「空間的記憶」で普通の記憶力を底上げする

Palace

Evernote のように外部の記憶があったとしても、やはりなんらかの形で記憶の鍵となるキーワードを思い出す必要はあります。すべてを覚えているような記憶力は必要がなくても、思い出したいものが把握できる記憶力はとても重要です。

本家Lifehacker経由で知った New York Timesの記事で、アメリカの記憶チャンピオンのJoshua Foerが解説する「普通の記憶の持ち主が記憶力をブースとする方法」というものがありました。

それによると、人間はいまでこそデータや数字を記憶することを必要とするようになりましたが、かつての狩猟時代における記憶はむしろ空間把握の記憶の方が必要とされたため、今でも人間の記憶は空間方向に強く働く傾向があるということでした。

そこでこの特性を利用して「記憶の宮殿」を作り、その記憶のなかの場所に記憶できるくらいに奇妙な符号を置いてゆくことができます。

The point of memory techniques is to take the kinds of memories our brains aren’t that good at holding onto and transform them into the kinds of memories our brains were built for. [They create] memorable images for your palaces: the funnier, lewder and more bizarre, the better. “When we see in everyday life things that are petty, ordinary and banal, we generally fail to remember them. . . . But if we see or hear something exceptionally base, dishonorable, extraordinary, great, unbelievable or laughable, that we are likely to remember for a long time.”

記憶術におけるポイントは、私たちの脳が記憶することが苦手な種類の情報を、得意とするものに変換することです。記憶の宮殿に展開する記憶は面白かったり、奇妙だったり、わいせつな内容であるほど印象に残りやすくなります。日常の平凡なことは覚えにくい一方で、卑怯だったり、不正直、とてつもない規模であったり、笑いを誘うイメージであればあるほど、それは記憶に残るのです。

「記憶の宮殿」については以前にも紹介しましたが、たしかに自分でも不思議なくらい、イメージのなかにある部屋の中に奇妙なキーワードを散りばめることで覚えておくことができます。

私のばあい、クレジットカードの番号や、忘れると困るパスワードなどを、数字を絵として捉える記憶法の応用で変換して、過去の自分のすんでいた場所に展開することで記憶をしています。

単にデータを繰り返し唱えたり、そのまま覚えようとして失敗している人は、すこし刺激的なイメージに情報を変換して記憶の宮殿にいれてみてはいかがでしょうか。

元記事もちょっと長いですがとても面白いのでぜひどうぞ。

堀 E. 正岳(Masatake E. Hori)
2011年アルファブロガー・アワード受賞。ScanSnapアンバサダー。ブログLifehacking.jp管理人。著書に「ライフハック大全」「知的生活の設計」「リストの魔法」(KADOKAWA)など多数。理学博士。