お尻に食い込む財布から解放されるabrAsusの「薄いマネークリップ」と「小さい小銭入れ」
単刀直入に申し上げますがお尻に食い込む財布が嫌いです。
レシートを詰め込みすぎて膨らんで曲げるのも大変になった財布が、いっぱいに詰まったカード類や小銭でさらに重くなり、ズボンの後ろで瘤のようにぶつかる異物感はたまりません。そこでいつもお世話になっているabrAsusの「小さい財布」や「薄い財布」を使ってきました。
この二つは、デザインによって薄さや小ささを作り出し、コンパクトでも内容量を増やすと同時に、あえて「ここまでしか入らないよ」という制限を設けるタイプの財布で、これがなかなか効果的です。
そしてさらに、このラインナップに「薄いマネークリップ」と「小さい小銭いれ」が加わりました。先月そのお披露目イベントでレビュー用に2つをいただいたのですが、それから1ヶ月間みっちり使ってみましたので、使用感をまとめたいと思います。### 薄いマネークリップ
マネークリップというと、普通は紙幣を金属で挟むような構造をしていますので、実のところ取り出しにくくてあまり利用価値がありません。
一方、abrAsusのマネークリップは「薄い財布」から小銭いれの部分を取り去った構造をしており、カード類とお札をそつなく入れて使うことができます。
ふだん、紙幣を持つとしても一万円札を数枚、それをくずして生まれた五千円札、千円札が数枚と、せいぜい10枚程度です。また、カード類も職員証、免許証、Suica、クレジットカード一枚(Edy付き)に集約すれば4枚程度ですみます。
これを薄いマネークリップに入れたところがこのようになります。カードは5枚は入りますので、一枚分余裕があります。これで厚みは本体の6mmから少し増して9mm弱といったところです。iPhone程度の薄さといったほうが、わかりやすいでしょうか。
表面はガラス粒子で加工されたなめらかな手触りをしていて、ズボンの前ポケットにiPhone といっしょに入れていても違和感がありません。金属部分がないのでiPhone を傷つける心配もないのは嬉しい配慮です。
小さい小銭いれ
さて、財布を紙幣部分と小銭部分に分けた、小銭入れのほうはどうでしょう。「小さい小銭入れ」は999円が入る設計で、キーホルダーにもなる構造をしています。
キーホルダー部分に車の鍵を、キーケース部分にもう一つの鍵を入れて前ポケットの右側に入れて使っていますが、これも最初心配したほど違和感がありません。スティック状ですので、気にならないんですね。
キーケース部分から鍵を出して扉を開くのは、鍵穴とドアノブが近いタイプのドアの場合、小銭入れの部分がぶつかってしまうことがあります。でも、これも慣れの問題ですぐに手が最適な角度を覚えてくれました。
小銭入れの部分はこのように一列に並べる形になっていますが、ここに小銭を敷き詰めるのには多少の慣れが必要です。大きい硬貨から順に、種類が混ざることなく並べれば次に使う際に取り出しが楽ですが、五十円玉が入ってくると一つだけ小さいので多少面倒です。
なので私は500円玉 → 100円玉 → 10円玉 → 50円玉 → 1円・5円玉という順番にして100円玉と50円を分けるように入れるようにしています。
さらに、小銭入れの反対側には紙幣を折りたたんで隠すことができるスペースが。実にabrAsusらしい、無茶なことを真顔でおすすめしてくるこの機能が利用してみると楽しかったりします。懐がたなとしてここに一万円札を入れておく安心感といったら。「あ、お金をおろさないと…」と思ったあとで使いはじめる紙幣があるのは実にいい気分です。
財布の使い方を、再考する
財布を一つ持ち歩くところから、マネークリップと小さい小銭いれというペアに変えてみて一ヶ月。どのような変化があったでしょうか?
まず、後ろのポケットにいっさい何も入れることがなくなったのが、本当に楽になりました。椅子に座る時、車に乗る時、これは嬉しい変化です。
一方、店で財布を取り出すときの思考には変化が必要になりました。
これまでは何となく財布を出してそのつど紙幣と小銭を合わせて支払っていたわけですが、これが「紙幣のみで払う → あとで小銭入れに小銭を入れる」「小銭いれだけを出す」「両方を取り出す」という3パターンになりました。
一番面倒なのが、最後の紙幣と小銭を両方出す場合で、マネークリップを出してから、小銭入れを取り出すという2ステップが必要です。
しかし少しのあいだ続けてみると、いま小銭入れにどのくらいのお金が入っていたかをなんとなく暗記できるようになりました。実はこれがポイントで、「小さい小銭いれ」は999円しか小銭が入りませんので常に小銭を減らそうという動機付けがあるため、そのおかげで財布の中身を常に意識できるように自然となってしまうのです。
また、「薄い財布」「小さい財布」同様、このアイテムを使うことで電子マネーを積極的に利用して小銭がそもそも出ない払い方が習慣付けられたのもトータルでみるとよかったと思います。
応援したい財布
革製品として手触りがよく、使っていて気持ちいい abrAsusの製品ですが、正直にいうなら似たような製品、あるいは近い製品もないわけではありません。また「小さい小銭いれ」などは特徴のある使い方をしなければいけないので、万人向けではないことを申し添えます。
しかしなんでしょう、応援して使いたくなる要素がabrAsusの小物にはあるんですよね。それはお披露目イベントで、代表の南さんが示した製品に対する熱意に感じるものがあるせいでもあります。
南: プロダクトデザインなんてしたことないので。紙とテープとホチキスで試作品を何個も作る #abrasus
— M. E. Hori (@mehori) 2013, 12月 9
南: 皮の扱いをなにも知らずに東急ハンズへ。ブックカバー実演販売のお姉さんにいろいろ教わる #abrasus
— M. E. Hori (@mehori) 2013, 12月 9
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南: 売れるかどうかは「わからない」でもいい。でも自分の欲しいものが他人の欲しいものと並んだ時に動く。でも「みんな」に売れる、ではない #abrasus
— M. E. Hori (@mehori) 2013, 12月 9
こうしたビジョナリーな一面をみせながら、そして数々のヒット商品を生み出しながらも、南さんの口調というのはどこかで拒絶されることをおそれているような、少し自信なさげな、それでいて「自信のあるもの作ったのでどうかこの製品を愛してほしい」という熱意がこもっていて、これで魂が共鳴しなければ嘘だよという誠意がこもっています。
このイベントで、abrAsusは来場者全員に新製品のプレゼントをしているのですが、それにしても南さんは「気に入ってくださったら書いてくださいね」と仰るだけです。うーむ、逆に是が非でも応援したくなるではないですか。
「小さいマネークリップ」と「小さい財布」の二つは、一つの財布ではなくて二つに分かれる使い方にチャレンジしてみてもいいなと思う人、これまでの使い方を変えてみたら便利になるだろうかと試したい人むけの製品です。けっして万人向けではありません。
でもこの記事をここまで読んだ人なら、すでに使い心地が気になっているはず。ぜひこの新しい使用感に飛び込んで、使ってみてください。
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