Google+で既存のクラウドツールの使い方が一変しそうな予感

Circle

Facebookを始めとするソーシャルの圧力に対するGoogleの解答ともいえる Google+ サービスが限定公開されています。私も初めの日に運良く紹介をいただくことができて、この一週間試していました。

Facebook/Twitterとの比較や、日本でGoogle+が成功するか否かといった視点ですでに多くの記事が書かれているので、その部分は割愛しますが、とても気になっているのが、ソーシャル化への動きがふだん我々の使っているツールに及ぼす影響です。

Google+がグループウエアに化けたら怖い | Tarosite.net

そしてGoogle AppsアカウントにもGoogle+が提供されるようになることを考えると、Google Appsを導入するだけで、メールやスケジュール、ドキュメントなどのクラウド化に成功するだけでなく、社内のソーシャル・ラーニング(米国では社内にソーシャルメディアを導入することによる知識共有やコミュニケーションをこう呼ぶ)環境を導入することにもなる。

そう、Apple の iCloud サービスが OS レベルでクラウドを導入しようとしているのは真逆の形で、Google+と既存のGoogleアプリの連携は破壊的な意味合いをもってきます。

これまではユーザーが一人ひとり Gmail や Google Calendar とインタラクションしていて、せいぜいカレンダー単位での共有をしていましたが、ユーザーが Google+ のスレッドでわいわいと騒ぐようにカレンダー上で予定を決めることができたらどうなるでしょうか?

Google Docs や Spreadsheet を複数の人で共有し、リアルタイムでチャットしながら仕上げていくことはいまでもできますが、現時点では Google Docs とチャットが別の場所にあるので面倒です。これが一つのツールにまとめられたら、Skype やメールさえいらないかもしれません。

Google future

そもそも、「皆が同じツールを使う」ためのプラットホームとして提供されているグループウェアという仕組みが Google+ の機能のなかに発展的に解消されるおそれがあるというわけです。

情報整理のソーシャル化

同じことは Google 検索の結果についてもいえます。Google+ には Sparks というニュースを発見するための機能がありますが、このネーミングは「議論を発火する」ということから来ています。

現時点では Google ニュースと似た感触しか与えない Sparks ですが、この機能はゆくゆくはツイッターの Trending Topic と同じように、Google+ 内部やツイッターといった SNS でのアクティビティに応じて自動でいま一番ホットな話題を我々にプッシュするようになるはずです。

個人的には、Google+ にブックマーク機能や、Evernote のような機能が追加されることで「以前私が興味を示したもの」と「友人が興味をもっているもの」が、リアルタイムに検索結果を変えるようになってほしい気がします。

流行が起こる前から流行しそうなトピックがプッシュされ、興味があると気づく半歩前からその話題が自分の方向にむかってプッシュされてくるとすれば、これまで能動的におこなっていた「情報整理」の意味がまったく変化します。

いまのところこれらの予想は私の妄想にすぎませんが、あながち外れてはいないのではないかと思います。こうした「ソーシャルなツール」がデフォルトになったとき、書類の所有権はどうなるのでしょう? 作業の進め方は中央集権的ではなくなるのでしょうか? そもそもそれは今に比べて効率的でメリットを生み出すものなのでしょうか? まだまだ多くの不確定さがのこっています。

Google+ をいま使うべきか?

ところでいまのところ Google+ は作業を進めるどころか、最悪の作業妨害の源でしかありません。

Google 関係のアプリにアクセスするたびに、右上に大きな赤字で Google+ のノーティファケーションが光っているとクリックせずにはいられないのですが、ユーザーが少ないためにまだまだ有用というにはほど遠いところがあります。

当面は実験的な利用方法でツイッターと並行して利用していると思いますので、Google+ のアカウントを幸運にも手に入れていて、サークルに加えてもよいという方はこちらからどうぞ。

堀 E. 正岳(Masatake E. Hori)
2011年アルファブロガー・アワード受賞。ScanSnapアンバサダー。ブログLifehacking.jp管理人。著書に「ライフハック大全」「知的生活の設計」「リストの魔法」(KADOKAWA)など多数。理学博士。