今、そこにある未来:脳内バイパスを作る Doing リストの実践例
やっと日本に帰りました。予想外の出来事の連続で、まったく更新が追いつかなくて申し訳なかったのですが、おかげでたくさんのネタを仕入れる事ができました。仕事の宿題も…。
先日紹介した「一流の研究者の Doing リスト」には多くのブックマークをいただき、実践方法の例をいくつかのブログでコメントしていただきました。
記事を書いた時には、この教授のゆっくりとした動作と脳内のめまぐるしい思考のひらめきとを対比し、着実に「今」をこなしてゆく姿を書きたいと思っていましたので、あえてリストの書き方などといった実践的方法は曖昧にしていました。
ToDo リストの作り方は人それぞれですので、イメージが伝われば、実践方法は自ずから明らかになるだろうと思った訳です。
ただ、一部の読者にはそれがかえって解りづらかったみたいで申し訳ありませんでした。というわけで私なりに考えてみた、実践編の紹介をしてみたいとおもいます(もちろん他の人の実践例を否定するものではありません)。
今、そこにある未来
Doing リストって、「ToDo リストと何が違うの?」と言われるかもしれませんが、何も違いません。誰しもが書いている、やるべき事を適度の粒度で書き込んでいるだけの単純なリストです。ただし、その考え方に3つのポイントがあります。
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「今やっていること」がアンカーされていて、かならずリストから行動が生じている。リストに書かれていない事はしてはならない。
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途中で割り込みが生じた。タスクの前提条件をクリアできていないので別タスクを行なう必要が生じた。単に達成不能だった。この3つの場合は、割り込みタスクか「次になにをするか」をリストに加えて次に進む。止まらない、次に進み続ける。
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リストの下までいったら、残っているのは割り込みタスクと、次のアジェンダのみですので、それを元にして次の Doing リストを作って上からこなしてゆく
これだけです。
ふつう ToDo リストというと「未来にやらなければいけないこと」リストを指しています。頭のギアを「未来」にシフトして、「1時間後、今日の午後、明日には何をしなければ行けない?」という発想をします。
これが ToDo リストの最大の利点でもあり、欠点にもなります。利点というのは、未来を管理できる点です。しかし欠点は、そのリストに書かれている未来が現前に変わった時点でも、効果的な「Next Action」を指し示していない点だと常々考えていました。
たとえば ToDo リストの次の項目が「報告書を片付ける」だったとします。「片付ける」というのは GTD 的に考えても曖昧な表現ですが、これだけでは何をすればいいのかわかりません。かといっていつも粒度の細かいタスクを ToDo リストに書いていたのでは、プランニングだけで時間を食い過ぎますし、突然の変化や割り込みに対応できません。
ここで Doing リストが登場します。頭のギアを「未来」から「現在」に切り替えて仕事を実践する段階で、ToDo リストに書ききれなかった粒度の細かいタスクを Doing リストに箇条書きにして実行していきます。
リストに書かれている事以外はしてはいけないというルールは、「今」していることから自分の頭が離れないように、作業の流れから行動が外れないようにするための拘束条件です。
割り込み処理は?
この教授の真似をして数日間 Doing リストを実践してみて便利だったのは、リストを作るために使っている情報カードを左右にわけて、「今」やっていることと、「いつでも」順不同にやっていいタスクにわけておくことです。
例えばタスク A をこなしている間にタスク B 前提条件になっていると気づいたなら、それは「今」リストにつけ足され、矢印などで順序を示しながら上からこなしていきます。
しかしタスクDという、いつやっても良い割り込みタスクがあった場合は、「今」やることとは分離して、ちょっとコンパイル待ちで時間が空いたりした瞬間などに実行します。「横道」にそれるタスクを「今」のリストとは別に管理する事で頭の中バイパス道路ができたような感覚が味わえました。
いかがでしょう? こうしたリストの作り方は一例に過ぎませんので、どんな思考方法が得意なのかによっていろんな実践方法はあると思います。
「未来」を管理する ToDo リストと「今」を管理する Doing リスト。粒度の違う二つのリストでどうしたら効果的に未来を切り取れるか、今後も実践を通して改良を加えていきたいと思います。
こんな改良の仕方もあるのでは? という意見がございましたら、ぜひコメントにどうぞ。