スワイプ1つでメールを未来に送れるMailbox
スワイプ一つでメールを未来に送り、何もしなくても必要に応じてそのメールが浮上する。Mailboxはとにかく今メールを眼前から消し去りたい人むけに作られたGmail用クライアントです。
先日紹介して、その後大きな反響とともにリリースされたiPhone用の新しいGmailクライアント Mailbox ですが、リリース後はユーザーを先着順にサーバーに迎え入れている関係でいまも大勢のユーザーがアプリを使用できるようになるのを待っている段階にあります。
運良く比較的初期に登録できましたので、先ほどから使用してみたのですが、Mailboxはとても特徴的な、ある意味偏った使い方を要求するアプリだったということがわかりました。### Mailbox の使い方と特徴
Mailboxの最大の特徴はメールを「明日」「今日あとで」「来週」といった具合に先送りすることができる点です。先送りされたメールは Gmail の受信箱上からも消えてしまい、適切な時間になると復活します。これはどうやっているのでしょう?
ここで押さえないといけないのは、Mailboxはただのアプリではなく、手元のアプリと、Mailboxのサーバー側の処理との両方で Gmail を管理しているという点です。
MailboxにGmailアカウントを登録すると、[Mailbox]と書かれたラベル(フォルダ)が作成されて、そこに Later、To Buy、To Readなどといった下部ラベルが作られます。
もし Mailbox アプリ上でメールを「明日」に送ると、このLaterにメールが格納されます。そして時間がやってきたらそこからまた受信箱に戻されるのです。この処理のために、サーバーが必要なのです。
MailboxのUI
それでは実際の Mailbox を見てみましょう。アカウントが使用可能になったら、まずはGmailアカウントを登録します。アカウントは複数指定可能です。
アカウントの同期が終わると、このように受信箱が表示されます。上のバーは、現在いる場所が「受信箱」なのか、「アーカイブ」したメールの一覧なのか、あるいは「Later」として先送りしたメールの一覧なのかを示しています。
メールの操作自体はスワイプのみで行います。これが覚えるまで戸惑いますので頭に入れておきましょう。
Mailboxのメインとなるのは左スワイプで呼び出す「未来に送る」という機能です。これはメールを「今日のうち」「明日」「来週」「いつか」といった形で未来に送り込む操作です。いま対応しなくてもよいものについては適切な時間に飛ばしてしまいましょう。
Mailboxの大問題:Gmailラベルが使えない。
ただ、このあたりからMailboxは使う人に戸惑いを与えます。
Mailboxを実際に使う場合は、すべてのメールに対して「これは削除か?」「返事を送る必要もないのでアーカイブしよう」「対応の必要があるのでいまは先送りしよう」といった具合にメールを処理していきます。
ただし、Mailbox は Gmailの大きな機能であるラベル機能には対応していません。このことはいろいろと大きな問題を生み出します。
まず、「このメールに『職場』というラベルをつけてからアーカイブしよう」という操作ができません。単純なアーカイブのみです。
フィルターを定義していて自動的にラベルを付与しているならアーカイブした際にそれはGmail上ではちゃんと所定のラベルとともにアーカイブされます。ただし、Mailbox上でラベルがちゃんとついているのかいないのかはわかりません。
また、ラベルに対応していないということは、フィルターによってラベルを付け、受信箱をスキップさせたメールをみるには、すべてのメールの一覧から探すしかありません。これではそもそもなんのために整理したのだか!
Mailbox の考え方「すべてのメールを消し去りたい!」
つまりMailboxはメールを整理整頓することを可能とするアプリではなく、とにかくメールを目の前から消してゼロな状態になるまで先送りするというアプリということができます。
出先から戻り、パソコンからGmailにアクセスした場合Mailbox上で先送りしたメールはやはり [Mailbox] ラベル以下に存在します。そして適宜時間がくると受信箱の方に戻されます。便利なようにみえますが、これは結局のところ、出先で整理することができたはずのメール処理を2回にわけてしまっているといえます(またこの仕様は、POPでアクセスしている人には予想外なことになるかもしれません。未確認)。
逆にいえば、Mailboxは複雑なラベルやフォルダを駆使しておらず、とにかく受信箱とスター程度の複雑さでメールを処理している人におすすめだともいえます。
大きな待ち行列で注目を浴びた手法
今回Mailboxはそもそもアプリを使えるまでに大きな待ち列があることで話題になりました。大多数の人は実際Mailboxがどんなアプリであるかもわからないまま、とにかく話題になっているから登録して待っていたことになります。
これはサーバー負荷をマネージしつつローンチを行なっているのだから当然という見方がある一方で、この待っている人が多いことを一つのネタとしてマーケティングを行ったともみることができます。この点について、Mailboxの開発者はもう少しコミュニケーションができなかったのかなあ、とは思いました。
もちろん、まだ生まれたてのサービスということもありますので、Gmailラベルへの対応も含め、今後の開発に期待、ということなのかもしれません。
ただ現時点では、私の受信箱は空になることはありませんでした。