Evernote、全データをGoogle Cloud Platformに移行
去年に発表されたとおり、Evernoteではすべてのユーザーのデータを、自前のサーバー群からGoogle Cloud Platformに移行する作業をしていました。
Evernoteの全データが50億ノート、3ペタバイト = 3,000,000 GB 程ですが、ユーザー側からみてサービスを停止させることなく、約70日でそれを移行したというのはなかなかの偉業です。その詳細はEvernote日本語ブログで書かれています。
ユーザー側からみて、なんの違いもないのではないかという今回の変更点ですが、いくつか期待できる点があります。
堅牢性と、災害復旧の迅速化
これまでEvernoteは自前のサーバー群を維持しており、それが開発初期では大きな利点でした。自前であれだけのクラウド環境を構築できたことで、素早くスケールできた時期がEvernoteにはありました。
しかし世界中にこれほどまでにユーザーが増えてしまうと、なかなかそうもいきません。ふだんのサービス維持から、障害発生時の対応などが、Evernoteにとっては大きな負担になってきていました。今回の GCP 化は、そうした負担を軽減し、開発にリソースを集中する地盤を固めてくれます。
また、見逃したくないのは、GCP にはすでに画像認識APIのCloud Vision APIや、音声認識の Cloud Speech API、そして機械学習のためのGoogle Cloud Machine Learning、あるいは言語解析用のGoogle Cloud Natural Language APIなどが揃っています。
Evernoteがこれから進化したい方向性には、まさに保存したノートの中になにがあるかを認識するというステップが書かせません。今回、自前でこれらを作るのではなく、すでに存在するものを使用することで、開発スピードが向上することが期待されます。このあたりも、クラウドサービスの初期の頃とは違いますよね。
よく最近「Evernoteの代わりになるものないのか?」と聞かれるのですが、やりたいことが数十個のノートを整理する程度のことではなく、数百、数千の情報を整理したいのならば、なかなかEvernote以上に便利なものはありません。そこに、こうした先進的な開発を注ぎ込める企業となるともうほかにありません。
というわけで、最近あまりよいニュースがなかったEvernoteですし、このニュース自体がなにかをもたらすわけではないのですが、一つのよいシグナルとして受け止めておくと、今年から来年の動きに予測が立てられるのではないかという気がします。
移行でがんばったみなさん、ありがとうございました。