写真共有サービスFlickrがサービス内容を変更。改善点も
YahooからSmugMugによって買収された写真共有サービスFlickrですが、無料ユーザーにとって大きなダウングレードを含むサービス内容の変更が告知されています。
まず、無料ユーザーもこれまで1TBのストレージがあったのが、写真1000枚までに限定され、2019年1月8日までにProユーザーに移行しない場合は追加の写真アップロードが停止され、超過分の写真は2019年2月5日に古いものから削除されるとのことです。なかなか厳しいですが、無料なのですからこれは仕方ない面もあります。
有料ユーザーであるProアカウントについても、旧来のProアカウントに比べると2倍の年額$50ほどの金額になっているので、長らくFlickrを使っていた人ほど「悪くなった」という印象を与えられるかもしれません。
しかし、多少はよい面もあります。写真を膨大にアップロードしている人ならば、あわててGoogle Photosなどに移行せずに、様子をみても悪くない可能性もあるのです。
AWSへの移行。任意のメールアドレスでのログイン。そしてコミュニティの活性化
SmugMugのDon MacAskill氏の記事によれば、これまでFlickrのチームからYahooのデータセンターからの移行方法や、サービスの維持のノウハウをずっとヒアリングしてきた結果、これまでにいくつかの改善に向けての手をうっているそうです。
一つが、4月の段階で告知されていた任意のメールアドレスによるログイン機能で、これは2019年1月にはロールアウトできるとしています。もうFlickrのためだけにYahooアカウントをとっておかなくてもよいのはありがたい。
また、データを徐々にAWSに移行しつつあり、これによってさまざまな高速化が可能になるだろうということです。実際、Flickrの長年の問題は次第に低下していた写真の表示速度でしたので、ここに見通しが立っているのはとてもよいことです。
Flickrに存在してGoogle Photosには存在しないのが活発なコミュニティですが、それについてもコメント内のスパムの除去などを通して活性化を行うことが告知されています。
写真好きにとっては、この最後の部分がとても大きいといえます。Flickrに人気があったころは、写真の周りにコミュニティが存在するのが当たり前でした。しかしいまは、SNSのなかに写真が流れているだけで、写真と写真がつながる場がなかなかありません。それはGoogle Photosでも同様です。
SmugMugが写真共有サービスの重要性としてコミュニティの存在を重視しているのは、今後の死活を分けるポイントかも知れません。
Google Photosがいつまでもあると思ってはいけない
古いブロガーのなかには、写真をFlickr上に置いてブログを運用していたひともいますが、いまや誰でも簡単にCDNが使える時代なのですからこれはもう時代遅れと言ってもいいでしょう。
少数派だとは思いますが、いまもこうした運用をしている人はなるべく早く写真を別の場所にホスティングできるようにしたほうがいいといえます。
逆に、いまGoogle PhotosのようなサービスとFlickrとを比較しているひとは、写真が多ければ多い人ほど、念のためにFlickrアカウントも保持しておいたほうがいいような予感がしています。
というのは、いまはとても安価で、サービスのクオリティも高くて大満足のGoogle Photosですが、これがずっと存在するという保証はあまりないからです。
ここしばらくは、Googleの機械学習のデータベースとして世界中の写真を集めている意味はあるかもしれませんが、そのうちGoogleにとってPhotosは重荷になってきます。少なくとも、Googleに写真家をサポートしたいというインセンティブが存在しないということはいえます。
もし数万枚以上の写真をオンラインで管理しているならば、さらに5年後といった未来を考えたときに、Flickrを念のためにとっておく意味はあるかと思うわけです。年間$50がそれに見合うかは、それぞれの人の価値観しだいかと思います。
ひとまずわたしは先払いで2019年の年末まではProアカウントのままですので、このまま利用してみて、SmugMugチームがFlickrを成長路線に戻せるのか、注目してみたいと思います。
冒頭の画像はMathias Appel氏によるパブリックドメインの写真ですが、こうしたさまざまなライセンスの、さまざまなバックグラウンドの写真と出会えるFlickrがこれからも続くことを願っています。