どこだかわかる? 車に使われている3つの先進的3M技術 #3mjp

あなたの3メートル以内に、きっとなんらかの形で存在する3Mの技術。

そんな、ふだん意識することが少ない3Mの製品について紹介する「3Mイベント」の10回目に参加しました。今回の特集は、自動車です。

自動車こそは、先進的な技術が積極的に活用されている舞台といえるかもしれませんが、完成品である車両をみるだけでは、どの部分に3Mの専門性が活かされているのか見つけるのは困難です。

マスキングテープなどで有名な接着技術、不織布にみたような化学繊維をつくる技術、あるいは電線や研磨剤やフィルムでみたような素材形成の技術。

こうした地味ですがすごい技術が、車の安全性や快適性を高める場面で使われているのです。3つ、思いつきますか?

さて、今回も最後までお読みいただいたかたには、ブログ読者プレゼントがありますので、ぜひ応募してください。

溶接よりも強い「アクリルフォームテープ」

ひとつ目は、接着技術を応用した超強力、アクリルフォームテープです。代表的な場所だと、車体に自動車会社のエンブレムを貼り付けるのに、このテープが使われるのです。

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こうしたパーツは溶接されているのかと思いきや、実は溶接やビス止めよりも強力で、細かい仕上げが可能な「テープ」を使うほうが手軽なのです。あまりに強いので、剥がすにはピアノ線を使って削り取るくらいしか方法がありません。

このテープは防水のため、あるいは細かいパーツを組み上げるために利用されており、昔ならば溶接や、プラスチックのはめ込みなどといった工程や成形が面倒だったものが、テープによって簡単に、軽量に、でも同等以上の接着力で実現しているのです。

音と熱を通さない「シンサレート吸音断熱材」

車のなかの環境は格段に向上しています。防音や、エアコンの効きかたなど、本当に一昔とはくらべものにならないほどです。しかもそれを、軽量で簡単な設計やパーツでいまは実現しているのです。

そうしたときに活躍するのが、この「シンサレート吸音断熱材」です。製品名のシンサレートは thinsulate、おそらくは「thin = 薄い」と「insulate = 断熱・絶縁する」から作られた造語だと思われます。

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この吸音断熱材は、音を粘性散逸と内部摩擦で吸収して熱に変えてしまう機能と、熱そのものをとらえて通さない性質をもっています。でもその本質は3Mが得意な不織布(ふしょくふ)なのですね。

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ポイントになっているのは、細さが2種類ある繊維で織り上げるその手法です。2種類の細さの繊維がさまざまな構造で織られるため、吸収される音の周波数も高温から中音域の広範囲になります。

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それが車のあらゆる部分に組み込まれているわけです。主に、音が発生するタイヤまわり、エンジン音が伝わると嫌なダッシュボード裏、そして雨滴の音などを軽減するための天井などです。

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たとえばこうしたダッシュボードの裏には:

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こうしてシンサレートがはりつけてあります。これがあるおかげで、車の音と温度の環境が守られているわけです。

不織布、こんなところにも入っていたのか!

光の装飾を生み出す「ライトストリング」

最近の車は、以前に比べるとずっと「光って」います。操作系や、ギア、天井など、熱くないひかりの演出がさまざまに仕込まれているのです。

これらの光は電球ではなく、LEDから生み出されています。それをこうして線状に均一に表現するために使われるのが、「3Mライトストリング」です。

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なんのへんてつもない、柔らかく曲がるアクリル樹脂の棒にみえますが、これには小さな仕掛けがしてあります。

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写真では薄く見えるのですが、樹脂の中央部と、その外側の二重構造になっています。この内側をコア、外側をクラッドといって、コアはアクリル系樹脂、クラッドはフッ素系樹脂と、素材が違うのです。

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素材が違うということは、屈折率が違う。屈折率が違うと、その境目で反射が起きるというのは学校で学んだとおりです。

単なる光ファイバーなら片側からはいった光をすべてもう片側から出せばいいのですが、ライトストリングの場合は、あえて側面から光を出すことで輝く棒を生み出すのです。

ライトストリングはさらにコア部分の拡散剤、クラッド部分の屈折率の調整などを通して、均一な光を生み出したり、しだいに減衰する光の棒を生み出したりすることができます。

ライトストリング、物理的仕組みはとても基本的なものなのに、柔らかい材質で、光を均一に伝えることができる反射材と材質の作り方は3M独自のもので、実は世界中でほかに類例がない製品。それはすごい。物理が基本だけにすごい #3mjp pic.twitter.com/KI88s9sACa

— 堀 E. 正岳(ほりまさたけ) (@mehori) 2016年9月13日

ちょっと科学的な驚きを追記すると、2重管のなかの光の散乱というのは物理の問題としてはとても基本的です。しかしこの基本を、樹脂の性質のなかに作りこんで製品にできているのは3Mだけなのです。物理が基本だけに、驚きます。

車だけではない、はず

今回は車が対象でしたが、こうした技術は鉄道やバスなどといった場所でも活用されています。内装のダイノックフィルムから、車両内の光の演出、あるいは塗装のかわりに用いられるラッピングフィルムなど、3Mが関与していないはずがありません。

今回のおどろきはやはりライトストリングで、こうした基本的な物理を製品にできること、これが3Mの強みなのだなと納得しました。

恒例のブログ読者プレゼントは、アルティメットなあれ

さて、3Mイベントでは恒例のブログ読者むけのプレゼント応募があります。今回のライトストリングやシンサレートは提供できないらしいのですが、必要ないほどに強力なテープと、今回は車用のツヤ出しクリーナーが登場です。

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その名も「マグアイアーズ アルティメット クイックディテーラー」なんですかその強そうな名前は。

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実演していただいたのですが、明らかに強い感じで車のボディが磨かれ、鼻を心地よい芳香が包み込み(本当に整備している人むけに香りに気を使った開発をしているのだとか)、脳裏には火を噴く爆音のなにかが鳴り響きます。

こちら、応募される場合は以下のフォームからお願い致します。「ご覧になったブログ名」は「Lifehacking.jp」こちらをコピーしていただけると幸いです。

  • 第10回 ざ・3Mセミナー開催記念 プレゼントフォーム

  • 抽選 5名 (締切、10月10日23:59) http://go.3M.com/20160913

ぜひご応募いただけると、このブログの活躍が3Mの中のえらい人に届くと思いますのでよろしくお願いします。

今年の3Mイベントはこれでおしまい。来年はどんな科学の世界を見せてくれるのでしょうか?

 

3M
堀 E. 正岳(Masatake E. Hori)
2011年アルファブロガー・アワード受賞。ScanSnapアンバサダー。ブログLifehacking.jp管理人。著書に「ライフハック大全」「知的生活の設計」「リストの魔法」(KADOKAWA)など多数。理学博士。