箱1つ分のモノを毎日捨て続ける整理術

「整理術」と呼ぶ必要さえないくらい当たり前のことですが、部屋に入れたモノは、ひとりでに消えることはありません。入ったきた分だけ、捨てる。モノがあふれ過ぎないように整理するというのは、結局のところそれだけのことなのです。

これが心理的に難しいので、世の中には整理整頓を自己啓発的な文脈で解説したり、心のなかの執着と結びつけてスピリチュアルに言い換える「整理術」も多いのですが、私は科学者ですからそういうものは好みません。

私が頼りにしているのは、絶対に破ることができない、質量保存の法則です。入った分だけ、捨てる。でもそれを少しやりやすくするための目安が小さな一つの箱です。

箱の大きさはそれほど大きなものでないほうが無理をせずにすみますが、小さすぎても、自宅にモノが入ってくる速度に追い付きません。私は宅急便の最低サイズである60サイズほどの箱を利用しています。

あとは毎日、部屋に持ち込んだ不要なモノをそこにいれ、箱1つ分の荷物が出てゆくように捨てていきます。

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この方法が簡単でも効果的なのは、毎日この小さな箱の分だけ捨てるという単位の小ささが続けやすいからです。奮起して大掃除をしなくても、毎日この箱の分だけ何かが外に出ていればいいわけです。

上の図で、左側から入ってくるモノというのはすぐにスクラップにして捨てる雑誌であったり、買ってきた飲み物のペットボトルであったり、スキャンして捨てることのできる紙であったり、さまざまです。ある日は多くのものが入ってきて、ある日は少なかったりしますが、一週間でこれくらいという目分量はあるはずです。

あとは右から出てゆく分をこの入ってくるモノの流れに合わせるか、ちょっと左側よりも多くなるように調整すれば次第に部屋からモノが減っていきます。流れに乗せるとなかなか気持ちがいいものですよ。

そうはいっても捨てられないものについては?

この方法を続けると二週間くらいたった頃に捨てるものがなくなってきて、次第に無理が生じてきます。モノが多すぎて減らしたいというのであれば、ここが取捨選択のタイミングになるわけですが、だからといってすぐにスピリチュアルに走って克己心を生じて呪文を唱えながら大切なものと別れる必要はありません。預けてしまえばいいのです。

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以前も記事広告で紹介したことのあるminikuraがここで活躍します。

minikura MONOの場合なら120サイズの箱に20kgの荷物を詰め込んで預けてしまえば、一ヶ月あたり200円で保管してもらえます。10箱で一ヶ月2000円、広い部屋に引っ越すことを考えればわずかな金額です。

また、この連載の前回でも書いたとおり、対応すべきモノが少ないほどそれを管理する手間も少なくなります。ただちに捨てる決心がつかないものでも、視界から消しておくことで負担は大きく減るのです。

minikuraは預けて一年で出庫返送料が無料になりますが、そのころにはその荷物の半分は捨てる決心がついているということもままあります。いつかは捨てるかもしれないものを収まりきらない部屋で無駄に右に左に動かし回す時間があるなら、預けてしまうほうが時間というコストでみても得です。

minikura MONO については一点だけ注意点があり、入庫後は箱番号でしか管理ができませんので、内容をわかりやすくするために上から写真を撮影し、Evernoteに目録を作っておくのがいいでしょう。

まとめ

ここでは個々のモノが部屋のなかにどう収まるかという「整頓」の部分について一切書いていないのですが、言うまでもなく、モノの量が対応できるレベルにまでやってくればそれはやりやすくなります。

もう一つ、この手法の副産物として、部屋に入ってくるすべてが、この流れにそって「流れ去るモノ」なのか「とどまるモノ」なのかという視点が生まれますが、これは世の中の多くの整理術が教えているモノとの心理的な関係の変化といってもいいのでしょう。

さて次回の水曜日は、これをバーチャルな方向にもっていって、パソコン内のファイルの整理整頓に適用していきます。

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堀 E. 正岳(Masatake E. Hori)
2011年アルファブロガー・アワード受賞。ScanSnapアンバサダー。ブログLifehacking.jp管理人。著書に「ライフハック大全」「知的生活の設計」「リストの魔法」(KADOKAWA)など多数。理学博士。