情報過多を気にする必要がない理由
Boing Boing の Cory Doctorow が情報過多と付き合う方法について、まさにトップをひた走るブロガーならではのノウハウをガーディアン紙のコラムに書いています。
Cory は BBS、ホームページ、ブログ、ツイッターを追ってきた流れを思い起こして、いつもこうしたトレンドに最初は一言一句ついていくことができたのに、次第に情報過多によって全部のブログは読めない、全部のツイートは見られないという状況へと追いやられると書いています。
しかしそうした情報過多でも慌てずにすむのは、どの媒体でも重要な情報はいつだって繰り返し浮上したり、誰かが再度言及したり、リツイートして、また出会うことができるからだということです。
There are fascinating implications for a world of probabalistic resource use: for one thing, it points up the importance of “signal amplification” through retweets, reposts, and other recycling of interesting tit-bits – these are critical to the successful use of a medium that can’t be consumed by any one person from tip to tail.
これは情報に確率論的にしか出会えないいまの世界について重要な示唆をあたえてくれる。その一つが、リツイート、再掲、ネタのリサイクルを通した「シグナルの増幅」の重要性だ。次にやってくるのがどんな媒体であれ、一人のユーザーがすべてを消化できない場合には、こうした増幅の過程が媒体の成功にとって鍵となるはずだ。
これは私がときどき触れている「自分の価値観のフィルター」によるキュレーションと密接に関わっています。
ツイッターのフォロワーを選ぶことは、どんなネタを自分に届けてくれる人かを選ぶこと(キュレートすること)ですが、その選びとったフォロワーのつぶやきのなかから、最も興味深いものをリツイートした瞬間、あなたは自分の価値観によってあなたが好ましいと思うシグナルを増幅して世界にとどけた事になるのです。
同じように、あなたがフォロワーを注意深く選べばえらぶほど、RSSに登録したブログを精選すればするほど、重要な情報は増幅されていずれ手元に届きます。
Cory の場合、たとえメールのように「相手 vs 自分」という決定論的な関係のなかで流れる情報であっても、重要なメールを忘れていたら相手が再度注意を促してくれてかならず再浮上するという信頼があるそうです。
It also suggests that the most important strategy for coping with information overload is to simply relax and not worry about missing the once-in-a-lifetime opportunity lurking somewhere in one of your inboxes – it’ll be around again shortly.
つまり情報過多と付き合うもっとも良い方法は、たんにリラックスして、心配せずに待つことだ。情報はたった一度だけ、その機会をのがしたら二度とあえないチャンスとしてやってくるのではない。重要な情報なら、そのうちもう一度会えるはずだ。
私もブログの記事にするに当たって大量の RSS 記事の中でなんども言及されているネタに注目することがよくあります。
しかし同時に、ブロガーとしてはあまり使い古されたネタでは記事になりませんので、重要なシグナルを最初に増幅する人になりたいという視点でも記事を見ています。
この2つのバランスが、情報過多に負けない情報発信者の基本フォームというわけなのでしょう。