYahoo!、InstagramつまりはFacebookの牙城を揺るがす一手になっています。もちろんFacebookも写真機能は多彩ですが、フレンド同士の共有よりも、Google+でパブリックにしたほうがコンテンツを活かすことができます。

文章ではなく、写真だけでもコンテンツになるということはPinterestなどでみてきましたが、Google+ページに写真機能をあわせて使うことでブログとはまた違ったコンテンツ流通の場を手にすることができるのです。

コンテンツは自動的に作られる。Auto Awesome Video 機能

もう一つ、今回の目玉機能として紹介されたのはビデオの Auto Awesome 機能です。

これは適当に撮影された動画や写真を束にして、Google側でてきとうにハイライトを抜き出し、音楽とともにショートビデオを全自動で作成してくれるという機能です。

大事なことなのでもう一度書きますが、つまりユーザーは好きに動画や写真を撮影していれば、自動的に編集が行われてコンテンツになってしまうということです。「だれが旅行中にiMovie立ち上げている暇がある?」といわんばかりです。

動画はまだまだこれから伸びるコンテンツです。一般の人々が動画をコンテンツとして流通させるときに一番のハードルになっているのが編集です。今回のアップデートはその部分を自動化することでGoogle+における動画の流通を底上げしてしまうという施策なのです。

もしあなたが動画コンテンツを考慮しているなら、これは決して無視できない流れです。

受容が進むハングアウトオンエア

ハングアウトオンエアについても、さらにそれをコンテンツとして成立させるためのアップデートが行われています。

たとえばオンエア中の画像の自動補正は、見るのが困難なハングアウトをユーザー側の手間を一つもかけずに視聴可能なものにしてくれますし、ハングアウトオンエアの事前予告ができるようになったのも、視聴者を番組にひきつける方策として待ち望んでいたアップデートです。

ハングアウトオンエアについては、すでにアメリカのテレビなどのメディア内で視聴者を番組に参加させるために利用されたり、ホワイトハウスが大統領と国民の対話の場を作るためなどといった利用が広まっています。

日本でもニコニコ生放送といった技術がありますが、Google+の中性的なスタイルのほうが好まれる場合もあるでしょう。

ソーシャルも適材適所の世界へ?

写真コンテンツへのてこいれ、動画コンテンツへのてこいれ、そしてハングアウトオンエアのような新メディアへのてこいれ。これは Twitter と Facebook に比べて Google+ はどう優れているか、劣っているかという話からだいぶ離れてきた印象です。

ブログなどといった文字ベースのコンテンツだけでなく、写真、動画、ライブといったものもストリームにとりこんで独自のみせかたができる場所としてGoogle+が成熟してきたということだと思います。

しかしこれらのコンテンツは成熟に時間がかかるものでもあります。さまざまなコンテンツを生み出している人がそろそろGoogle+にも投資したほうが良いのではないかと思うのは、ソーシャルがTwitter/Facebookだけではなくなり、写真共有がInstagramだけではなくなり、そしていま共有されることがめずらしいライブコンテンツがさらにメインになる頃から逆算すると、ちょうど今くらいなのではないかと思うからです。

単なる予想ですから大外れの可能性もあります。でもちょっと興味がわいたというかたは、ぜひGoogle+のおすすめコンテンツや、CanCamの行っている施策、楽天イーグルズの行っている投稿などをみてヒントを感じ取ってみてください。

Google+の代表者でもある Vic Gundotra が何度も繰り返すように、“We are only beginning” 「まだGoogle+は始まったばかり」なのですから。

堀 E. 正岳(Masatake E. Hori)
2011年アルファブロガー・アワード受賞。ScanSnapアンバサダー。ブログLifehacking.jp管理人。著書に「ライフハック大全」「知的生活の設計」「リストの魔法」(KADOKAWA)など多数。理学博士。