世界中の質問を答えと結びつけるQ&Aアプリ、Jelly

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ツイッターの共同創業者であるBiz Stoneが立ち上げたQ&Aアプリ、Jellyが話題になっています。

ユーザーはシンプルな質問を写真とともに投稿し、返事をする側はテキスト、あるいは写真に手書きで書き込んだり、リンクを送ったりという形で答えることができます。また、質問は他の誰かに転送することもできます。

それ以上でもそれ以下でもない単純なアプリですが、ここにはGoogleやFacebookといったSNSがこれまで解決できなかった、大きく違う点があります。### 簡単な質問と、簡単な答え

簡単な Jelly のやりとりをみてみましょう。たとえばこちらはたまたま私がいた現場で投稿された質問なのですが、「Where am I?」「さて、ここはどこでしょう」という質問に「カレーの会」という答えを投稿しています。

Jelly1

質問に答えられないなら下にフリックしてやり過ごすこともできますし、Forwardをタップして質問を自分とつながっている人に転送することもできます。正解をもらった人は簡単に感謝状を送信することができ、これで一問一答のやりとりは完了です。

でもこれ、どういう仕組みになっているのでしょう。

何百万のつながった人々が助け合う

Jellyは、Biz Stoneさんがツイッターのように膨大な人々の繋がり合いを有用に使うにはどうすればよいかについて考えていた際に飛び出したアイデアだといいます。Mashableのインタビューに対してかれはこう答えています。

「この膨大なつながりをもった社会が生み出すことができるものはなにかと思った時、僕に考えられるのはただひとつ、人々がお互いを助けているということだったんだ。」

Jellyは従来GoogleやFacebookが答えられなかった情報を即座に提供することができます。たとえばこちらの画像:

Jelly2

「このベルリンの建物はなんといって、誰がデザインしたのか」という質問は、Googleにはなかなか苦手です。というのも名前がわからない建物を誰がデザインしたのかは検索できないからです。しかしこの建物を知っている人なら、同時に二つに答えられるかもしれません。

2つ目は簡単なアンケートのようなものです。「このバッグを買うべきか」は個人的な質問ですが、この人から質問が転送される範囲内で、雰囲気はどうなっているのかを知ることができます。

すると、にわかに気になるのは「どの質問が、誰に表示されるのか?」という点です。それが Jelly の全てを決めているといっても過言ではないからです。

このアルゴリズムは内部では共同創業者の名前をとって、冗談めかして Finkel Rankと呼ばれているそうです。質問は決してランダムではなく、ある程度の推測で流通するようになっています。既存の SNS に、過去にどんな質問に答えたかという重みを加味して、次第に頭がよくなるシステムを目指しているそうです。

Jellyの可能性と危惧

Jellyの理想がそのまま実現すれば、検索不能な質問がある人からある人へと、答えをもっている人にむかって収束するようにたどり着くようになります。

たとえ自分が正解をしらなくても、友人の友人の友人の友人くらいになれば答えを持っている人がいる可能性も高まるからです。

Googleはある問題から答えをマッピングするタイプの情報を教えてくれますが、そもそも質問の側に抜けが多い場合には利用が難しくなります。また、Facebookの友人も未体験の質問には対応できません。Jellyのアルゴリズムはこの難しい情報の闇を照らすのです。

しかし一方で、Jellyには独特のハードルがあります。質問にも、純粋に答えがわからないから投稿しているものから、ネタのように投稿されているものまで、いろいろあるからです。

この短い間に、スパムっぽい投稿も急速に増えていて、それをどうするか、どのように質問を誰に届けるのかが問題になるのです。

Jellyというのはクラゲという意味です。変幻自在のクラゲのように、Jellyは質問のあるところにむかってただよい、答えを生み出していきます。

このしくみがGoogleやFacebookの有用性を越える日がくるか? 要注目です。

堀 E. 正岳(Masatake E. Hori)
2011年アルファブロガー・アワード受賞。ScanSnapアンバサダー。ブログLifehacking.jp管理人。著書に「ライフハック大全」「知的生活の設計」「リストの魔法」(KADOKAWA)など多数。理学博士。