あなたの趣味にさよならを
Saying farewell to a hobby | Unclutterer
学生時代に買って、最近ではほとんど使っていないシンセサイザーがあります。当時はそれなりに高価なものでしたし、時間を持て余していたときは、下手なりに練習したものでした。
しかしそれからもう10年近く、このシンセは電源も入れられたことがありません。部屋の片隅で、いつも他のものの邪魔にならないように壁に立てかけられているのです。
もちろん、「いつかまた弾きたいなあ」と思ってはいたのですが、いつも練習に必要なまとまった時間を投入できずにいて、そんな後ろめたさもあるので、なんとなくこのシンセを目にするたびに気が重くなるのでした。
そんな折、Unclutterer に「あなたの趣味にさよならを」という記事が載っていて、ずっと無視してきた心の痛みを直撃する内容だったので、やっとこのシンセを手放す決心がつきました。
それは趣味? それともあこがれ?
Unclutterer の記事で一番その通りだと耳に痛かったのは、「いつかやろう」と思っていても、現実として過去数年のうちにほとんど実行したことがない趣味だったら、**それは「○○を趣味にしている」のではなくて、「○○を趣味にしている自分を思い描くのが趣味」**だというくだりです。
そうした趣味は過去のあこがれや、あまい夢の残滓だったりするので切り離すのはつらいものですが、逆に考えるなら今最も楽しいことに集中するためにあえて別れを告げるのも良いのかもしれません。
趣味に関係したがらくたは以外と多いもので、いつかまたテニスをしようと思ったままラケット、シューズ、ボールやウェアを溜め込んでいるのは、整理整頓の邪魔になるだけでなく、新しいものを増やすための余地を殺していることになります。
元記事では5段階のステップで別れを告げるべき趣味を選んでいましたが、その骨子は以下の通りです。
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過去12ヶ月間に10時間を費やしていない趣味はただちに切りはなすべき。問答無用。
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過去12ヶ月のうちに24時間程度しかコミットしていない趣味は、注意深く監視する必要があります。その「趣味」は長期的に見て大事なものでしょうか? それをあきらめることで、何か別の大事なことに時間を割くことができないでしょうか?
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趣味に付随した消耗品は、本来趣味の活発さに比例して多くなるべきですが、物持ちの良い人はむしろ逆に「いつかやりたい」という気持ちに比例してストックが多くなるようです。目安として、趣味に必要な消耗品はその向こう1年分以上は置かないのが吉。
12時間とか、24時間というのは単に目安ですが、ようするに、ある程度以下の時間しかコミットしていない活動は問答無用できりすてるべきだというわけなのです。私にとってはこのシンセサイザー、古いゲームソフト、そして覚える時間のないプログラミング言語の専門書などが該当しそうです。
思えばだんだん忙しくなってくるに従って、昔はいろいろと手を出していたものに、ほとんど時間をかけることができなくなってきています。
多趣味も気分がいいものですが、中途半端にしか嗜めない趣味をいくつも持つよりは、一生の間にこれとこれだけはモノにしたい! というくらい大きなあこがれをもった趣味だけに時間を集中し、それ以外はすべてダイエットしてしまう方が、長い目で見た時に大きな満足を与えてくれるのかもしれません。
ああそれにしても、別れは辛いなあ。