10分区切りで仕事をすると生産性が劇的に上がる仕組み

仕事をするときにタイマーをかけていますか? たった10分のタイマーをかけるだけで、自動的に生産性にブーストがかかるかもしれないと聞いたら、やってみますか?

タイマーを使った仕事術については、ライフハックの父であるMerlin Mannが提唱した「ダッシュ法」や、ポモドーロ法などがありますが、Mashableの記事で単純に10分に区切るという方法が紹介されています。

ところがこれ、10分というところが肝心なのではなくて、どういうタスクを10分に分割するのかというところに秘密があるのです。

説明を試みましょう。10分以内で。

A 10-minute timer could revolutionize your productivity | Mashable

10分がすべて等価である場合に効果が最大

仕事を時間で区切るのは、集中力を途切れさせないためです。

時間のかかる作業を終わりなく続けるよりも、「10分でここまで!」と間欠的にパワーを出すほうがトータルでみて仕事を早く片付けることができます。また、10分のあいだ他の雑事に邪魔をさせないということももちろんあります。

Mashableの記事ではこの記者がすべての仕事を10分に分割するために3つのことを意識していると書かれています。

1. デレゲーション

出来るかぎり自分でやらずともよい、他の人のほうが上手にできる仕事を他の人に振り分けるのがデレゲーションです。

「でも自分はだれか任せられる人がいない!」という人もいると思いますが、必ずしも仕事をまかせるのでなくてもデレゲーションといえます。

たとえばメールや電話をするまえに、相手に簡単な質問をするのが悪い気がして自分で調べてしまう、あるいは仕事が一区切りつくまで返信を控えてしまって、かえって時間がかかってしまうことがあります。

これを単純に10分で切ってしまい、時間内に収まるように「質問があるんだけど」「途中経過だけど」と切り出すのも一種のデレゲーションといえます。

2. 長い作業のなかに埋め込まれた簡単な10分を探す

たとえば、だらだらとしていると1時間はかかる資料探しを、10分以内にこのキーワードで検索して、でてきたものを記録して、もう少し深く探る検索ワードがあるか検討するという具合の10分1セットに分割することができます。

Mashableの記事では、夕方になってきて飛び込んできたプレゼン資料をまとめる仕事を2時間で完了させるために2人組の2チームにわけて、10分で1枚のスライドと期限を切って作業を行うことで余裕をもって完了できたという例を紹介しています。

どんな作業も10分に還元できるようにしておく思考の訓練ができているからこそできる芸当ですね。

同時に、どこかで10分が15分、20分になってしまうように膨らむ可能性が少ない作業ほど向いているといえます。単純なプログラミングは向いているかもしれませんが、バグがでた瞬間に崩壊するわけで、バグ抜きの時間は別に取り分けるように作業を整理する必要があるかもしれません。

10分が問題ではなく、膨らむ部分をコントロールする

ここまでくると鋭い人は気づくと思うのですが、10分という数字に魔法があるわけではありません。

10分というのは長すぎず、短すぎずという目安であって、その人の仕事の流れが破綻しない最小の単位に分割した場合の時間ということになります。

この最小公約数に当たりがついたなら、あとはそこから無駄に時間がはみださないように最小ルートを探す思考方法を養うこと、むしろこちらの訓練のほうが大事なわけですね。

タイマーをかけて仕事をする人は多いと思いますが、タイマー自体に効果があるのではなくて、この制限のなかでどうするかという発想を促すために利用するほうが効果が上がることでしょう。

実際は10分を途切れなく連続させるよりも多少、次の10分に向けた息継ぎと準備をしたほうがよいでしょうから、Merlinの「10分+2分」を1時間に5セットやるダッシュ法が性にあっているのですが、これまで見たとおり、時間そのものには意味があるようで実は任意です。

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というわけでこのブログ記事も10分+2分ダッシュ3つ、35分程度で書き上げました。

みなさんもスマートフォンなどのタイマーを利用して練習してみてください。

堀 E. 正岳(Masatake E. Hori)
2011年アルファブロガー・アワード受賞。ScanSnapアンバサダー。ブログLifehacking.jp管理人。著書に「ライフハック大全」「知的生活の設計」「リストの魔法」(KADOKAWA)など多数。理学博士。