文章修行のために意識する文字数と、頻度と、操る感情のバランス

もっと文章を自由闊達に書けるようになりたい。今年は限られた時間のなかでそんな野望を抱いています。

いまだって、好き放題書いているじゃないかと言われそうなのですが、書きやすいことを繰り返し書くことと、多少の冒険をして新しい境地を切り開くのとでは目に見えない負荷の違いがあります。

たとえば私には今のところ20分程度で人がお腹をかかえて笑うような文章はかけません。硬い文章ならいくらでも書けるのですが。これは性格の牢獄だから仕方がありませんけど、それをちょっと揺さぶるくらいはやってみたくなります。

文章をかけるようになりたいとアドバイスを求められた時に、いつでも勧めているのは文字数をベースにしたトレーニングです。最初は一つの段落だって描き上げるのが難しく、段落から段落のつながりだって混乱してまとまりがつかないのですが、繰り返し一段落ほどの文章を書いているとその2倍、3倍のスケールの文章が楽になってきます。

これを図で書いてみると、こうしたスケールがみえてきます。

writing-scale

横軸は対数でとった文字数、縦軸は書く頻度と理解してください。毎時に書けるツイートから、日から週のスケールで書くブログ、と、文字数に対して時間頻度がおおよそ決まっていきます。

書いた文字数というのは文章修行としては正直なもので、左側のスケールの書き物を定期的にしていると、その右側のスケールに手が届きやすくなります。まあ、いきなり10万字を書いてしまうということもあるのですが、例外的な馬鹿力に類するものかもしれません(経験者)。

先日までは、私にとって1200字くらいのスケールであるブログは一番量産されていましたが、その一歩上の数千字が手が届きにくい領域でした。これをニュースレターによって埋めることによって、KDPに向いた小著に楽に手が届くようにしたい。それがとりあえずの目標です。ここだけグレーにしてあるのは、やったことがないからですね。

文字のスケールには、それにあわせたテーマの選び取りもあります。語られるストーリーテリングの定石も違います。どれだけ説明に文字数をかけてもいいかから、感情の揺さぶりをどのくらいの時間にわたって醸成してゆくのかも違います。

こうした文章を盛るための器の違いがあるということがわかると、では自分は何文字のメディアを繰り返して修行すると次のステップに踏み込みやすくなるだろうかという発想ができるようになります。

何について書くのか? どのような論理のつながりを生み出そうか? そんなことを考える以前から、自分を成長させるための文章スケールは、それまでの経験のなかに隠れているのです。まずはほんの少しだけ文字数を多くして、少しだけ頻度に気を使うと、次の窓が開くかもしれません。

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堀 E. 正岳(Masatake E. Hori)
2011年アルファブロガー・アワード受賞。ScanSnapアンバサダー。ブログLifehacking.jp管理人。著書に「ライフハック大全」「知的生活の設計」「リストの魔法」(KADOKAWA)など多数。理学博士。