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一流の研究者の集中力(2)超シングルタスクのすすめ

Saturday, 2 June 2007 · 31 Comments · Productivity


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一流の研究者とルームメイトになって二週間、私の仕事の能率はなんと通常の2倍に上がりました。

いえ、仕事を倍こなす秘密を教えてもらったわけではありません。この先生、ものすごくおしゃべりが好きなので、一日の半分は議論の相手をしているのです。朝やってくるとまず2時間ほどの議論。昼くらいにもう1時間。夕方にもう1時間で、私の仕事時間はざっくりと半分になってしまっています。でもまあ、やればなんとかなるもので、いつもと同じ仕事量を半分の時間でなんとかやっつけています。ものすごく疲れていますけど….

そんなある日の会話。

先生:「それでね、一口に地球温暖化といっても Signal to Noise ratio の問題がありましてな…」
私: 「自然変動とどちらが大きいかって話ですよね」
先生:「Or course. And you see….
(以下英語がだーっと)
……Right?」
私: 「!!!….Y, Yes, I agree」(とっさに英語に切り替え)

(さらに5分間英語で会話)

先生:「まあ、それはさておき….」
私: (ええっ、日本語に戻るの!?)

どうも途中で会話を英語に切り替えたことに全然気づいていないご様子でした。アメリカが長いとはいえこの方はれっきとした日本人です。あまりにしゃべることに集中しすぎているというのか、ただの変な人なのか判然としない領域に入り始めています。やっぱりすごい。一流だこの人。

2週間研究室をともにして見えてきた、この超一流の研究者の仕事のクセについてご紹介。

超シングルタスク

私はいままでにこれほどのシングルタスクの人を見たことがありません。

いつ何時でも、脳全体が何か一つのことにしか向いていないのです。お年のせいもあるかもしれませんが、たとえば昼食のときにも考えを口に出すのに夢中でいつまでたっても一口も食べていない。こちらが気を利かして割り込んで話し始めると、そういえば昼食だったという面持ちで食べ始めたりしておられます。

仕事をするときも、常に一つのことしかしていない様子が伝わってきます。たとえば午前にこれをやって、午後はこれをやろうという発想はなく、「今日はこれをしているのです」と、常に一つのことしか頭にありません。席を立たず、話しかけてもなかなか気づかず、1時間ほど息をつめてパソコンに向かっているかと思うと、深くため息をついてときおり休んでいる様子です。

しかし無戦略に何かに夢中になっているわけではないらしく、会話をしているとよく “End to End Plan” を考えなさいという言葉が出てきます。End to End というのは、最初から最後までの見通しのことで、「いま自分は何をしているのか」というしっかりとしたビジョンがあって、それがあってはじめてシングルタスクの夢中の仕事ぶりが効果をもつようです。

このビジョンが間違っていることも多いと本人も認めていますが、はじめから水ももらさないような計画をたてるのではなく、問題をとらえるために必要最低限の網をしかけて、しだいにすぼめるように仕事をしていけばいいのだそうです。本人は口にしませんが、きっとその網の精度は若い頃は悪かったものが、常に前線で戦い続けているうちに年々磨かれていったのだと思います。

論文の書き方について話題を振ると、事情を察してくれたのかこんな話をしてくださいました。

「mehori さん、一つの論文には一つのテーマしかいれてはいけませんよ。いきなりベートーベンの 9th Symphony みたいなものを書き始めては、あっちはどうだったっけ、こっちはどうだったっけと、頭がめちゃくちゃになるだけです。自分でことをえらくして難行苦行して、それが頭がいいことだと勘違いをしてはいけない」

私が助言に感謝して机に向き直り、数分がたつと、うしろから小さなつぶやきが聞こえてきました。

「もっとも、あのすごいシンフォニーもテーマは一つでしたな….」

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  1. [Lifehacking Diary] 一流の研究者の集中力

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  • とーりすがり

    こんにちは。「集中力」などでぐぐっていたら、こちらのサイトにたどりつきました。

    さて、その先生の行動はすごく興味深いですね。
    超シングルタスクは、私が最近感じるところと通じるものがあって、
    共感し、安心しています(といっても、私はな~んにもすごい仕事を
    しているわけでもないノーガキヤローですのであしからず)。

    10数年ほど前からでしょうか、「並行処理」とか「複数の物事を同時進行」
    ということが、能率をアップさせる方法として言われているように思います。
    仕事は段取りであり、そういう感覚であり、考え及び実践というものは
    大事なんでしょうけど、私個人の体験で最近になって考えるようになったのは
    それと逆の事、つまりシングルタスクであります。

    同時並行処理って、かっこいいんですけど、なかなか終わらないんですよね。
    で、私個人的なことでいえば、最後のツメというか、「ガッシリ」取り組むと
    否がおうにもシングルタスクになっちゃう。不器用ともいえるかもしれませんが、
    「やっぱり1つのことなのかなあ?」などと考えていたところでした。

    こちらのサイトの他の記事でも「雑事をシャットアウトする」などの記述が
    しばしば見られますよね。やっぱり、「シングルタスク」なのでしょうか?
    人に合う合わないという、聞こえのいい言葉で片付けるのではなく、
    「すべからく」シングルタスクであるべきなのでしょうか?
    私は、「とりあえずきったない草稿を書くことから始める」というのも、
    このシングルタスクとあい通じるものがあるような気がします。

    さて、48分12分の記事がありましたよね。丁度80%20%の比率なわけですが、
    その先生は8:2の比率で活動をされているのでしょうか?
    それとも9:1?それとも結構柔軟ですかね?でも一日をトータルで見ると
    8:2の割合だったりするでしょうか?よろしかったら、このあたり
    お聞かせください。あるいは記事にでも書いてください。

    唐突のカキコミ失礼しました。奇麗事ばかりでない、いろいろな話が
    載っているこちらのサイト、ブックマークさせてもらいました。

  • http://lifehacking.jp mehori

    とーりすがりさん:
    コメントありがとうございます。
    マルチタスクといえばきこえはいいのですが、人間はしょせんシングルタスクしかできないような気がします。

    とはいえ、いくつかのテクニックでkのシングルタスクの効率を上げることができるというのが実感です。たとえば A, B, C という工程の仕事を ABCABC とやるよりは、AAABBBCCC とやる方が効率が良かったり、ある仕事の大きなタスクをしているスキマ時間に、別の仕事の小さなタスクをやっておいて「見かけマルチタスク」にしてみたりといったものです。そのうち、このあたりも書かないと。

    この記事の先生ですが、この人の場合は猪突猛進、無我夢中の人ですので、100% 一つのことしかしていません。とはいえ、面白いのは一つの仕事をしている最中にべつの仕事が舞い込んでくると、ほとんどの場合断ってしまっている点です。偉いからできる芸当でもありますが、二つの仕事を同時に抱えていると「首がまわらんですからな!」とのこと。

    本当に一つのことしかしてない…

  • とーりすがり

    >偉いからできる芸当でもありますが、二つの仕事を同時に抱えていると「首がまわらんですからな!」とのこと。

    へえ~!? でも私なんか「偉いからできる芸当」というあたりにexcuseを求めてしまい、
    楽をしてしまいそうな気がします。でも、むしろ「偉い先生でもひとつしかやっていない
    んだから、ましてや我々が二つ以上のことなど・・・」と考えるべきなのかもしれません。

    偉い先生との事ですから、さぞやすごいのでしょうけど、その、「一つしかやっていない」
    ことで「視野が狭くなる」というのが私はすごく怖かったりします。mehoriさんは
    いかがですか?そんなこと考えてるひまがあったら手を動かせといわれそうですが、
    だから書きましたでしょ?ノーガキヤローだって(笑)。でも、その先生、食事中でさえ
    会話に夢中になり、食べるのを忘れるくらいならとっくの昔に視野が狭くなっている
    との見方も出来るかもしれませんが(笑)、でもすごい成果をあげられている
    先生なんですよね?となると、本当の意味での「視野が狭くなる」ってのと、
    「視野が狭くなろうとも、シングルタスクで得られる深きもの」とは
    分けて考える必要があるかもしれませんよね。

    でも、こうして分けて考えるあたりに「一部の優秀な人のマネしてもダメ。
    我々一般のごく平凡の能力しか持ちえてないものは、
    多少いろんなものに手をつけて全体的な能力を身に付け、処世術も身に付け、
    世の中とうまくやっていく他ないんだ」・・・・的な考えが、
    入り込む(これは良くも悪くも、という意味で、です)余地があるような気がします。
    最初に書いたexcuseはこういう事でもあるかもしれません。

  • ひよっこ

    いつも拝見させていただいています。
    ためになる記事ですね。
    研究のやり方、取り組み方は人それぞれ。
    人と比較しても仕方がないことが分かっているのですが、どうしても気になります。

    シングルタスクは単純ですばらしいと思うのですが、袋小路に入ると時間だけが無為に過ぎていく気がします(僕は良く入ってしまいます)。
    この先生は煮詰まったときにどうされているのでしょうか?

  • http://lifehacking.jp mehori

    ひよっこさん:
    このあたりは今年も先生がいらっしゃるので、よく見ておくようにします。

    どうも、渡し方見ているといつも煮詰まっているようにも見えるのですが…(笑)

    人並みならぬ集中力であきらめずに考え続けているパワーにはいつも驚かされます。

  • http://pluswell.seesaa.net/ pluswell

    こんにちは。

    >Or course. And you see….

    Or → Of
    もちろん、当然という熟語ですよね!

    あとでこのコメントは消去してしまってください。