[Books] マインドハックス勉強法(佐々木正悟、日本実業出版社)
私は「勉強」は好きですが、「勉強」それ自体は大嫌いです。ああ、わかりにくいですね…。
つまり何かをできるようになる、何か問題を解く、何かの本を読んで事情について得心する、というのは好きでたまらないくせに、その過程としての「勉強」は嫌いなのです。ようはズボラなのだといってもいいかもしれません。
そんな私にとって勉強をするときの最大の障害は「自分の心」です。やる気のボルテージを上げて、フォーカスを絞り込むのに、全体の労力の 80% を費やしています。いろんな細かいことを理解したり、解いたりすることはできますので、ようはやる気のレールをくみ上げるところが一苦労なのです。
そんな「勉強マインド」を作るための実践書「マインドハックス勉強法」を佐々木さんから著者献本でいただきました。開封してすぐに読み始めましたが、面白すぎたのでこの数日で3回読んでしまいました。
なぜ、勉強をするのに「マインド」を意識する必要があるのか? それを明快に解説してくれた一冊だと思います。
マインドハック?
この本の題名をみて、なぜ「ライフハック」ではなくて、「マインドハック」なのか? とお考えになった人もいるかもしれません。
ここでいう「マインド」は、「勉強をしよう!」というモチベーションや、継続力、精神力も全部含めた「精神状態」という意味で使われています。
目標をもった勉強を成就するためには「思考力」「才能」といった勉強の筋力、「勉強法」というテクニックの部分とともに、モチベーションを維持する内面との戦いが切っても切りはなせないというのが、本書の本質的なテーマです。
茂木健一郎氏の「脳を活かす勉強法」がハードウェアとしての脳をオーバークロックする方法についての本とするなら、佐々木さんの本は「心のメンテナンスも行ないながら、最良の状態で走れるようにする」ための本だと言えそうです。
本書の構成と、おすすめのテクニック
本書は最初から読んでゆくと「暗記をするほうほう」「ストレスをパワーに変える方法」という具合に、具体的なテクニックの集合として書かれていますが、読者の次のような悩みに答えを出すべく作り込まれています。それは:
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勉強を始められない
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覚えられない
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集中力が高められない
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継続ができない
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時間を作れない
という5つの問題で、冒頭の早見表で一目で見られるようになっています。それぞれに対して、心理学に基礎付けられた解決方法と同時に、具体的なテクニックを示しているのが本書の魅力です。
また、多くのビジネス本・自己啓発書を引用して、その要点を利用しながらマインドハックス勉強法という図式を描き上げている点も本書の価値を高めていると思います。そのおかげで同種の勉強法の本の多くより内容が濃く、網羅的に**「勉強とはどんなマインドでやれば心が楽で、実感を意識できるのか」**というテーマを掘り下げた形になっています。
本書を読んですぐに実践に移そうと我が家で計画中なのが「ホテルにこもって勉強する」というものです。
この夏は私も家内も大きなプロジェクトを抱えていて忙しくしているので、お盆前に市内の某ホテルに逗留して家事の心配をなくして集中して仕事をしようという計画をたてています。これは計画をたてたそばから、二人でとても楽しみにしています。
あと本書で紹介された「ストレス = やる気」カードというものも、実際に自分なりに作ってみて、脳に対して魔法をかけてみることを試みています。どこが魔法なのかは、そのうち記事にしますね。
本書の最終的なテーマは、勉強にまとわりついている「苦行」「不快」「しんどい」というイメージを、たしかなイメージとテクニックで「気楽で」「充実感のある」マインドセットにおきかえてゆくことです。