強化されたGoogle Inboxのサーチ機能は文字列ではなく「答え」を検索する

Gmail公式ブログにおいて、 Gmailを閲覧するためのもう一つのアプリ、Google Inbox の検索機能がいままでよりもはるかに強力なものになることが発表されています。

Inbox by Gmail: find answers even faster | Official Gmail Blog

現在、メールを検索する場合には「ホテルの予約を調べる」という目的に対して「じゃあホテル名で検索しよう」という発想をします。なぜならメールの中にホテルの名前があるはずで、そのホテル名で検索すれば目的のメールがヒットするはずだからです。

でもこれが**「ホテルの予約」と入力するだけで直近の、最も妥当性が高いホテルの予約に関するメールをカード式に表示するとしたらどうでしょう**。便利なだけではなく、これはサーチに関する考え方を変えるものでもあるのです。

今回の Google Inbox の機能強化は、こうしたホテルの予約、フライトの時間、住所、電話番号、請求書など、ありがちなメールについてこうした「質問」を与えれば、「答え」を検索する機能強化を行っています。

ものは試しですので、今日 Inbox を使う人は検索窓でメールを探すさいに、文字列を検索する発想ではなく、Inbox に対して質問をする発想にしてみてください。すると、答えがわりと自明なものについては Inbox が妥当性に応じた順列をさせて結果を表示するかもしれません。

検索は文字列から、認知的な質問へと進化する

さて、これはGmail / Inbox が、クラウドのもっている持っている利点をさらに一歩推し進めているものだと理解できます。そしてその根幹にあるのは、テキストの内容をあらじめ解釈して重み付けをする人工知能的なアルゴリズムの存在です。

これまでは文字列を検索させ、どれが該当するメールなのかを目で追っていました。今回のアップデートは、この目で追うという部分の認知処理の領域まで Google が受け持つようになったということでもあるのです。

これが本当によいことなのか? 便利さと引き換えに、機械に対して人間がもっていた優位性のようなものを手放す結果になりはしないか? という倫理的な質問も立てることは可能です。

しかし結局のところ優先されるのは、私がメールを探し、処理するための1秒を節約できるかどうか、何百万人の1秒、2秒を節約することによってGmailユーザー全体の生産性が向上するのかという問題です。

Google がここでも「悪をなさない」をモットーに、人間が触れる情報のよい養い手になるのか、長い目で見守る必要があるのかもしれません。

堀 E. 正岳(Masatake E. Hori)
2011年アルファブロガー・アワード受賞。ScanSnapアンバサダー。ブログLifehacking.jp管理人。著書に「ライフハック大全」「知的生活の設計」「リストの魔法」(KADOKAWA)など多数。理学博士。