1時間の「パワーアワー」で仕事の先送りを征服する
「仕事の先送り」実際上のデメリットに加えて、これほどまでに罪悪感を抱かせたり、自己肯定感を損なうものもありません。
仕事の先送りが発生する理由は完璧主義などと言った自分の心の問題もありますが、一方で外からやってくる理由を考えると、いまや秒単位といってもよくなったさまざまな情報の割り込みから生じているといってもいいでしょう。
メール、SNS、iPhoneの通知、これらにくわえてやり残している作業や、注意を引く出来事があまりに起こりすぎているのがいまの私たちの日常です。
Lifehack.org に寄稿している Angela DiCarlo さんはこうした先送りを、「パワーアワー」と彼女が呼ぶ一時間の集中時間で乗り越えることを説いています。
「おいおい、先送りの解決方法が『集中して仕事しろ』というのは解決すべき問題と解決方法が同じじゃないか」と思われるかもしれませんが、ここにはちょっとした工夫があるのです。### 情報遮断の1時間
ここでいう「1時間の集中時間」は、一時間歯を食いしばって作業をしようということではなく、1時間のあいだ完全に情報を遮断しようという話です。そして遮断すべき最も大きな的は、私たちの頭の中にいます。
メールをみない、SNSも決してみない、スマートフォンはそもそもオフラインにしてしまう。ここまでは簡単です。
でも頭のなかで「そういえばあの件はどうなったっけ?」「ちょっとこれをウェブで調べてみよう」といったように次から次へと作業を脱線させようとする雑念が生まれるのを抑制するのは難しかったりします。
そこで利用できるのが2枚の紙です。まず1枚目にはパワーアワー中にやることを書き出しておきます。ここに書かれていること以外には実行してはいけないという「作業のレール」です。
二枚目は、脱線を防ぐためのバッファです。パワーアワーの間に思いついたことは、すぐに実行するのではなく、とにかくここに書いておくだけにします。書き留めておくことで、忘れてしまうのではないかという恐れがなくなりますし、一方で作業の中断は最低限ですみます。
これは一流の研究者が実践していた Doing リストと同じものです。
ようするに、集中時間を生み出すのは実は集中力ではなくて、邪魔な情報や判断といった小石を、どれだけコースから除去できるかということに他ならないわけです。
1時間で何ができる?
Angelaさんの記事が面白かったのは、たった1時間を毎日に追加して、巨大なプロジェクトを、何か収入を生み出す作業を行ったら、数ヶ月、1年、数年で何が生まれるだろうか? という視点もあったことです。
たった1時間ですが、1時間ならば昼休みや眠る前などといった形で捻出することも不可能ではありません。これを常に同じ方向に使ったら、たった1時間でも何が生まれるのでしょうか。
多くの作家が一日中原稿を書いているわけではありません。毎日30分の練習がすべてを変えてしまうと口にする音楽家もいます。
きっとこうした1時間で何かが前に進んでいるという経験をしたときに、それがもたらす自己肯定感は一日の残りの十何時間にも波及するのでしょう。