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「Mediumだけはだめだ」あるいはパーマリンクに未来があるかという話

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最初期からのブロガーであり、ポッドキャストの父ともいわれる Dave Winer 氏がウェブに評論を投稿する際に「どこでもいい。ただ、Mediumだけはだめだ」と発言して話題になっていました。

もともとは、彼の知り合いがFacebookのコメント上で大統領候補トランプ氏についての深い考察を示して、それについてリンクをして多くの人に読んでもらいたかったというのが発端でした。

Facebookではどこまで誰が読めるかがわかりにくい、そしてコメントにはパーマリンクを作れないという制限もあって「どこか別の場所に投稿してもらえないか」とDaveはその友人にお願いをします。その一連の経緯ででてきたのが、「Mediumでなければどこでもいい」という上の発言です。

Mediumはウェブにおいて長文を発表する際のデファクト・スタンダードになりつつあります。すべてのひとがブログを持っているわけではないので、ツイッターのアカウントさえあれば、時々、あるいはたった一度でも長文を投稿するのならばMediumは便利ですし、フォロワーを通して、あるいはMedium自体のプロモーションを通してたったひとつの記事でもそれなりの拡散をします。

ではDave にとって、なぜそんなメリットだらけのMediumは危険にみえるのでしょうか。彼のブログ記事の次の説明がそれについて語っています。

I only want to point to things that I think have a chance at existing years from now. And things that are reasonably unconflicted, where I feel I understand where the author is coming from. Neither of those criteria are met by posts on Medium.

私はこれから何年も持続して存在するものだけにリンクしたいのだ。そしてほどほどに葛藤のない、著者が自分の意見を真に表現しているものを読みたい。その両方の基準を、Medium は満たしていないのだ

つまり、ユーザーにとっては便利でも、Medium の記事は長期で保存され、ログとして何年にもわたって価値を提供することを念頭に作られているわけではないのではないか? という指摘です。

ツイートと同様に、つぶやかれ、拡散し、その広がりの終了とともに厳密にいえばウェブには存在するものの、検索が難しくなってしまうのが、Medium の記事です。それが彼には気になるのです。また、Medium がプロモーションする記事がのびるという構造によって、Medium にとって都合のよい世界観の記事がフィルターされるのも気になるところです。

プラットフォームは、その上に掲載される記事に対して透明でなければいけないという視点に立つと、営利企業であるMediumが来週になって記事を検索不能にする可能性や、それ自体に都合の悪い記事をどう扱うのか疑念がある人には使用が難しいわけです。

また、テキストというメディアが Medium によって囲い込まれることの危険性についても Dave は指摘します。

If Medium sews up this media type, if they own it for all practical purposes, as Google owned RSS (until they dropped it), then you can’t move until they do.

Medium がこのメディアタイプを席捲して所有する形になると、それはGoogleが現実的な意味でRSSを所有し、放逐したのと同じ状況になる。ユーザーである私たちは、彼らが動かないかぎり、どこにもいけないのだ。

テキストほど基本的なメディアにおいて単一のプレイヤーが強くなりすぎると、次のイノベーションがやってきにくくなり、他の開発者が参入しにくくなり、やがてそのプラットフォームが利益を生み出せなくなった時にユーザーと大量のコンテンツもろとも破滅がやってくるというのがDaveのもつ最も悲観的なビジョンです。

これは面白い視点です。

Mediumには、プラットフォーム自体が記事をプロモーションして拡声器となるというメリットがあります。また、常に更新していないひとでも、たったひとつの記事から重要な話題に貢献をして注目を集めることが可能です。

一方で、プラットフォームに依存することによって、10年、20年先のアーカイブになるのか、プラットフォームによってコンテンツが選別されないのか? というのは問題提起としてありえます。

結局のところ、これはパーマリンクの問題に帰結します。FacebookやLINEのようにパーマリンクがないか分かりづらい場所に投稿を行うことの長期的な意味です。

ブロガーとしては意識的にブログと Medium にクロスポストするのもいいのでしょうけれども、いずれにしてもパーマリンクに対して意識的であることは必要なのです。

私は Medium でもよい気がします。

でもあなたは?

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著者について

堀 E. 正岳

「人生を変える小さな習慣」をテーマとしたブログ、Lifehacking.jp 管理人として、仕事術、ライフハック、テクノロジー、文具、ソーシャルメディアなどについて執筆中。2011年アルファブロガー・アワード受賞。Evernote ライフスタイルアンバサダー。ScanSnapアンバサダー。この他のブログに、ライフ×メモ 、Climate+を運営しています。

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