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時間が足りないのではなく、MPが不足して何もできないとき



「忙しすぎて、◯◯ができない」でも、本当に?

Basecampの開発者のブログ、Signal v. Noiseでジェイソン・フリードさんが、時間がないことと、アテンション、つまりは注意力・関心がないこととの違いについて記事にしています。

ここで注意したいのは、attentionを「注意力」「関心」と理解してしまって、注意が足りないから、関心がないからととらえてしまうと誤解に導かれる点です。

Attentionにはそうした意味もありますが、ここで問題になっているのは、時間ならあるのに、それを割り当てるための気持ちのリソースが足りないことを指しています。そういう意味では精神力が足りない、あるいはロールプレイングゲーム的な表現を使うなら、「MPが足りない」といってもいいでしょう。

時間はあるのに、手を付けられない

ジェイソンさんが直面したのは、ありふれた、どこにでもある状況です。ある日、彼のためにインターンで働くことができないかと提案してきた学生がいました。

メールは自信をのぞかせながらも押し付けがましいところがない、とても感じのよいものでした。興味をもったジェイソンさんは訪問してもいいかという学生さんにもちろんと返信し、二人はインターンシップの大枠について相談をして、「ではあとで詳細を決めるから連絡するね」といって別れました。

問題は、「あとで」を実行に移すことができなかったことでした。あとでこの学生さんのインターンシップを進めるための作業をしようとすると、どうしても時間が見つけられない状況になってしまい、メールへの返事はどんどんと遅れていきました。

最初ジェイソンさんは「思っていたほど時間がなかった」という言い訳するつもりでしたが、よくよく考えると、それは違いました。時間はあったのです。忙しい毎日を送っているとはいえ、毎日20分ほどこの学生さんのために時間をとっておくくらいは、可能だったはずなのです。

It wasn’t that I couldn’t find the time. I couldn’t find the attention.

時間が見つけられないという問題ではなかった。attentionを割り当てることができなかったんだ。

アテンションというMP

時間を割り当てて、そこにむけて作業をするのにも気力が必要になります。気力というと、また「気力が足りないから対応できないのはダメな証拠」といったように筋肉質な議論になりがちですが、たとえ単純な作業でも気力不足になることはよくあることです。

たった1ページの文書を作成しているだけでも、Wordが途中でクラッシュしただけで「心が折れた」状態になってしまうことは誰もが体験していることだと思います。

これを注意力、気力という言葉ではなく、MPに置き換えて考えるとわかりやすくなることがいくつかあります。時間はあってもMPがなければいつものような魔法を生み出すことはできませんし、難しいことをしているわけではなくても少しずつMPが削られて一日の終わりにはメールひとつ返信できない状態になることもあります。

もっとも、ゲームと違ってMPは残量を測ることが難しいですし、休んだからといってすぐに回復するものとも限りません。ただ、時間という残量のはっきりしたリソースとともに、MPという残量が見えにくいリソースがあって、両者をバランスさせないとなかなか効率は維持できないということです。

ジェイソンさんのコメントがよいまとめになっています。

Time and attention aren’t the same thing. They aren’t even related.

時間とアテンションは同じものではない。そもそも、それは相関すらしないんだ。

The difference between time and attention | Signal v. Noise

そこでこのアテンション = MP が一日を通して削られてゆくものであること、残量がわかりにくく、意識的に回復させるのも難しいものであることを前提に、いくつか「MP枯渇」を避けるために試していることをまとめておきます。

  • 自分の生活をみていると、もっとも集中力を削いでいる場所がなんとなく思いつくはずです。たとえばFacebookやTwitterなどといったサイトを見ていて一日の集中力が枯渇するといったこともあります。そうしたときは、ブラウザの拡張機能などを使って、あらかじめこれらのサイトを時間限定でブロックする、あるいはそうしたMPをそいでゆく時間を縮小する方向にもっていくことができます。
  • 作業を錯綜させ、判断するべきことが増えるとMPは急速に減る傾向にあります。それを避けるために、最初にDoingリストのようなものを作成して、そこに書かれたタスクのみに集中するといった手法があります。
  • どうしてもMPが減って、とりかかれない場合には、5分だけメールを書く、5分だけ作業をするといったように、時間でタスクを分解するということができます。これを「小さなタスクに分けよう」というのはなかなかうまくいきません。MPが減っている状態ではまさにそれができないからタスクを進められないことが多いからです。時間で分断する分には、少なくともほんの少しずつ進めるうちに、気力が回復してくることもよくあります。

「あとで気力が残っているはずなのでまとめてやろう」という判断が一番危険で、それは翻訳すると「いまはMPが足りないからあとでなら回復しているかもしれない」というわけですが、実際にはあとになったほうがさらにMPは枯渇しているに違いありません。

まずは時間と気力、あるいはMPはまるで別のリソースであること。そしてそれを意識していないと、時間はあるのになににも取り掛かれないという壁に直面するとことを意識していただければと思います。

そして、たぶん私自身のMP不足で連絡できていない人もいるのではないかと思いますので、書いておきましょう。ごめんなさい。ただいま回復中です。


著者について

堀 正岳

「人生を変える小さな習慣」をテーマとしたブログ、Lifehacking.jp 管理人として、仕事術、ライフハック、テクノロジー、文具、ソーシャルメディアなどについて執筆中。2011年アルファブロガー・アワード受賞。Evernote ライフスタイルアンバサダー。ScanSnapアンバサダー。この他のブログに、ライフ×メモ 、Climate+を運営しています。